3 / 5
気付き
しおりを挟む
(あら、何かしらこの手・・・)
1番初めに見たのは、目の前に見慣れない手だった。
私のよりもほっそりとしたそれは、とても白くて若々しい。
そして、その手は小さな背中に添えられて、今にも押そうとしているみたいに見える。
そして――
(おかしいわね。そこは私の手がある所なんだけど?)
違和感に気づいて、手を眺めようと引っ込めたその時。
「見てください、律!池に鯉がいま――え?」
「りつ?――あ、」
小さな背中の持ち主である3.4歳くらいの少年がこちらを振り向き、聞きなれない「りつ」言う名前を言ったと思ったら、次の瞬間には身体が傾き、少年の先にある池に向かって倒れていた。
そして、私は咄嗟に伸びた手で、少年の着物の袖を掴んだ。
「僕!危ない!」
叫んだ時には既に遅く、私も少年も二人揃って池に落ちていた。
「ぷはっ!」
焦って、私は顔を水面目掛けてぶつけた。
池は存外深く、私の首までの高さがあるらしい。
私は急いで一緒に落ちた少年を探した。
すると、まだ少年は水面に上がっていない事がわかった。
少年は確か私の腰ぐらいの身長だった筈。
そう思った私は水中を探った。。
だが、思ったよりも多くの抵抗がかかり、思ったようには動けなかったため、少年は見つからなかった。
見つからない少年のことを考えると心配で、私は潜って探すことにした。
幸い、池にはそんなに広くない。
辛いけど、水の中で目を開けると、少し離れたところで少年が苦しそうに水泡を吐きながらもがいているのが見えた。
やっぱり少年は水中にまだいた。
「待ってて、すぐ助けるから!」
私は水上に顔を出すと、前に進むために水をかいた。
だが、その動きに足が着いて行かない。
足に何かが絡みついているのだ。
見ると自分は少年と同じく、着物を着ていた。
動けなかったのは、それが原因だ。
(これはまずい!でも、あの子に少しでも呼吸させてあげないと死んじゃう)
「誰かぁ!助けて!あの子が死んじゃう!」
私は助けを求めながら、必死に少年に向かって進んだ。
すると、何とか少年の腕を掴んで引き上げることに成功した。
少年はぐったりしていて、息をしているのかすら怪しい状態だった。
(とりあえず、水面に上げないと!)
そう思った私は早かった。
自分が水に沈んででも、少年を上に押し上げた。
「ま――てろ!い――ける――か――」
そして、だんだんと自分の意識も薄れていって、そこからの事は覚えてない。
でも、最後に何か聞こえた様な気がした。
気のせいかしら?
1番初めに見たのは、目の前に見慣れない手だった。
私のよりもほっそりとしたそれは、とても白くて若々しい。
そして、その手は小さな背中に添えられて、今にも押そうとしているみたいに見える。
そして――
(おかしいわね。そこは私の手がある所なんだけど?)
違和感に気づいて、手を眺めようと引っ込めたその時。
「見てください、律!池に鯉がいま――え?」
「りつ?――あ、」
小さな背中の持ち主である3.4歳くらいの少年がこちらを振り向き、聞きなれない「りつ」言う名前を言ったと思ったら、次の瞬間には身体が傾き、少年の先にある池に向かって倒れていた。
そして、私は咄嗟に伸びた手で、少年の着物の袖を掴んだ。
「僕!危ない!」
叫んだ時には既に遅く、私も少年も二人揃って池に落ちていた。
「ぷはっ!」
焦って、私は顔を水面目掛けてぶつけた。
池は存外深く、私の首までの高さがあるらしい。
私は急いで一緒に落ちた少年を探した。
すると、まだ少年は水面に上がっていない事がわかった。
少年は確か私の腰ぐらいの身長だった筈。
そう思った私は水中を探った。。
だが、思ったよりも多くの抵抗がかかり、思ったようには動けなかったため、少年は見つからなかった。
見つからない少年のことを考えると心配で、私は潜って探すことにした。
幸い、池にはそんなに広くない。
辛いけど、水の中で目を開けると、少し離れたところで少年が苦しそうに水泡を吐きながらもがいているのが見えた。
やっぱり少年は水中にまだいた。
「待ってて、すぐ助けるから!」
私は水上に顔を出すと、前に進むために水をかいた。
だが、その動きに足が着いて行かない。
足に何かが絡みついているのだ。
見ると自分は少年と同じく、着物を着ていた。
動けなかったのは、それが原因だ。
(これはまずい!でも、あの子に少しでも呼吸させてあげないと死んじゃう)
「誰かぁ!助けて!あの子が死んじゃう!」
私は助けを求めながら、必死に少年に向かって進んだ。
すると、何とか少年の腕を掴んで引き上げることに成功した。
少年はぐったりしていて、息をしているのかすら怪しい状態だった。
(とりあえず、水面に上げないと!)
そう思った私は早かった。
自分が水に沈んででも、少年を上に押し上げた。
「ま――てろ!い――ける――か――」
そして、だんだんと自分の意識も薄れていって、そこからの事は覚えてない。
でも、最後に何か聞こえた様な気がした。
気のせいかしら?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】
いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。
陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々
だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い
何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる