Sin orchid

蓮音

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開花

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開花

秋になったら  文化祭で 伊上の作詞した曲をバンドでやって
地域の人に見てもらったり   期末試験に向けてグダグダいいながら 勉強する。
そんな 理想のストロボが止まる。
揺れるバスの中 ただ、状況の整理を行っていた。

分かることは、少なすぎる。
担任は 死んだ。 殺された。あの男に。
担任を、殺した男は 仲間を3人ほど連れていた。みんな銃を持ってて、一学生の動きではどうにも状況は変わらないらしい。

バスに乗せられて 4時間が経過した頃 おろされた。
そこは 感染地域。
日本は F-ウィルスの発症が多かった 関西を 昔でいう 山梨県ぐらいの所で閉鎖をした。

今伊上達のいる所が、そこだ。
大きな門を境に 反対側は安全区域。もう一方は地獄。
でも、何故こんなトコに?

我慢が切れたのか神谷と 横見が泣き出す。
仕方のない事だ。そんな中 小関が声を上げる。
「おい! いきなり何なんだよ!説明の一つや二つあってもいいだろ!!」
男は答える
「そーだな、なら門に入れ」
返事も出来ぬまま 全員が地獄の中に。足を踏み入れる。

最初に目にしたのは、今までと全く反対の世界。
崩れた建築物。枯れた花。 ひび割れた道路。

全員が、その光景に 圧巻としていた。
そんな中 柊が口開く
「私達、これからどうなるの?」
目には涙がたまっている。 当然の質問。よくよく耳を澄ませれば 神谷も横見も号泣だ、言葉にならない 声を 吐き続けている。
「とりあえず、何か方法を探そう」布石が言うと 
小関が声をかぶせていう
「ふざけんな!!そんなのんきな事言ってれば 俺らだって 感染するんだぞ!!」
斎藤が言う
「でも、どーしよーもないだろ!!それしかないんだ!!」
一瞬 沈黙が訪れる。
「俺は、俺だけでも逃げてやる。呑気にはなれない!」
小関が走り出そうとする。
「まてよ!!!」伊上が口にしようとすると  頭の中で声が響く  【生き残れ 誰でもなく お前が  僕を殺すなよ】
伊上から発せられた言葉は 先ほどの言葉ではなかった
「群れを外れた 動物は 殺される 。 君がそれでいいなら俺は構わない。」
さっきとは 違う沈黙が訪れる。 
いつも明るく、クラスでも中心にちかい、そんな伊上からとは思えない言葉だったのだから。 自分でも驚いた。
「とりあえず!まずは状況を確認しよう」
斎藤の一言でやっと全員まとまった。

「わかってる事が、少なすぎんるだ。神谷、どーする?」と斎木。
「とりあえず、門に入れてもらおうよ ここにいても意味がないよ、」
全員一致で 門に歩き出そうとした時
壊れたビルのオフィスから  一人。こちらに向かってくる。
ボロボロの服。一目でわかる。普通の人じゃない。
でも、何か聞けるかもと 最初に動いたのは 斎藤だった。



斎藤は、みんなを今は纏めている。
だから、弱いとこは見せられない。でも、やっぱり人間だから 怖いものは、怖い。怖いといえば、さっきの伊上の発言も。
だからこそ、普通じゃ、なさそうな人でも 近づいて 話しかけようとしてしまった。
「こんにち、、、、」
ここで、斎藤の意識は途切れる。


神谷は気がついた、神谷しか気付けなかった  歩み寄ってくる人の  左手が 人のものじゃなくなっている事に。
荒削りを、した大理石のような そんな手に。
「斎藤くん!まって!」
言った時には  その手は斎藤を通り抜けていた。


伊上達の目の前で、斎藤がたおれる。
とっさに小関は叫ぶ  「門まで走れ!!!!!!」

布石の視界に 動かない神谷がうつる。
まずい、、神谷も巻き込まれる!!
「神谷ー!!!!何やってるんだ!こい!!」
返答がない。足がまるで鎖に繋がれているように、彼女は動かない。
(ちぃ、なら、おれが運ぶしかないか?)

動かない神谷の元に 布石が走っていく。
伊上は思う。俺は?俺はどうしたらいい??
斎藤が、死んだ。明るくて 太陽みたいなやつが、みんなを纏めるリーダーが、、、。。
おれの、大事な、、、、、、。

いや、とりあえずは門にいくんだ、それまでは、、、。

布石、神谷以外は門にたどり着く、
小関が門を叩く
「あけてくれ!!たのむ!!」
横見も 柊も泣き叫ぶ
「あけて!」「一人、一人襲われたのよ!!!」

布石と神谷がたどり着く。人外の物を連れて。
人外の物が 神谷を襲おうとする。
驚く事に布石は 斎藤の亡骸まで 運んできていた。

人外の腕が上に上がる。 
布石に襲いかかろうとする。


神谷は、願った。そこのゴミ箱が、、私達を守る盾になって。
神谷の頭の中に響く声  
《貴方は、何を望む?》
答える。
守りたい。私を、正気に戻してくれた この人を。

小関の頭に響く
《おまえー、何を望むの?》
答える。
あいつを、あの人外を 、、倒したい。

横見 の頭に声が響く。
《何が欲しい?》
答える  
今を変える、何かが、ほしいわ。

白里の頭に響く
《何がほしいの?》
答える 
斎藤君を、、助けてあげたい。。

柊の頭に響く
《何を したい?》
答える
みんなを、助けたい

布石の頭に響く 。
《何が おまえはほしい》
答える 
このクソッタレな状況を変えられればなんでもいい。


そこにいた 伊上以外の全員が 
自分自身の 中を見た。確認をした。 決断をした。自分自身で。

刹那の間に 状況はかわる。
小関 横見 神谷の右目側に 白の幾何学模様が。
白里 柊には緑色。布石は紫色。それぞれの頬に 浮かぶ。

人外との間に 壁が一瞬生まれる。
すぐに消え、
今度は 粒状の何がが人外の腕を撃ち抜く。
パイプの、ようなものが人外の腹を貫く。鮮血が あたりに飛び散る。
荒削りされた 大理石のようなもの。でも、それは仲間を襲ったそれよりも 鋭利なものが 人外の首をはねる。
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