転生令嬢の幸福論

はなッぱち

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第三章

割り切って信頼してやりました。

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「別に何もしていませんわ。ユリア様、いい加減になさいまし。泣きたいのは私の方ですのよ」

 一週間、監禁されていた事を告げると、サリー様は表情を曇らせ、ユリア様を胸元から引き剥がしました。

「違うの、違うのよ。この子の方こそ何もしていないなんて嘘ばっかりなんだから!」

 ご自分のお年を考えて発言なさったらと、注意してさしあげるべきでしょうか。聞き苦しく見苦しいユリア様は、私をやたらと指さしながら、サリー様と別れてからの事情を説明しました。

 色々と訂正も致しましたが、概ね事情を理解して頂けたらしいサリー様は、これまた大きな溜め息を吐いて私を睨みました。

「ババアの兵隊相手に大立ち回りとは……恐れ入ったね。アンタの美貌なら、その辺の女なんて数に入らないだろうに」

「勘違いなさらないで。別にあの方たちに同行して欲しくなくて排除した訳ではありませんわ。と言うか、排除ってなんですか、失礼な! 私は彼女たちを更正させるべく、少々手荒ですが手を差し伸べたにすぎません」

「呪術院って言ったね。アレが何であるか知ってたとは意外だよ」

「……少し、調べれば……誰でも分かる事ですわ」

「いいや、多少の心得があっても気付けないもんさ。呪いとして形になってないからね」

 サリー様は鋭い視線を私に向けてきます。それを私は真正面から受け止めます。それは私が受け止めなければならない批難。そして、今の私には、受け止めた批難を投げ捨てられる理由があります。今の私は、あの家で育ったアリシアではないのですから。

「あのような不健全なモノは燃やし尽くしてしかるべきです。私は何か間違っていまして?」

「いいや、胸がすくねぇ。さぞや、ババアはお怒りだろうよ。二人共、よく首と胴体が繋がったまま教会を出られたもんだ」

 私の言葉に納得してくれたのか、サリー様は豪快に笑い出しました。そして、スッと真面目な顔を見せたかと思うと「安心しな」と私とユリア様の肩に手を回して不敵な表情を浮かべます。

「あんたらはアタイが守ってやるよ。ババアには指一本触れさせやしないさ」

 私のナイト様は、またもユリア様を号泣させ、ほんの少し私の心も軽くさせました。まあ、贅沢を言わせて頂くなら、やはりこういった台詞は殿方に……いえ、止めておきましょう。

 エイダンとのご縁が成就するまで、このお人好しのナイト様に私の貞操を守って頂かねば。男所帯の大遠征。いくら高嶺の花とは言え、おかしな気を起こす輩がいないとも限りません。

「頼りにしておりますわ、サリー様」

「おお? あんたが頭を下げるなんて、こりゃ珍しいこともあるもんだ」

 一応、礼を尽くしてお願いしておりますのに、サリー様は失礼にも、鳩が豆鉄砲を食ったようなお顔をなさいます。けれど、どうしてか腹もあまり立ちません。

「任せな。アンタに降りかかる火の粉は、全部アタイが振り払ってやるよ」

 乱暴な口調がこれ以上なく頼もしく聞こえます。私はサリー様の事を何も知らないというのに……不思議な方です。
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