転生令嬢の幸福論

はなッぱち

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第三章

聖女宣言をしてやりました。

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 冒険者ギルドの一件で、私のやるべきことがようやく見えてきた気が致しました。

 エイダンにはこのまま予定通り英雄へ道を進んで頂きまして、私は旅の道中で合流する、そして予定通りに運命的な出会いをして結ばれるのです。

 その演出に魔王を倒すなんて、なかなかロマンティックじゃありませんか。

 命を懸けて世界を救ったカップルには、その後の人生、幸福しか待っていないに違いないのです。

 ならば、今急いてエイダンと接触する必要はありません。自分と争うというのも、正直気持ちの良いものではありませんし……まあ邪魔をするならば容赦はしませんが。

「本当にいいのかい。下手をすると死ぬよ」

「もう、私一度は死んでいますもの。かまうものですか」

 ギルドを出てから何度となく繰り返されたサリー様のご忠告に、いい加減うんざりして本音で答えますと、ようやくご理解頂けたのか、彼女の足にも迷いが消えました。

「そこまで覚悟の上なら、アタイが止める理由はないね」

 足を止めて私を見つめますサリー様の表情で、この旅の危険度が窺えます。けれど、引く訳にはいきません。しっかり見つめ返すと、サリー様は豪快に破顔されました。

「安心しな。アタイを誰だと思ってんだい。魔獣が出ようと何が出ようと、アンタ一人くらい抱えて逃げ切ってやるよ」

「そんな弱気でどうしますか。魔獣が出たらステーキにしてご馳走してやるくらい言って下さいまし」

「んなモン食ったら、腹から腐って死んじまうよ。胸くそ悪こと言うんじゃないよ、まったく」

 なんと! サリー様ですら、魔獣を食べようとはなさらないのですね。

 確かに、内臓がどうになっていそうな勢いでお腹は下しましたが、死ぬほどのモノではありませんでしたけどね。

「なら、とっとと教会に話つけに行くよ。アンタ今回の仕事について、どこまで把握してるんだい。抜けがあるなら、道中に説明してやるよ」

 埃っぽい道を歩き、二つ先の通りにある教会へと向かいます。サリー様の言葉に私はスクラップした新聞記事を思い出し『フィア』がたどる未来を告げました。

「隣国の援軍に召集されて、医療班の一員として遠征に向かい、潤いのない旅路で聖女として華々しくデビュー。奇跡の力を持って、殿方を癒やしますわ」
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