転生令嬢の幸福論

はなッぱち

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第二章

決意を新たにしてやりました。

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「もちろん、聞いていますとも」

 口に入っておりましたステーキをしっかり咀嚼して飲み込み、疎かになっておりました相槌と一緒に、誤解を解いておきます。

「アタイには、肉にかぶり付いてるようにしか見えないがね」

「まあ、失礼ですね。私、耳では食事などいたしませんわ。ほら、見て下さいまし、しっかりと空いているでしょう。サリー様のご高説ちゃんと耳に届いておりますとも」

「いちいち腹の立つ言い方をする子だね。まあ、いい……なら、こっからが本題だ」

 サリー様はグッと机に上体を乗りだし、私にも同じように近くに寄るよう申しました。

「エポロに巣くってた魔獣てのは『番い』なんだよ。片割れを殺られて、黙っているとは思えないのさ。正直、今この場にいるのも生きた心地がしないね」

 エイダンの方へ視線をやり、サリー様は肩を竦めて見せました。

「だから、今回の仕事は無しだ。エレノア、いいね」

「私はフィアですわ。そのような名で呼ぶのはよして下さいな」

 私の言葉にサリー様は難しい顔をします。『何を言ってるんだ、話を聞いていたのか』と表情で責めているのでしょう。

 しかし、私にはエレノアとして生きる理由などないのです。どんなに危険であろうと、フィアとして進むしかない。

 それに、エイダンの身にそのような危険が迫っているのであれば、尚のことです。

「サリー様、その無駄に鍛え上げたお体は飾りですか? その程度のことで、尻尾を巻いて逃げるなど、情けないとは思いませんの」

 最後に残した大きめのステーキ一切れに、勢いよくフォークを突き刺します。少々口元が汚れてしまいますが、一口にそれを頬張り反論して来ないサリー様の前でモッシャモッシャと頂きました。

「少々の危険は承知の上です。リスクを恐れていては何も掴めませんわ。大きく賭けて大きく勝ちましょう。今がその時ですわ」

 脱ぎ捨てた趣味の悪いスカーフで口元を拭います。そして、私は伝票をサリー様に手渡し、席を立ちました。

「さあ、そうと決まればお仕事のお話をしましょう。時間がもったいないですから、教会への道すがらで結構でございますよ」

 渋々席を立って下さったサリー様を横目に、私は少しだけ振り返りました。

「必ず、貴方の元へ参ります」

 私の呟く言葉に、エイダンはもちろん気付きません。

 それでも、今の私と貴方の縁は結ばれていると信じ、しばしの別れを噛みしめ、冒険者ギルドを後にしました。
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