1 / 60
序章 唐突な死
しおりを挟む
昼寝がしたいと思いつつ授業を受ける俺、天野翔は普通の高校生、どこにでもいるようなやつだ。
明星高校に通い始め、早くも三カ月。俺は暇だな~と思いつつ、迫る眠気に耐えながら定期テストに備え、いつも通り授業を聞いていた。
「じゃあ、次の問題を……滝中やってみろ」
「はい!」
そう言って、滝中桜たきなかさくらは勢いよく立った。
「えーと、1/3ですか?」
「正解だ。よろしい。座りなさい」
俺の隣の席の滝中桜は幼馴染で、頭がいい。とてもいい。この県内でも超優秀な部類に入る高校で、学年一位を獲っている。昔、彼女になんでそんなに頭がいいのか聞いたら、本人曰く、なんとなくらしい。一応、家での予習、復習もやってるみたいだから、そのお陰なのかな、なんて思ってる。まぁ、普通に天才ってやつなんだろう。
「では、教科書の四十ページを開いて……」
と先生が言った時、キンコーンカーンコーンとチャイムがなった。
「じゃあ、今日の授業はここまで、この問題を各自で解いてくること」
無事に今日も学校が終わった。しかも、今日は部活がない。早く帰れる。誰か一緒に遊んでくれるやついないかな?
俺はそう思いながら、友達に声をかける。
「おーい、宏樹、今日遊べる?」
だけど、彼――宏樹は残念そうに言った。
「いや、今日部活あるんだ」
「そっか。残念だな」
まぁ、俺ぐらいか、今日部活がないのって。仕方ないので、俺はささっと片づけ、家に帰った。
▼
さて、数学の宿題も終わらせたし、お菓子でも買いに行くか。
俺は家から出て、近くにあるコンビニに向かった。
「いらっしゃいませ~」
俺はチョコが大好きなので、チョコを買った。いつものやつだ。ミニサイズで食べやすく、中に苺の粒が入ってる。
「これください」
「はい。二百円です」
俺は財布から千円札を出し、店員さんに手渡す。
「はい。千円ですね。お釣りは八百円になります」
俺はお釣りをもらって、コンビニから出た。家への帰り道を歩いていると、学校から帰ってくる桜を見つけた。
「おーい、桜」
俺は彼女に声をかけた。部活の後なのだろうか? 汗をかいている。
「あっ、翔。どうしたの」
「いや、見かけたから呼んでみただけ」
「えー、なにそれ」
桜は笑いながら言った。
「今日、部活あったの?」
「もちろん。もうすぐ大会があるからね。がんばらなくちゃ」
「へぇ、テニス部は大変だね」
「そっちは?」
「俺らはこないだ大会があったから、あと何日か部活がないんだ」
明星高校には謎のルールがあって、大会後は数日間部活をするなってものがある。部活が無い間は勉強に集中しろだって。もっと部活の時間を増やしてほしい。
「ふーん。こっちも大会が終わったら、勉強か~」
「いやでも、お前頭いいじゃんか」
「そんなことないよ~」
桜は手をパタパタ振りながら言った。
「でもさでもさ、翔だって頭いいじゃんか」
「そんなことないよ」
「絶対いいって」
そんな下らないことを話しながら、俺らは会話しながら道を歩いていた。
暫くすると、彼女はスマホを見て時間を見た。
「やばい! もう帰らなきゃ」
そう言って彼女は走りだした。
「じゃあね~」
走りだした先は交差点だった。車もガンガン走るそこで彼女はこちらを見ながら走っている。いつもなら、「じゃあね」が言えたかもしれない。だけど……
今日の信号は真っ赤に染まっていた。
轟音が聞こえてきて、見るとトラックが迫ってきていた。
最悪な未来が一歩手前に見えて――
――俺は走った。
「危ない!!!」
俺は叫んだ。
桜の顔は一瞬驚いたような顔をして、身に迫った恐怖に気付いたのか、恐れ慄くような顔に変わった。でも、もうトラックはそこまで迫っていた。
本当に最悪の未来もすぐそこに来ていた。
俺の脳裏には、死神が漆黒の鎌を持って嗤ってる姿が浮かんだ。
火事場の馬鹿力とでも言うのだろうか。俺は奇跡的に桜に追いつき、桜を押し飛ばした。
桜は驚いたような顔をした後、何か叫んだ。
だけど、俺はもうトラックにぶつかっていた。
ガッシャーンと音が聞こえてくる。
あぁ、死ぬのかと直感的に思った。
なんか、身体が猛烈に痛い。節々が痛いって悲鳴をあげてる。
そして、俺は宙を舞ってる感覚がした。
そこで一瞬桜が見えた。
俺の頬を伝ってるのは何なんだろう。汗なのかな。
いや、そんなことよりも桜が助かってよかった。俺なんかよりも桜が助かったほうがいい。
――なんか死ぬのは早い気がするけど
――最後に人の命を救えたのかな
――なんか、苦しい。
――意識も朦朧としてきた。
その時、俺は美しい女神を見た気がする。そして彼女の手から光が零れた。光は俺の身体を優しく包み込んだ。女神は溶けるように消えた。
でも、そんなものは幻影だろう。俺は思わず笑ってしまった。
――あぁ、死んだ。
プツッと俺の中で何かが途切れた。
そして、俺は真っ白な場所に立っていた。
明星高校に通い始め、早くも三カ月。俺は暇だな~と思いつつ、迫る眠気に耐えながら定期テストに備え、いつも通り授業を聞いていた。
「じゃあ、次の問題を……滝中やってみろ」
「はい!」
そう言って、滝中桜たきなかさくらは勢いよく立った。
「えーと、1/3ですか?」
「正解だ。よろしい。座りなさい」
俺の隣の席の滝中桜は幼馴染で、頭がいい。とてもいい。この県内でも超優秀な部類に入る高校で、学年一位を獲っている。昔、彼女になんでそんなに頭がいいのか聞いたら、本人曰く、なんとなくらしい。一応、家での予習、復習もやってるみたいだから、そのお陰なのかな、なんて思ってる。まぁ、普通に天才ってやつなんだろう。
「では、教科書の四十ページを開いて……」
と先生が言った時、キンコーンカーンコーンとチャイムがなった。
「じゃあ、今日の授業はここまで、この問題を各自で解いてくること」
無事に今日も学校が終わった。しかも、今日は部活がない。早く帰れる。誰か一緒に遊んでくれるやついないかな?
俺はそう思いながら、友達に声をかける。
「おーい、宏樹、今日遊べる?」
だけど、彼――宏樹は残念そうに言った。
「いや、今日部活あるんだ」
「そっか。残念だな」
まぁ、俺ぐらいか、今日部活がないのって。仕方ないので、俺はささっと片づけ、家に帰った。
▼
さて、数学の宿題も終わらせたし、お菓子でも買いに行くか。
俺は家から出て、近くにあるコンビニに向かった。
「いらっしゃいませ~」
俺はチョコが大好きなので、チョコを買った。いつものやつだ。ミニサイズで食べやすく、中に苺の粒が入ってる。
「これください」
「はい。二百円です」
俺は財布から千円札を出し、店員さんに手渡す。
「はい。千円ですね。お釣りは八百円になります」
俺はお釣りをもらって、コンビニから出た。家への帰り道を歩いていると、学校から帰ってくる桜を見つけた。
「おーい、桜」
俺は彼女に声をかけた。部活の後なのだろうか? 汗をかいている。
「あっ、翔。どうしたの」
「いや、見かけたから呼んでみただけ」
「えー、なにそれ」
桜は笑いながら言った。
「今日、部活あったの?」
「もちろん。もうすぐ大会があるからね。がんばらなくちゃ」
「へぇ、テニス部は大変だね」
「そっちは?」
「俺らはこないだ大会があったから、あと何日か部活がないんだ」
明星高校には謎のルールがあって、大会後は数日間部活をするなってものがある。部活が無い間は勉強に集中しろだって。もっと部活の時間を増やしてほしい。
「ふーん。こっちも大会が終わったら、勉強か~」
「いやでも、お前頭いいじゃんか」
「そんなことないよ~」
桜は手をパタパタ振りながら言った。
「でもさでもさ、翔だって頭いいじゃんか」
「そんなことないよ」
「絶対いいって」
そんな下らないことを話しながら、俺らは会話しながら道を歩いていた。
暫くすると、彼女はスマホを見て時間を見た。
「やばい! もう帰らなきゃ」
そう言って彼女は走りだした。
「じゃあね~」
走りだした先は交差点だった。車もガンガン走るそこで彼女はこちらを見ながら走っている。いつもなら、「じゃあね」が言えたかもしれない。だけど……
今日の信号は真っ赤に染まっていた。
轟音が聞こえてきて、見るとトラックが迫ってきていた。
最悪な未来が一歩手前に見えて――
――俺は走った。
「危ない!!!」
俺は叫んだ。
桜の顔は一瞬驚いたような顔をして、身に迫った恐怖に気付いたのか、恐れ慄くような顔に変わった。でも、もうトラックはそこまで迫っていた。
本当に最悪の未来もすぐそこに来ていた。
俺の脳裏には、死神が漆黒の鎌を持って嗤ってる姿が浮かんだ。
火事場の馬鹿力とでも言うのだろうか。俺は奇跡的に桜に追いつき、桜を押し飛ばした。
桜は驚いたような顔をした後、何か叫んだ。
だけど、俺はもうトラックにぶつかっていた。
ガッシャーンと音が聞こえてくる。
あぁ、死ぬのかと直感的に思った。
なんか、身体が猛烈に痛い。節々が痛いって悲鳴をあげてる。
そして、俺は宙を舞ってる感覚がした。
そこで一瞬桜が見えた。
俺の頬を伝ってるのは何なんだろう。汗なのかな。
いや、そんなことよりも桜が助かってよかった。俺なんかよりも桜が助かったほうがいい。
――なんか死ぬのは早い気がするけど
――最後に人の命を救えたのかな
――なんか、苦しい。
――意識も朦朧としてきた。
その時、俺は美しい女神を見た気がする。そして彼女の手から光が零れた。光は俺の身体を優しく包み込んだ。女神は溶けるように消えた。
でも、そんなものは幻影だろう。俺は思わず笑ってしまった。
――あぁ、死んだ。
プツッと俺の中で何かが途切れた。
そして、俺は真っ白な場所に立っていた。
55
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる