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圏ガクという環境
突撃インタビュー!
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「また早飯しに来たの?」
わざわざ旧館にカレーを食いに来ていたのを思い出し(その大半をオレがかっさらったのだが)そう聞いてみると、先輩は首を左右に小さく振って否定した。
「……ちょっとリサーチしようかなって」
予想外な答えに首を傾げていると、先輩は観念したように肩を少し落として、やや投げやりに笑って見せる。
「来週、んーもう今週か。セイシュンと遊ぶって約束しただろ。あの時、お前すごい喜んでたから、ガッカリさせたくないって言うか……俺さ、あんまり誰かと遊びに行ったりって経験ないんだよ。だから、何したら楽しんで貰えるかなぁーって思って、リサーチ」
そう言うと、先輩はハッとした顔をしたかと思えば「自分でも真剣に考えたんだけどな」と慌てて付け加えた。
オレが遊ぶ約束で頭がいっぱいだった時に、先輩も同じように約束の事を考えてくれていたらしい。意味も無く笑い出してしまいそうでヤバイ。顔がにやけないよう注意しながら、あまり嬉しそうな声にならないよう「ふーん」と素っ気なく相槌を打つ。
オレの為に、ここを通る一年を片っ端から捕まえて、週末に何をして遊びたいか聞いて回ってくれたというのに、素っ気ないとか感じ悪いかな。いや、でも、素直に自分の気持ちをぶつけると、医務室で約束をしてもらった時の再現になってしまうので、そんなモノを野放しには出来ない。
てか、ここを通る一年に片っ端から声かけてたのか、この人。そりゃ上級生から休日に何をして遊んでいるのか聞かれたら、何か殴る理由を探されていると思ってビビるのが普通だが、この先輩なら話は別だ。そんなふうに聞かれたら、誘ってくれてるのかなーとか変に勘違いする奴が出て来るに決まってる。
「オレと遊ぶって約束したのに、なんでわざわざ他の奴に聞くんだよ!」
「ん? なんで他の奴に聞かなきゃいけないんだ? あぁ、誰か他にも誘いたいのか」
「違う! そうじゃなくて、オレとの約束じゃん。オレに聞けばいいだろ」
せっかく先輩と二人で遊べると思っていた約束が、なくなってしまうんじゃないかと焦って、感じ悪いを通り越して声を荒げてしまった。自己嫌悪で先輩の顔をまともに見られない。俯きながらだが、とにかく「ごめん」と謝った。
「別に誰にも何も聞いてないよ。リサーチしようと思って、苦手克服で時間潰して待ってたんだ」
大きな手のひらが、オレの頭にポンと置かれる。こんな些細な事でも盛大に勘違いして、早とちりするオレを見て、先輩はおかしそうに笑う。
「セイシュンと一緒に何して遊ぶか考えようって思ってさ」
顔を上げて先輩の表情を恐る恐る窺うと「分かったか?」と言うような優しい目とぶつかる。余裕なさすぎて泣けてくる。オレはもう一度しっかりと謝り「分かった」と頷いた。
「じゃあさっそくリサーチ開始な。セイシュンは何したい?」
冗談めかしてマイクを持っているかのように、拳を向けて来る先輩。さっき恥を掻いたばかりだと言うのに、オレの頭の中に瞬時に浮かんだ答えは、口に出した瞬間に約束どころか先輩との縁を断絶するような内容だったので、もちろん自重し悩むようなポーズを取って誤魔化した。
「まあ、前にも言ったけど、遊ぶって言っても山から下りられる訳じゃないから、こうゲームセンターとかカラオケに行きたいって言われると、俺は正直困るなぁ」
最寄りの駅の様子を見る限り、山を下りてもゲーセンやカラオケはないだろう。それこそ、もう二つ三つ山を越えない事には。
「そんなん言わないよ。オレあんまりカラオケとか好きじゃないし」
オレが即座に否定すると、先輩は少しホッとしたような表情をした。
先輩と一緒に過ごせるなら、なんでもいい。
ストレートに伝えればいいのだろうが、ヘタにやましい気持ちがあるせいか、どうしてもそのまま口には出せなかった。
先輩もまた真剣に考えてくれているようで、二人してうーんと呻る。とにかく何か案を出したい。オレは隣に居る先輩を意識しまくる思考を遮断し、本気で何かないか考え出す。
うん、ここは別のアプローチで考えてみよう。『どこで』遊ぶのかではなく『なにを』して遊ぶのか、だ。
先輩とエロい遊びしたいとか冗談でも言っちゃ駄目だ。しっかり自重を継続しつつ、圏ガクで出来る遊びを片っ端から上げてみる。…………ん、予想以上に何もなかった。
教室で駄弁ったり、暇に飽かして同じく暇してる奴に喧嘩売るくらいしか、オレの周りで流行ってる遊びってない。
「先輩の部屋で……その……トランプ、とかでもいいよ、別に」
必死で考えた結果トランプって、どうなんだ。情けなく思いながらも、ちゃっかり『先輩の部屋で』と自分の希望を交え答えると、先輩はパッと顔を輝かせた。
「トランプならあるぞ。あーでも、せっかくの休みをトランプだけって寂しいなぁ」
けれど喜んでくれたのは一瞬で、すぐに考え込んでしまった。
「将棋とか囲碁とかも探せばあるかもな。雀卓もどっかにあったはず」
「将棋も囲碁も麻雀も全部却下。ルールとか難しいのんばっかじゃん、オレやった事ない」
「俺もあんまり上手くないけど、ちゃんとルール説明しながらやるから大丈夫だぞ? あ、俺より詳しそうな奴を呼んで教えてもらうってのもアリだな」
また、か。どうしてこう……先輩、もしかしてオレと二人ってキツイとか思ってるのかな。そう考えてしまうと、また醜態を晒しそうになったが、今度は必死で押さえ込んだ。でも、少し取り逃がしたらしく、廊下からは見えない所で、オレは先輩の袖口をギュッと掴んでしまった。
「あんま後輩いびんなよ……先輩以外の、他の上級生と一緒って嫌がらせだろ、それ」
子供っぽくて嫌になるが、拗ねたような顔をしている自覚がある。ジト目で睨んでも、どう頑張ろうと上目遣いになってしまうのが歯痒い。
「あー、やっぱり駄目か。でも、俺が声かけられるのって、真山ぐらいなんだよ……あいつならセイシュンも大丈夫じゃないか? 面識あるし気に入られてるし」
「嫌だよ! てか、気に入られてるって何!? フツーに恐ぇよ!」
こっちは全然笑えないのに、先輩は楽しそうに笑っている。腹立つのに頭を撫でられて、満更でもない気分に落ち着いてしまった。
「別に怖がる必要はないと思うぞ。三年が一年に干渉する事って基本的にないだろ? 真山本人がそういうふうに徹底させてるから、殴られたりする心配ないぞ?」
「いやいや、その番長にオレ殴られてるからな! 軽くトラウマだからな!」
頭に置かれた手を振り払って、ここは声を上げて抗議してみた。痣こそ消えたが、あの痛みは暫く忘れられそうにない。
「あの時はお前が刃物持ち出してたから」
「刃物じゃねーし……ナイフじゃなくてフォークだったし」
「一緒だ。フォークだろうと、突き刺したら怪我するだろ。当たり所が悪かったら一生モノの怪我になっちまう。だから、両成敗」
納得いかねぇ……いや、納得せざるを得ないけど、でも! オレもなんか頭に血が昇って勢いで飛び掛かったけど、あの笹倉と両成敗は納得いかねぇ。あいつのせいで、寮長はザーメン塗れになったんだぞ。絶対あいつの方が非は大きい。
「ただの喧嘩なら真山だって、仲裁に入ったりしないよ。ん、今の圏ガクでは『喧嘩上等、ただし素手のタイマン』が基本だから覚えておくよーに」
ここテストに出るぞーみたいな言い方された。先輩として良いアドバイスしてやったという、ちょっと誇らしげな充実感をその暢気な顔に見てしまうと、気持ちが一気に萎えて反論する気は失せてしまった。
「先輩と二人がいい。オレ暇を潰したい訳じゃなくて、先輩と遊びたいだけだから」
色々と取り繕うのが阿呆らしくなって、何も考えず口を開くと、素直に本心を白状してしまった。一瞬だけ焦るが、約束をした時点で一発やらかしてる身としては、今更だなと開き直る。
露骨に引かれてたら、そんな事を考えると顔を上げるのに少しばかり勇気が要ったが、出した気持ちを引っ込める気は全くなかったので、真っ直ぐに先輩の横顔を見つめた。
「そっか…………なんて言うか」
真面目な表情で、先輩は相槌を打つように頷いた。それから、ゆっくりオレの方を見ると
「ちょっと照れるな」
そう呟いて柔らかく笑ってくれた。
その日は夕食配膳が始まるまで、何して遊ぶかの相談を棚上げにして、雑談で終始してしまった。結局何も決められず、先輩を見送ったのだが、その別れ際に少し迷うような表情の後「また、明日な」と嬉しい一言を残してくれた。
その言葉通り、ソワソワしながら放課後、少しばかり時間を潰して、昨日と同じくらいの時刻に旧館へ帰ると、先輩は自販機前のベンチでちゃんとオレを待っていてくれた。
当然のようにジュースを奢ってくれると言うので、つい甘えそうになるが、例え百円の紙パックジュースであろうと、毎日のように買って貰うのは申し訳なくて断ると、何故か先輩から説教を受けた。
「セイシュン、圏ガクではな、先輩の奢りを受け取らないってのは許されないんだ。だからこれから断ったら怒るからな」
大真面目な顔で言われると、こちらも神妙な顔して頷いたのだが、オレが飲むジュースの銘柄で大揉めして、またしても大した話は出来ずに解散。「明日は野菜ジュース飲め」と無理矢理にオレが自分の嗜好を押し通したせいで、恨めしげな表情で抗議しながら去って行く先輩を見送った。
わざわざ旧館にカレーを食いに来ていたのを思い出し(その大半をオレがかっさらったのだが)そう聞いてみると、先輩は首を左右に小さく振って否定した。
「……ちょっとリサーチしようかなって」
予想外な答えに首を傾げていると、先輩は観念したように肩を少し落として、やや投げやりに笑って見せる。
「来週、んーもう今週か。セイシュンと遊ぶって約束しただろ。あの時、お前すごい喜んでたから、ガッカリさせたくないって言うか……俺さ、あんまり誰かと遊びに行ったりって経験ないんだよ。だから、何したら楽しんで貰えるかなぁーって思って、リサーチ」
そう言うと、先輩はハッとした顔をしたかと思えば「自分でも真剣に考えたんだけどな」と慌てて付け加えた。
オレが遊ぶ約束で頭がいっぱいだった時に、先輩も同じように約束の事を考えてくれていたらしい。意味も無く笑い出してしまいそうでヤバイ。顔がにやけないよう注意しながら、あまり嬉しそうな声にならないよう「ふーん」と素っ気なく相槌を打つ。
オレの為に、ここを通る一年を片っ端から捕まえて、週末に何をして遊びたいか聞いて回ってくれたというのに、素っ気ないとか感じ悪いかな。いや、でも、素直に自分の気持ちをぶつけると、医務室で約束をしてもらった時の再現になってしまうので、そんなモノを野放しには出来ない。
てか、ここを通る一年に片っ端から声かけてたのか、この人。そりゃ上級生から休日に何をして遊んでいるのか聞かれたら、何か殴る理由を探されていると思ってビビるのが普通だが、この先輩なら話は別だ。そんなふうに聞かれたら、誘ってくれてるのかなーとか変に勘違いする奴が出て来るに決まってる。
「オレと遊ぶって約束したのに、なんでわざわざ他の奴に聞くんだよ!」
「ん? なんで他の奴に聞かなきゃいけないんだ? あぁ、誰か他にも誘いたいのか」
「違う! そうじゃなくて、オレとの約束じゃん。オレに聞けばいいだろ」
せっかく先輩と二人で遊べると思っていた約束が、なくなってしまうんじゃないかと焦って、感じ悪いを通り越して声を荒げてしまった。自己嫌悪で先輩の顔をまともに見られない。俯きながらだが、とにかく「ごめん」と謝った。
「別に誰にも何も聞いてないよ。リサーチしようと思って、苦手克服で時間潰して待ってたんだ」
大きな手のひらが、オレの頭にポンと置かれる。こんな些細な事でも盛大に勘違いして、早とちりするオレを見て、先輩はおかしそうに笑う。
「セイシュンと一緒に何して遊ぶか考えようって思ってさ」
顔を上げて先輩の表情を恐る恐る窺うと「分かったか?」と言うような優しい目とぶつかる。余裕なさすぎて泣けてくる。オレはもう一度しっかりと謝り「分かった」と頷いた。
「じゃあさっそくリサーチ開始な。セイシュンは何したい?」
冗談めかしてマイクを持っているかのように、拳を向けて来る先輩。さっき恥を掻いたばかりだと言うのに、オレの頭の中に瞬時に浮かんだ答えは、口に出した瞬間に約束どころか先輩との縁を断絶するような内容だったので、もちろん自重し悩むようなポーズを取って誤魔化した。
「まあ、前にも言ったけど、遊ぶって言っても山から下りられる訳じゃないから、こうゲームセンターとかカラオケに行きたいって言われると、俺は正直困るなぁ」
最寄りの駅の様子を見る限り、山を下りてもゲーセンやカラオケはないだろう。それこそ、もう二つ三つ山を越えない事には。
「そんなん言わないよ。オレあんまりカラオケとか好きじゃないし」
オレが即座に否定すると、先輩は少しホッとしたような表情をした。
先輩と一緒に過ごせるなら、なんでもいい。
ストレートに伝えればいいのだろうが、ヘタにやましい気持ちがあるせいか、どうしてもそのまま口には出せなかった。
先輩もまた真剣に考えてくれているようで、二人してうーんと呻る。とにかく何か案を出したい。オレは隣に居る先輩を意識しまくる思考を遮断し、本気で何かないか考え出す。
うん、ここは別のアプローチで考えてみよう。『どこで』遊ぶのかではなく『なにを』して遊ぶのか、だ。
先輩とエロい遊びしたいとか冗談でも言っちゃ駄目だ。しっかり自重を継続しつつ、圏ガクで出来る遊びを片っ端から上げてみる。…………ん、予想以上に何もなかった。
教室で駄弁ったり、暇に飽かして同じく暇してる奴に喧嘩売るくらいしか、オレの周りで流行ってる遊びってない。
「先輩の部屋で……その……トランプ、とかでもいいよ、別に」
必死で考えた結果トランプって、どうなんだ。情けなく思いながらも、ちゃっかり『先輩の部屋で』と自分の希望を交え答えると、先輩はパッと顔を輝かせた。
「トランプならあるぞ。あーでも、せっかくの休みをトランプだけって寂しいなぁ」
けれど喜んでくれたのは一瞬で、すぐに考え込んでしまった。
「将棋とか囲碁とかも探せばあるかもな。雀卓もどっかにあったはず」
「将棋も囲碁も麻雀も全部却下。ルールとか難しいのんばっかじゃん、オレやった事ない」
「俺もあんまり上手くないけど、ちゃんとルール説明しながらやるから大丈夫だぞ? あ、俺より詳しそうな奴を呼んで教えてもらうってのもアリだな」
また、か。どうしてこう……先輩、もしかしてオレと二人ってキツイとか思ってるのかな。そう考えてしまうと、また醜態を晒しそうになったが、今度は必死で押さえ込んだ。でも、少し取り逃がしたらしく、廊下からは見えない所で、オレは先輩の袖口をギュッと掴んでしまった。
「あんま後輩いびんなよ……先輩以外の、他の上級生と一緒って嫌がらせだろ、それ」
子供っぽくて嫌になるが、拗ねたような顔をしている自覚がある。ジト目で睨んでも、どう頑張ろうと上目遣いになってしまうのが歯痒い。
「あー、やっぱり駄目か。でも、俺が声かけられるのって、真山ぐらいなんだよ……あいつならセイシュンも大丈夫じゃないか? 面識あるし気に入られてるし」
「嫌だよ! てか、気に入られてるって何!? フツーに恐ぇよ!」
こっちは全然笑えないのに、先輩は楽しそうに笑っている。腹立つのに頭を撫でられて、満更でもない気分に落ち着いてしまった。
「別に怖がる必要はないと思うぞ。三年が一年に干渉する事って基本的にないだろ? 真山本人がそういうふうに徹底させてるから、殴られたりする心配ないぞ?」
「いやいや、その番長にオレ殴られてるからな! 軽くトラウマだからな!」
頭に置かれた手を振り払って、ここは声を上げて抗議してみた。痣こそ消えたが、あの痛みは暫く忘れられそうにない。
「あの時はお前が刃物持ち出してたから」
「刃物じゃねーし……ナイフじゃなくてフォークだったし」
「一緒だ。フォークだろうと、突き刺したら怪我するだろ。当たり所が悪かったら一生モノの怪我になっちまう。だから、両成敗」
納得いかねぇ……いや、納得せざるを得ないけど、でも! オレもなんか頭に血が昇って勢いで飛び掛かったけど、あの笹倉と両成敗は納得いかねぇ。あいつのせいで、寮長はザーメン塗れになったんだぞ。絶対あいつの方が非は大きい。
「ただの喧嘩なら真山だって、仲裁に入ったりしないよ。ん、今の圏ガクでは『喧嘩上等、ただし素手のタイマン』が基本だから覚えておくよーに」
ここテストに出るぞーみたいな言い方された。先輩として良いアドバイスしてやったという、ちょっと誇らしげな充実感をその暢気な顔に見てしまうと、気持ちが一気に萎えて反論する気は失せてしまった。
「先輩と二人がいい。オレ暇を潰したい訳じゃなくて、先輩と遊びたいだけだから」
色々と取り繕うのが阿呆らしくなって、何も考えず口を開くと、素直に本心を白状してしまった。一瞬だけ焦るが、約束をした時点で一発やらかしてる身としては、今更だなと開き直る。
露骨に引かれてたら、そんな事を考えると顔を上げるのに少しばかり勇気が要ったが、出した気持ちを引っ込める気は全くなかったので、真っ直ぐに先輩の横顔を見つめた。
「そっか…………なんて言うか」
真面目な表情で、先輩は相槌を打つように頷いた。それから、ゆっくりオレの方を見ると
「ちょっと照れるな」
そう呟いて柔らかく笑ってくれた。
その日は夕食配膳が始まるまで、何して遊ぶかの相談を棚上げにして、雑談で終始してしまった。結局何も決められず、先輩を見送ったのだが、その別れ際に少し迷うような表情の後「また、明日な」と嬉しい一言を残してくれた。
その言葉通り、ソワソワしながら放課後、少しばかり時間を潰して、昨日と同じくらいの時刻に旧館へ帰ると、先輩は自販機前のベンチでちゃんとオレを待っていてくれた。
当然のようにジュースを奢ってくれると言うので、つい甘えそうになるが、例え百円の紙パックジュースであろうと、毎日のように買って貰うのは申し訳なくて断ると、何故か先輩から説教を受けた。
「セイシュン、圏ガクではな、先輩の奢りを受け取らないってのは許されないんだ。だからこれから断ったら怒るからな」
大真面目な顔で言われると、こちらも神妙な顔して頷いたのだが、オレが飲むジュースの銘柄で大揉めして、またしても大した話は出来ずに解散。「明日は野菜ジュース飲め」と無理矢理にオレが自分の嗜好を押し通したせいで、恨めしげな表情で抗議しながら去って行く先輩を見送った。
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