異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~

星天

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第二章 森の中

第十二話 【白狼】【魔熊】【緑子鬼】VS俺一人 後編

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 一人で戦うのは圧倒的不利だが、どうしようもないので、俺は構える。

 「かかってこいよ」

 手で相手を挑発する。

 まず引っ掛かったのは熊だ。ストレートのパンチ。体をずらして避ける。

 逆にこっちはがら空きの鳩尾を殴る。

 それでも、まだ足りない。

 俺はそのままゴブリンの方を向き、跳び蹴りをする。ゴブリンはこちらの攻撃に不意を突かれて、攻撃を喰らう。


 あいつは倒れた。まだ死んでないが、戦闘不能。これで二匹。


 俺は倒れたやつから、剣を奪い取り、構える。

 狼は魔術を起動し、俺に球を打ってくる。
 俺は身体を捻ったり、屈んだりして避ける。【火球】のように操ってるのか、正確に俺に向かってくる。俺は剣でそれを防ぐ。
 ゴブリンが使っていた剣はそこまで良品じゃないのか、ダメージを完全にいなせなかった。技術不足かもしれないが……

 俺はゴブリンに【火球】を打ち、攻撃を当てる。

 そして、俺が【火球】を起動した瞬間、頭の中で言葉は反響した。

 【【火属性魔術】に【使用可能魔術】が追加されました】

 その声が反響し終わった瞬間、俺の頭の中に無数の式が飛び回る。無数の文字や記号がそれを形成していた。式の演算が終わった後、俺はそれを理解した。

 ――新しい魔術だ。

 【火弾】
  ※火の弾丸を飛ばす。直線状に飛ばすので、【火球】のように操作はできないが、威力と速度は【火球】の倍以上

 説明文を瞬時に見る。大体、こんな感じだ。

 早速、使ってみる。俺は技名を叫ぶ。

 「【火弾】!」

 俺は魔術を穿つ。火でできた弾丸は一直線に敵に向かい、敵を貫いた。拳銃のような銃器みたいに早いわけではなく、あくまで【火球】と比べて速いというだけのようだ。でも、この速度なら急所に当てるだけで殺せるだろう。

 【技能《スキル》【下級短剣術】【体術】を【緑子鬼《ゴブリン》】から奪いました】
 【技能《スキル》【体術】を【体術】の経験値へと変化させました】

 そんな声が響く。殺したってことか。

 俺は嫌悪感を感じるが、この世界では普通のことなんだ。仕方がない。手加減なんてできない。

 俺は更にもう一体に手をかける。

 【技能《スキル》【下級短剣術】【体術】【指揮】を【緑子鬼《ゴブリン》】から奪いました】
 【技能《スキル》【下級短剣術】を【下級短剣術】の経験値へと変化させました】
 【技能《スキル》【体術】を【体術】の経験値へと変化させました】

 俺はそのまま剣を振るいながら、魔術を穿つ。

 弾丸のように速い魔術と自由に操作できる球体の魔術。俺は敵を圧倒していた。



 最後まで抵抗していた狼が地面に倒れこむ。

 【技能奪取】の通知が来ないということは殺せていないのだろう。止めを刺そうと術式を巡らせようとする。だが、途中で俺は殺すのを止めた。

 ここまで来たら殺してしまえばいいと思うが、間違っている気がする。本当はゴブリンたちも殺す必要はなかったはずだった。熊だって技能を奪うだけにすればよかったのだ。殺す必要もなかった。

 命を奪うべきではないのだ。


 俺は葛藤していた。


 確かにこいつを殺せば技能が手に入るという利己的な考えとこいつを殺せば倫理観が崩壊するという道徳的な考えが争っていた。

 俺は結局、殺すのを止めた。術式を止める。魔力は雲散し、形成されかけていた炎も雲散した。

 「……元気に生きろよ」

 白い毛が赤く染まっている。もしかしたら、何もしなくても死ぬかもしれない。だが、微かな声で鳴いた。

 「ガゥッ」

 弱弱しかったが、確固たる意志を感じた。



 ――戦いは終わった。


 結果は俺の勝ちだった。
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