転生令嬢の幸福論

はなッぱち

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第三章

生着替えしてやりました。

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 成金様に相応しい、実に高級な銘柄のボトルをケースごとテーブルに置かれ、なんとシスターはグラスを使わずラッパ飲み。それに倣ってかサリー様も同じようにワインをがぶ飲みしました。

「かーッこりゃあ上等な酒だねぇ。アンタの飲みっぷりも変わりないねぇ、こうでなくちゃ話はできねーわな」

 ガハハと山賊の頭のような野太い笑い声を上げるサリー様の横で、上品さをワインで洗い流したのか、目の据わったシスターがジロリと私を睨んで来ます。

「聖女になりたいだなんて、ここ意外では口にしない方が身のためだよ、嬢ちゃん」

 口調すらも違います。けれど、それはシーザライ様に一瞬向けられたソレと同質で、こちらがこのユリア様の素なのだと認識致しました。

「そもそも聖女聖女って言う割に、何も知らないってふうだ。どこまで知っているのか、まずはそこからお話よ」

 ワインボトルの注ぎ口を向けられ、そう問われましたので、私は素直にありまのままお答えしました。

「私以外に聖女を名乗る方がいらっしゃるのを、今日ユリア様の口からお聞きするまで存じませんでしたわ」

「アンタが聖女だなんだ騒ぎ出したのも今日じゃないか。その妙な芝居を始めるまでは、この服にさえ唾を吐きかけるような子だったのにさ」

「なんですって! ちょっとサリー様、それは本当ですの。この服に唾ですって!」

 ありえません。私は飲んだくれのシスターユリア様に即刻替えを要求しました。

 さすがに同じ脅威的な胸囲をお持ちの女性です。少々、ウエストの辺りに布地が余りますが、許容範囲でしょう。ご厚意で用意して下さった服に着替え席に戻ると、ユリア様は実に不躾な視線を私に向けてきました。

「マザーを知らず聖女を語るって、貴女……聖女をなんだと思っているのかしら」

 私が着替えている最中に、少し頭が冷えたらしいユリア様は、グラスにワインを注ぎながら口調も元の調子に戻られていました。
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