『逆行。』

第37話。

　　　　　３７
　翌朝から、現地の警察官計四人が、二人の新居を張り込み始めた。中では二人が、のんびりと食事を取っており、外にいる警官には、全く気付かない。やがて朝食が終わると、亜季が布団を干して、洗濯をし始めた。ジミーは仕事が夕方からなので、日中はゆっくりと過ごす。
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　昼食は、朝の残り物で済ませて、二人が思い思いに行動する。亜季は、部屋の掃除の後、買い物に出かけた。
　私服姿の警察官に、何ら気付くことなく、彼女が近くのスーパーへと行った。
　ジミーの今夜のシフトは、午後八時からだ。午後五時を回ったところで、亜季が帰ってきた。
「夕飯、食べていくでしょ？」
「ああ」
　受け答えが終わった後、ジミーが、マーブルに着ていく服を選ぶ。水商売とはいえ、仕事は仕事なのだった。選んだ服に着替えると、すでに午後七時だ。二人一緒に夕食を取る。用意された食事を食べ終えたジミーが、早速仕事に出かけた。足取りは軽い。
「気を付けてね」
　玄関先まで亜季が見送る。何か、疲れているようだ。
　家を出たジミーの背後を、警察官が後から付け始めた。黒い影が迫る。計四人の警察官が、二人ずつ、二グループに別れ、行動を開始した。これが、警察のやり方だ。