『お母さん、強い体に産んでくれて、ありがとう』

篠崎俊樹

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お母さん、強い体に産んでくれて、ありがとう

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 お母さん、今、天国のどこかにいると思うけど、強い体に産んでくれて、本当にありがとう。今、ボクは、福岡県朝倉市の新道にある、猿渡新聞店で、新聞配達のアルバイトをしているよ。お母さんは、早く逝っちゃって、お気の毒だったけど、ボクは健康でやってるよ。優子も元気だよ。子供が二人もいて、神奈川県に住んでて、医療事務の仕事をしながら、子育てと家事をやってるよ。旦那もいるよ。今、猿渡新聞店に、毎朝、午前三時起きで、篠崎家の台所で、ご飯をしっかり食べてから、電動自転車で行ってるよ。でも、正直、お父さんは難しいね。認知症で、どうにもならないよ。夜はお酒飲んで、散々暴れるし、テレビばかり見て、寛解も何もしてない。はっきり言って、お父さんは、今後、老健施設か何かに、行ってもらうことになると思うよ。お母さん、でも、ボクは生きるよ。猿渡新聞店のアルバイトは楽しくはないけど、遣り甲斐があって、それなりにやってるよ。夜明けの朝倉市の、中宮野地区を担当してるよ。これは、エッセーだけど、天国のお母さんに書き綴るラブレターで、お母さんが生きてれば、今頃、孫二人がいて、篠崎家は賑やかだったのに、残念だったね。でも、いいよ。ボクは生きるよ。新聞配達のアルバイト、しっかり頑張るよ。天国のどこかから、応援しててね。じゃあまたね。ちなみに、最後に言っておくけど、篠崎家のお墓は、毎年八月の終戦記念日前後に、ボクが、責任をもって、掃除してるよ。安心しててね。じゃあね。天国から、ボクを見ててね。
                            (了)
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