『雨天殺人事件』

篠崎俊樹

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第24話。

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 実父の通夜や葬式に出席しなかったことで、親戚縁者からは、相当、反感を食らった。でも、いいと思えたのが事実であって、別に、俺も、新聞店で働いている以上、些細なことは、気に掛けまいと思っていたのだ。実際、それでよかった。俺にとって、睡眠導入剤を服用しても、寝付けない夜のほうが、返って大変だ。それに、仕事は、今のところ、順調に行っている。これ以上、気に掛けることはないというのが、本音だった。また、本音であるはずであって、今回、巻き込まれた雨天殺人事件も、どうだっていいのが、本当のところだった。俺にとって、新聞店での仕事が第一であって、その他のことは、省略でも、よかった。たまたま、俺が、電動自転車に乗って、新聞を配達するのが得意というだけで、他のことは、どうだっていいことだった。だから、疲れたときは、テレビドラマを聴きながら、ゆっくりと寝る。実際、それでよかった。俺にはそう思える。また、それが、疲れを癒す、一番の解決法だったのだから、俺は納得していた。実際、親のことを構っているほど、青年は暇じゃない。
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