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戦火再演
第44話
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「私が右翼の指揮を?」
「もちろん、じゃなきゃ連合軍の体にならんのでな」
戻ってきた……。
3ヵ月後、第3大陸暦101年8月のフェン・ロー平原での戦いの前夜。
カルテア王女とシンバ将軍のやりとりが終わる。
右翼側へ移動して、打ち合わせをする。
内容は、おおむね以前と同様でその後、準備を進める。
エンドリ3兄弟との顔合わせも終わり、彼らが部下になる。
ここまでは、予定通り。
だが以前と違う点は……。
「隊長、誰なんです? この女どもは?」
「全員、隊長の愛人だったりして」
「「それな!」」
エンドリ3兄弟に茶化されているのは、女性陣が多いから。
ニウ、リードマン姉妹、メイメイ。
彼女らが戦列に加わったのには色々と理由がある……。
まずニウ。
彼女は、以前の戦いでは首都クレイピアで待機だった。
だが、本人の強い希望があって従軍することになった。
なにが彼女をそうさせたのか、目的がなんなのかは分からない。
シンバ将軍やカルテア王女へ面倒を見る誓いを立てているのでサオン小隊にいる。
次にメイメイ。
彼女はリャムとともにホン皇国からついてきた。
理由は謎の多い自分を研究するため。
直剣と左肩の赤い手もさることながら、まだ何か隠していると疑っている。
たしかにそうだけど、絶対に話さないでおこうと思う。
最後にポメラとセレのリードマン姉妹。
彼女達の首にはメイメイが取り付けた首輪がまだついている。
メイメイは皇国に残ってもいいと伝えたが、一緒についてきた。
皇女が死んでしまったら、ふたりも命も失うため、守ろうと考えたらしい。
シンバ将軍にお願いして、ふたりの指名手配を取り下げてもらった。
だけど風当りが強いのはたしか。
姉妹が酷い目に遭わないのはメイメイのお陰である。
メイメイがホン皇国の第6皇女だから。
別に言っても構わないと言われたのでジェイドに伝えた。
するとカルテア王女の耳に入り、シンバ将軍も知るところとなった。
ホン皇国は謎に包まれた国。
他国と親交もないが、敵対関係にもない。
キサ王国やジューヴォ共和国としては、構える理由はない。
だが、同時にあまり関わりたくない国だ。
シンバ将軍が国賓としてもてなそうとしたが、メイメイは丁重に断った。
彼女の目的はただ純粋に研究することだけにあるから。
自分が研究の対象である内はずっと近くにいそうな気がする。
カルテア王女がジェイドに丘への罠を依頼した次の日。
遂に戦端が開かれた。
幅が浅くて広い川を渡ったすぐのところでサオン隊は煙を焚く準備に入った。
しかし……。
レッドテラ帝国に動きがない。
以前、再演で経験した時と違う。
森の近くまで、進軍した右翼と左翼はそこで一旦停止した。
シンバ将軍が率いる中央軍が渡河するのを待っている。
あそこまで深く進軍するのは想定外だった。
おそらくカルテア王女の目論見から外れてしまったはずだ。
あの位置から突撃されたら、右翼は相当な深手を負いかねない。
「全員、ここで待機。敵軍に動きがあったら計画通り進めてくれ」
「サオン隊長! 俺らも連れていってください」
そう申し出たのはミカ、ルカ、シカ……エンドリ3兄弟。
自分ひとりなら何とかなるが、3人が一緒だと守り切る自信がない。
少し悩んだが、断ろうと口を開きかけたその時。
「また悪い癖が出てるアル」
メイメイがため息交じりに明後日の方向を見ながらつぶやいた。
そのひと言で思い出した。
皆、誇りと信念を持って戦っている。
ポペイの誘拐事件では亡くなった兵がいたが、誰もそれを後悔していない。
ジェイドの時だってそうだ。
かつて地下迷宮で「見くびるな」と一喝された。
もっと、まわりの人間を頼れ、か……。
ニウが従軍を希望した時、断ろうとした。
だが、たまたまその場に居合わせたジェイドに止められた。
ニウがなぜ戦場へ出ようとしているのかを考えてみろ、と。
その後、考えてひとつだけ分かったことがあった。
彼女の決意は彼女のものであって、自分がどうこう指図してはいけない。
例え皆が完璧ではなくても、力の限りを尽くせばいい。
皆、それぞれ決意してこの地に立っているのだから……。
「すまない、一緒に行こう」
4人で右翼本陣へ一度、合流することにした。
前へ移動していると、敵に動きがあった。
ゆっくりと森から出てくる帝国軍。
編成は以前、戦った時と違う編成。
右翼と左翼に全兵力を割いているのが見てとれた。
しかし、おかしい。
森から出てきたものの、すぐに進軍をやめる。
なにかを待っている?
まるで、キサ・ジューヴォ連合軍がどう動くかを見ているかのように
それに対し、シンバ将軍はなんの躊躇いもなく次の手を打った。
中央軍を二つに割って左翼と右翼に合流させる。
その瞬間、静寂を保っていた帝国軍が咆哮をあげ、突撃してきた。
その圧倒的な迫力に気圧される右軍。
シンバ将軍率いる中央軍が二つに割れた以上、丘までの撤退はない。
自分達4人もまだ右翼に合流できていないので急ぐ。
途中、気になるものが視界の隅に映った。
なんだアレは?
敵兵は右翼と左翼に編成し直したはず。
なのに……。
森の中央から凄い速さで、3つの真っ黒な群れが現れた。
敵なのは間違いない。
向かっている先は右翼のカルテア王女がいる場所!?
他に中央軍の左翼側と左翼側へとんでもない速さで疾駆している。
カルテア王女の本陣にその黒い敵部隊が突き刺さり、自軍の兵が波打った。
マズい。完全に押されている時の動きだ。
だが、ようやく最後方にいたカルテア王女の本陣へと到達した。
コイツは……いや、コイツ等は?
記憶に刻まれたあの男の顔を鮮明に思い出す。
笑っている男。
あれから色々と考えてみた。
戦場において、笑えるのはなぜか?
ひとつに他者を圧倒的な立場から一方的に蹂躙する思い奢る者。
ふたつ目に戦場という異常さを己を誤魔化し陶酔している者。
そして精神に異常をきたした破壊者……。
戦場で、笑う人間が他にもいた。
その数、約20人……。
「もちろん、じゃなきゃ連合軍の体にならんのでな」
戻ってきた……。
3ヵ月後、第3大陸暦101年8月のフェン・ロー平原での戦いの前夜。
カルテア王女とシンバ将軍のやりとりが終わる。
右翼側へ移動して、打ち合わせをする。
内容は、おおむね以前と同様でその後、準備を進める。
エンドリ3兄弟との顔合わせも終わり、彼らが部下になる。
ここまでは、予定通り。
だが以前と違う点は……。
「隊長、誰なんです? この女どもは?」
「全員、隊長の愛人だったりして」
「「それな!」」
エンドリ3兄弟に茶化されているのは、女性陣が多いから。
ニウ、リードマン姉妹、メイメイ。
彼女らが戦列に加わったのには色々と理由がある……。
まずニウ。
彼女は、以前の戦いでは首都クレイピアで待機だった。
だが、本人の強い希望があって従軍することになった。
なにが彼女をそうさせたのか、目的がなんなのかは分からない。
シンバ将軍やカルテア王女へ面倒を見る誓いを立てているのでサオン小隊にいる。
次にメイメイ。
彼女はリャムとともにホン皇国からついてきた。
理由は謎の多い自分を研究するため。
直剣と左肩の赤い手もさることながら、まだ何か隠していると疑っている。
たしかにそうだけど、絶対に話さないでおこうと思う。
最後にポメラとセレのリードマン姉妹。
彼女達の首にはメイメイが取り付けた首輪がまだついている。
メイメイは皇国に残ってもいいと伝えたが、一緒についてきた。
皇女が死んでしまったら、ふたりも命も失うため、守ろうと考えたらしい。
シンバ将軍にお願いして、ふたりの指名手配を取り下げてもらった。
だけど風当りが強いのはたしか。
姉妹が酷い目に遭わないのはメイメイのお陰である。
メイメイがホン皇国の第6皇女だから。
別に言っても構わないと言われたのでジェイドに伝えた。
するとカルテア王女の耳に入り、シンバ将軍も知るところとなった。
ホン皇国は謎に包まれた国。
他国と親交もないが、敵対関係にもない。
キサ王国やジューヴォ共和国としては、構える理由はない。
だが、同時にあまり関わりたくない国だ。
シンバ将軍が国賓としてもてなそうとしたが、メイメイは丁重に断った。
彼女の目的はただ純粋に研究することだけにあるから。
自分が研究の対象である内はずっと近くにいそうな気がする。
カルテア王女がジェイドに丘への罠を依頼した次の日。
遂に戦端が開かれた。
幅が浅くて広い川を渡ったすぐのところでサオン隊は煙を焚く準備に入った。
しかし……。
レッドテラ帝国に動きがない。
以前、再演で経験した時と違う。
森の近くまで、進軍した右翼と左翼はそこで一旦停止した。
シンバ将軍が率いる中央軍が渡河するのを待っている。
あそこまで深く進軍するのは想定外だった。
おそらくカルテア王女の目論見から外れてしまったはずだ。
あの位置から突撃されたら、右翼は相当な深手を負いかねない。
「全員、ここで待機。敵軍に動きがあったら計画通り進めてくれ」
「サオン隊長! 俺らも連れていってください」
そう申し出たのはミカ、ルカ、シカ……エンドリ3兄弟。
自分ひとりなら何とかなるが、3人が一緒だと守り切る自信がない。
少し悩んだが、断ろうと口を開きかけたその時。
「また悪い癖が出てるアル」
メイメイがため息交じりに明後日の方向を見ながらつぶやいた。
そのひと言で思い出した。
皆、誇りと信念を持って戦っている。
ポペイの誘拐事件では亡くなった兵がいたが、誰もそれを後悔していない。
ジェイドの時だってそうだ。
かつて地下迷宮で「見くびるな」と一喝された。
もっと、まわりの人間を頼れ、か……。
ニウが従軍を希望した時、断ろうとした。
だが、たまたまその場に居合わせたジェイドに止められた。
ニウがなぜ戦場へ出ようとしているのかを考えてみろ、と。
その後、考えてひとつだけ分かったことがあった。
彼女の決意は彼女のものであって、自分がどうこう指図してはいけない。
例え皆が完璧ではなくても、力の限りを尽くせばいい。
皆、それぞれ決意してこの地に立っているのだから……。
「すまない、一緒に行こう」
4人で右翼本陣へ一度、合流することにした。
前へ移動していると、敵に動きがあった。
ゆっくりと森から出てくる帝国軍。
編成は以前、戦った時と違う編成。
右翼と左翼に全兵力を割いているのが見てとれた。
しかし、おかしい。
森から出てきたものの、すぐに進軍をやめる。
なにかを待っている?
まるで、キサ・ジューヴォ連合軍がどう動くかを見ているかのように
それに対し、シンバ将軍はなんの躊躇いもなく次の手を打った。
中央軍を二つに割って左翼と右翼に合流させる。
その瞬間、静寂を保っていた帝国軍が咆哮をあげ、突撃してきた。
その圧倒的な迫力に気圧される右軍。
シンバ将軍率いる中央軍が二つに割れた以上、丘までの撤退はない。
自分達4人もまだ右翼に合流できていないので急ぐ。
途中、気になるものが視界の隅に映った。
なんだアレは?
敵兵は右翼と左翼に編成し直したはず。
なのに……。
森の中央から凄い速さで、3つの真っ黒な群れが現れた。
敵なのは間違いない。
向かっている先は右翼のカルテア王女がいる場所!?
他に中央軍の左翼側と左翼側へとんでもない速さで疾駆している。
カルテア王女の本陣にその黒い敵部隊が突き刺さり、自軍の兵が波打った。
マズい。完全に押されている時の動きだ。
だが、ようやく最後方にいたカルテア王女の本陣へと到達した。
コイツは……いや、コイツ等は?
記憶に刻まれたあの男の顔を鮮明に思い出す。
笑っている男。
あれから色々と考えてみた。
戦場において、笑えるのはなぜか?
ひとつに他者を圧倒的な立場から一方的に蹂躙する思い奢る者。
ふたつ目に戦場という異常さを己を誤魔化し陶酔している者。
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