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家畜も色々
スキンシップの一線
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時計を見れば六時を少し回った所か。先輩は、朝一で見舞いに来てくれたらしい。
「夕べ、葛見から伝言貰ったんだ。セイシュンが熱出して倒れたって」
先輩にどうしてここに居るのか聞いてみると、そんな答えが返って来た。状況から考えるに、寮長と執事モドキがオレを医務室に運んでくれたのだろう。
ちゃんとお礼を言わないとな……ん、その前にちゃんと謝るのが先か。いまいち倒れた時の記憶はハッキリしないのだが、何か失礼な事を言ったような気がするのだ。
「セイシュン、気分はどうだ? 起きられそうなら、少し何か食べないか。夕べから何も食べてないんだろ」
先輩の手を借りて起き上がる。一晩眠った程度では完治しないようで、つい先輩の肩に寄りかかってしまった。
「大丈夫か? 無理しなくていいからな」
ついそのままで居たいと思ってしまったのだが、オレは全力で先輩から距離を取った。全く大丈夫ではなかったからだ。
「ど、どうしたんだ? 気持ち悪くなったか?」
突然、ベッドに突っ伏したオレに、先輩は慌てて手を伸ばしてきた。
「今のオレに触んな!」
病人に怒鳴られ、先輩は中腰のまま心配そうな顔でオレを見ている。違う、そうじゃない。ちゃんと説明しないと……分かってはいるのだが、どうしても恥ずかしくて、オレは枕に顔を埋めながら、くぐもった声で自分の状態を話した。
「汗がすげぇから、絶対汗臭いし……昨日、談話室片付けてて、埃まみれになって汚れたのに、風呂にも入れてないから。今のオレ汚いから」
自分の汗の臭いが気になるとか、なんか女々しくて嫌だった。先輩が同じように思っていたらと、恐る恐る見上げると、何かを考えているらしく少し難しい顔をしていた。けれど、すぐにいつもの顔に戻り、ポンと手を叩いて、また無造作にオレの頭を撫でた。
「お前の部屋から着替え取ってきてやるよ。んー風呂は爺さんの許可が出てからな、また倒れたら大変だから。今はタオル濡らして持ってくるから、それで我慢しろ」
真顔で「な!」と念押しされると、素直に「うん」と答えるしかなかった。ただでさえ、体温が高いのに、顔が熱い。元から熱で赤い顔をしているから、この妙な火照りは分からないだろうが、思わずにやけそうになって困る。
言葉通り、先輩が着替えを取りに行こうとして腰を上げた時、医務室の扉が静かに開いて、小さく「失礼します」と狭間の声が聞こえてきた。
狭間はオレたちに気付くと、まず先輩にペコリと丁寧にお辞儀をして、オレに心配そうな眼差しを向けてきた。当然のように、狭間はオレの着替えを持って来てくれていた。
先輩に遠慮してか、オレに遠慮してか、狭間は簡単な挨拶と着替えだけを残して、オレらに背中を向けようとした。その背中を呼び止める。
「ありがとな、着替え助かる」
ベット脇に置いてあった、夕べ着替えた服を拾い上げながら、狭間はただ穏やかに笑って見せた。
「他に何か必要な物はある?」
そう聞いてくれた狭間に、オレは甘える事にした。
「一個だけ頼めるか……あの服、持って来て欲しいんだ」
先輩に借りてた服、今はオレの枕になっているあの服を。本人を目の前にそんな説明は出来なかったのだが『あの服』で狭間は事情を察してくれたらしく、朝食までに持って下りてくると約束してくれた。
「いい身内を持ったなぁ、セイシュンは」
狭間を見送った後、先輩はしみじみとそう言った。持って来てくれた着替えを手にして、オレもしみじみと同じ事を思い頷く。
丁寧に畳まれた服を見て、唐突に考えてしまったのは、どうして狭間が圏ガクに居るのかという事だった。全生徒に言える事だろうが、圏ガクは自分で選んで受験するような学校ではない為、必然的に本人の意思とは関係のない所で入学が決まる。
オレにしてもそうだ。中三の進路指導を受けた時、すでに両親はそう決めていたらしく、オレは教師の口から自分が圏ガクへ進学する事を知らされた。
聞いてみたい気もしたが、オレはその考えを頭から消した。興味本位で聞くべきではないと思った。要するに、オレも聞かれたくなかったのだ。ここに、圏ガクに来る事になった経緯を。
「あったかいタオル作ったぞ。さあ、セイシュン。服を脱げ」
少し考え込んでいる間に、先輩がオレと向かい合いベッドに腰を下ろした。その手には固く絞られたタオルが三つも握られている。その一つをパタパタと叩き広げると、先輩は真正面から真顔でオレをジッと見つめてきた。オレは用意してくれたタオルを使わせて貰おうと、先輩へと手を差し出す。
「服を着たまま拭くのか? 脱ぐのは寒いか……よし、分かった。このまま拭くぞ」
まだ寒気は多少あるが、体を拭く間くらい平気だ。夕べよりは体の自由も効く、今ならちゃっちゃと終わらせられると思っていたのに、先輩はずいっと近づいて来ると、オレの服の内側に手を滑り込ませてきた。
「ちょっ! ちょい待ち! なんで? いやいや、自分で拭けるから!」
腹の上を少し熱いくらいのタオルに撫でられ、一瞬でパニックに陥る。タオル越しに先輩の指が自分の体に触れていると思うと、一気に心拍数が上がってしまう。これは心臓に悪い。ただでさえ体調が悪いのに、このままでは昇天してしまう。
「すぐ終わるから、ちょっとだけ我慢しろ」
我慢って……無茶言うな! 襟から手を出して首筋や耳を柔く撫で回されて、もう朝勃ちなんて言い訳できないくらい、ヤバイ状態なのに。咄嗟に股に抱え込んだ枕のおかげで、先輩には気付かれていないが、バレたら一巻の終わりじゃないか。無心、無心だ。変に意識するから、下半身が反応してしまうんだ。無心で堪えろ。堪えてくれ、オレの体ぁー!
「手を背中に回すぞ」
先輩が律儀に予告してくれるから、身構える事も出来るんだが、予想外の刺激が度々あって情けない声を上げてしまった。
「セイシュン、変な声出すなよ。なんか悪い事してる気分になる」
背中に手を回す先輩の顔は、目と鼻の先にある。と言うか、抱きしめられてるとしか思えない体勢だ。しかも服に手を突っ込まれている。どう考えても、まともな状況じゃないって気付け。
「ちょ、せんぱい、マジで……っ、マジでヤバイから。こんな所、誰かに見られたらどーすんだよ」
妙な声を上げそうになるのを押さえ、必死で訴えると、先輩はピタリと動きを止め、オレの肩に顎を置き「うーん」と考えるように呻った。
「なんか……俺がセイシュンを襲ってるみたいに見えるな」
心外だと言わんばかりの声で、先輩はオレの耳元に息を吹きかけるように答えた。多分、先輩はそんなつもりないのだろうが、こっちとしては堪ったもんじゃない。ゾクゾクと体中に鳥肌が走りまくり、その刺激の終着点は現在進行形で膨張を続けている。
「どっからどう見ても、おかしいだろ! いい加減に気付け、バカ!」
先輩の体が、股に挟んだ枕に軽く触れているおかげで、直接的な刺激まで加わり、もう無理だと思ったオレは、声を荒げて先輩の腹を足裏で押し返した。素直にオレの服の中から手を抜いてくれた先輩は、不満そうな顔でオレを見た。
「少しは我慢しろよセイシュン。すぐに済むって言ってるだろ?」
「だから、自分でやるって言ってんだよ!」
「背中は自分で拭けないじゃないか。せっかく着替えるんだから、しっかり汗を拭き取っておかないと」
「じゃあ背中だけでいいから! 他は自分でやる!」
納得していない雰囲気の先輩を黙らせる為、オレは先輩の手からタオルを奪うと、シャツを脱ぎ捨ててガシガシと勢いよく体を拭く。自分でやってりゃ世話ないって話だが、先輩の指の感触は見事に擦り落とされてしまった。もったいないと思ってしまう自分が情けない。
さっきまでの恥ずかしさを紛らわせようと、強く擦りすぎて体が真っ赤になってしまった。先輩は困ったように笑って、そんなオレを見ている訳で、なんとも居心地が悪い。オレは枕を抱えたまま、その場でクルリと背中を向けた。そして、背後に向けてタオルを投げる。
「……背中……お願いします」
顔を見られていないだけマシだが、渋々そう口にすると、先輩は軽く吹き出して笑いやがった。無性に悔しくて、オレは先輩からまたタオルを奪おうとしたのだが、やんわりと肩に触れられただけで断念してしまった。
服の上からでも、タオルの上からでもなく、直に肌に触れられるのってヤバイ。熱っぽいのもあるだろうが、どんどん自分の体温が上がっていくのが分かる。
「セイシュンは強く擦る方が好きみたいだけど、乾布摩擦じゃないんだからな。これくらいでいいんだ」
温かいタオルが柔らかく背中を撫でた。気持ちよくて、思わず「うん」と頷いてしまった。腰の辺りまで下りてくると、オレの二の腕を軽く持ち上げて、脇腹から脇の下まで丁寧に拭いてくれる。
迷いのない手際のおかげで、くすぐったさは全く感じなかったが、その感覚は黙ったまま甘受してはいけないモノだった。先輩から見えないのを良い事に、枕をグッと抱え込んでしまう衝動に抗えなくなってしまったのだ。枕が強く押し当てられて、思わずゾクッと腰が震える。
「悪い、体が冷えちまったな。ほら、もう新しいの着てもいいぞ」
頭からスッポリと着替えを被せられた。そのおかげで、我を忘れて先輩の前でしこり出さずに済んだ。枕から手を離して、オレは新しい着替えに袖を通す。
後は布団を被って自然におさまるのを待とう。そう思ってオレが先輩の方へと振り返ると、先輩は真面目な顔で
「上が終わったら、今度は下だな」
とんでもない事を言い出し、こちらへ手を伸ばしてきた。
「夕べ、葛見から伝言貰ったんだ。セイシュンが熱出して倒れたって」
先輩にどうしてここに居るのか聞いてみると、そんな答えが返って来た。状況から考えるに、寮長と執事モドキがオレを医務室に運んでくれたのだろう。
ちゃんとお礼を言わないとな……ん、その前にちゃんと謝るのが先か。いまいち倒れた時の記憶はハッキリしないのだが、何か失礼な事を言ったような気がするのだ。
「セイシュン、気分はどうだ? 起きられそうなら、少し何か食べないか。夕べから何も食べてないんだろ」
先輩の手を借りて起き上がる。一晩眠った程度では完治しないようで、つい先輩の肩に寄りかかってしまった。
「大丈夫か? 無理しなくていいからな」
ついそのままで居たいと思ってしまったのだが、オレは全力で先輩から距離を取った。全く大丈夫ではなかったからだ。
「ど、どうしたんだ? 気持ち悪くなったか?」
突然、ベッドに突っ伏したオレに、先輩は慌てて手を伸ばしてきた。
「今のオレに触んな!」
病人に怒鳴られ、先輩は中腰のまま心配そうな顔でオレを見ている。違う、そうじゃない。ちゃんと説明しないと……分かってはいるのだが、どうしても恥ずかしくて、オレは枕に顔を埋めながら、くぐもった声で自分の状態を話した。
「汗がすげぇから、絶対汗臭いし……昨日、談話室片付けてて、埃まみれになって汚れたのに、風呂にも入れてないから。今のオレ汚いから」
自分の汗の臭いが気になるとか、なんか女々しくて嫌だった。先輩が同じように思っていたらと、恐る恐る見上げると、何かを考えているらしく少し難しい顔をしていた。けれど、すぐにいつもの顔に戻り、ポンと手を叩いて、また無造作にオレの頭を撫でた。
「お前の部屋から着替え取ってきてやるよ。んー風呂は爺さんの許可が出てからな、また倒れたら大変だから。今はタオル濡らして持ってくるから、それで我慢しろ」
真顔で「な!」と念押しされると、素直に「うん」と答えるしかなかった。ただでさえ、体温が高いのに、顔が熱い。元から熱で赤い顔をしているから、この妙な火照りは分からないだろうが、思わずにやけそうになって困る。
言葉通り、先輩が着替えを取りに行こうとして腰を上げた時、医務室の扉が静かに開いて、小さく「失礼します」と狭間の声が聞こえてきた。
狭間はオレたちに気付くと、まず先輩にペコリと丁寧にお辞儀をして、オレに心配そうな眼差しを向けてきた。当然のように、狭間はオレの着替えを持って来てくれていた。
先輩に遠慮してか、オレに遠慮してか、狭間は簡単な挨拶と着替えだけを残して、オレらに背中を向けようとした。その背中を呼び止める。
「ありがとな、着替え助かる」
ベット脇に置いてあった、夕べ着替えた服を拾い上げながら、狭間はただ穏やかに笑って見せた。
「他に何か必要な物はある?」
そう聞いてくれた狭間に、オレは甘える事にした。
「一個だけ頼めるか……あの服、持って来て欲しいんだ」
先輩に借りてた服、今はオレの枕になっているあの服を。本人を目の前にそんな説明は出来なかったのだが『あの服』で狭間は事情を察してくれたらしく、朝食までに持って下りてくると約束してくれた。
「いい身内を持ったなぁ、セイシュンは」
狭間を見送った後、先輩はしみじみとそう言った。持って来てくれた着替えを手にして、オレもしみじみと同じ事を思い頷く。
丁寧に畳まれた服を見て、唐突に考えてしまったのは、どうして狭間が圏ガクに居るのかという事だった。全生徒に言える事だろうが、圏ガクは自分で選んで受験するような学校ではない為、必然的に本人の意思とは関係のない所で入学が決まる。
オレにしてもそうだ。中三の進路指導を受けた時、すでに両親はそう決めていたらしく、オレは教師の口から自分が圏ガクへ進学する事を知らされた。
聞いてみたい気もしたが、オレはその考えを頭から消した。興味本位で聞くべきではないと思った。要するに、オレも聞かれたくなかったのだ。ここに、圏ガクに来る事になった経緯を。
「あったかいタオル作ったぞ。さあ、セイシュン。服を脱げ」
少し考え込んでいる間に、先輩がオレと向かい合いベッドに腰を下ろした。その手には固く絞られたタオルが三つも握られている。その一つをパタパタと叩き広げると、先輩は真正面から真顔でオレをジッと見つめてきた。オレは用意してくれたタオルを使わせて貰おうと、先輩へと手を差し出す。
「服を着たまま拭くのか? 脱ぐのは寒いか……よし、分かった。このまま拭くぞ」
まだ寒気は多少あるが、体を拭く間くらい平気だ。夕べよりは体の自由も効く、今ならちゃっちゃと終わらせられると思っていたのに、先輩はずいっと近づいて来ると、オレの服の内側に手を滑り込ませてきた。
「ちょっ! ちょい待ち! なんで? いやいや、自分で拭けるから!」
腹の上を少し熱いくらいのタオルに撫でられ、一瞬でパニックに陥る。タオル越しに先輩の指が自分の体に触れていると思うと、一気に心拍数が上がってしまう。これは心臓に悪い。ただでさえ体調が悪いのに、このままでは昇天してしまう。
「すぐ終わるから、ちょっとだけ我慢しろ」
我慢って……無茶言うな! 襟から手を出して首筋や耳を柔く撫で回されて、もう朝勃ちなんて言い訳できないくらい、ヤバイ状態なのに。咄嗟に股に抱え込んだ枕のおかげで、先輩には気付かれていないが、バレたら一巻の終わりじゃないか。無心、無心だ。変に意識するから、下半身が反応してしまうんだ。無心で堪えろ。堪えてくれ、オレの体ぁー!
「手を背中に回すぞ」
先輩が律儀に予告してくれるから、身構える事も出来るんだが、予想外の刺激が度々あって情けない声を上げてしまった。
「セイシュン、変な声出すなよ。なんか悪い事してる気分になる」
背中に手を回す先輩の顔は、目と鼻の先にある。と言うか、抱きしめられてるとしか思えない体勢だ。しかも服に手を突っ込まれている。どう考えても、まともな状況じゃないって気付け。
「ちょ、せんぱい、マジで……っ、マジでヤバイから。こんな所、誰かに見られたらどーすんだよ」
妙な声を上げそうになるのを押さえ、必死で訴えると、先輩はピタリと動きを止め、オレの肩に顎を置き「うーん」と考えるように呻った。
「なんか……俺がセイシュンを襲ってるみたいに見えるな」
心外だと言わんばかりの声で、先輩はオレの耳元に息を吹きかけるように答えた。多分、先輩はそんなつもりないのだろうが、こっちとしては堪ったもんじゃない。ゾクゾクと体中に鳥肌が走りまくり、その刺激の終着点は現在進行形で膨張を続けている。
「どっからどう見ても、おかしいだろ! いい加減に気付け、バカ!」
先輩の体が、股に挟んだ枕に軽く触れているおかげで、直接的な刺激まで加わり、もう無理だと思ったオレは、声を荒げて先輩の腹を足裏で押し返した。素直にオレの服の中から手を抜いてくれた先輩は、不満そうな顔でオレを見た。
「少しは我慢しろよセイシュン。すぐに済むって言ってるだろ?」
「だから、自分でやるって言ってんだよ!」
「背中は自分で拭けないじゃないか。せっかく着替えるんだから、しっかり汗を拭き取っておかないと」
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「……背中……お願いします」
顔を見られていないだけマシだが、渋々そう口にすると、先輩は軽く吹き出して笑いやがった。無性に悔しくて、オレは先輩からまたタオルを奪おうとしたのだが、やんわりと肩に触れられただけで断念してしまった。
服の上からでも、タオルの上からでもなく、直に肌に触れられるのってヤバイ。熱っぽいのもあるだろうが、どんどん自分の体温が上がっていくのが分かる。
「セイシュンは強く擦る方が好きみたいだけど、乾布摩擦じゃないんだからな。これくらいでいいんだ」
温かいタオルが柔らかく背中を撫でた。気持ちよくて、思わず「うん」と頷いてしまった。腰の辺りまで下りてくると、オレの二の腕を軽く持ち上げて、脇腹から脇の下まで丁寧に拭いてくれる。
迷いのない手際のおかげで、くすぐったさは全く感じなかったが、その感覚は黙ったまま甘受してはいけないモノだった。先輩から見えないのを良い事に、枕をグッと抱え込んでしまう衝動に抗えなくなってしまったのだ。枕が強く押し当てられて、思わずゾクッと腰が震える。
「悪い、体が冷えちまったな。ほら、もう新しいの着てもいいぞ」
頭からスッポリと着替えを被せられた。そのおかげで、我を忘れて先輩の前でしこり出さずに済んだ。枕から手を離して、オレは新しい着替えに袖を通す。
後は布団を被って自然におさまるのを待とう。そう思ってオレが先輩の方へと振り返ると、先輩は真面目な顔で
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