『悪』

篠崎俊樹

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第1話。

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 俺は、四十三年間、精一杯生きてきた。俺が、悪というタイトルを付けて、この小説を書くのも、俺が悪いからじゃない。俺にとって、悪というタイトルが一番良くて、一番、フィットしていると思ったからだ。俺は統合失調症だが、毒親持ちで、参っている。今まで、散々恨みとか、いじめとか、汚いことをされてきた。今度はやり返す番だと思っている。俺は、あえて、悪に変身するつもりでいる。この小説では、適当な分量で、俺の半生を書き綴る。俺にとって、悪というのは、まさに毒親である俺の父親のことだと思うが、俺は、あの悪に、何も言ってやらない。俺としても、この小説は、ある程度、気を入れて、書いてみようと思う。一晩で書く。生々しい内容になると思うが、寛解しているから、平気だ。俺にとって、精神安定剤があるから、怖くない。また、毒親は今日は不在である。居心地がいい。ちなみに、悪と書いて、わると読ませる。俺は悪に染まったこともあったけど、それはいいと思う。俺にとって、激動の四十三年間を綴ってみたい。
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