転生令嬢の幸福論

はなッぱち

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第二章

珍味の産地確認をしてやりました。

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「エポロ山で見つけた獣ならば、狩ったのは確かに僕だが……アレが魔獣というモノであったとは、今の今まで知らなかった。それは本当なのか?」

 見ている者を老若男女問わず惑わせてしまうような美しさをひけらかしながら、青年は「そうとも、貴殿こそ我らが探し求めた光」などと、まるで退場して頂いた村長様の穴を埋めるような行動を始めました。

「あのネットリと独特の食感が印象的だった獣が、まさか魔獣であったとは……驚いたな」

 エイダンの同意を求めるような視線に、私の体が硬直するのが手に取るように分かりました。

 薬草の苦みや青臭さすら掻き消す、世に溢れる生臭さを煮詰めたような肉の味を思い出し、体から心が乖離しているのです。

「エポロの魔獣? そう言えば、あの辺りから逃げてくる奴らの溜まり場になってた、西門の外が異様に閑散としてはいたが……あの男、何者だ」

 迷惑極まりない非常に目を惹く青年の語るエイダンの武勇伝に、サリー様の表情が剣呑な色を帯びて参りました。

「エポロ山の魔獣とは、そんなに有名でしたの?」

 今となっては他人事の身です。衝撃の事実もサラリと流せる今の私は、サリー様にそう伺いました。けれど、親切丁寧な説明は頂けず、険しい視線を騒ぎの方へと向けます。

「こりゃあ、今回の仕事は降りた方がよさそうだね」

 そして、魔王討伐隊の結成から目を背け、テーブルのワインボトルを掴むや、そのまま豪快にゴクゴクと喉を鳴らして飲み干しました。

「どうしてですの? 魔王討伐なんてお遊びには付き合いきれませんか?」

 なんだか特攻する気が失せてしまい、私もテーブルに戻りますと、つまらなそうな顔をしたサリー様が愚痴るように答えて下さいます。

「遊びじゃ済まないよ。あの男と同じ方向へ進むのは危険だ。確実に魔獣が出張って来る」
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