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第五章 叛逆
第四十八話 昇華
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「一つは美徳昇華……【美徳】へと昇華させます。もう一つは大罪昇華……【大罪】へと昇華させます」
一つは純白に輝いており、もう一つは黒く光っている。どちらがどちらかわかりやすい。
「【美徳】【大罪】は幾つかの技能を犠牲にして創られる技能です。統合され、昇華され、別物へと変わります」
つまり、能力を別物に変えると……最強のアイテムだな。ゲームだったら、真っ先に使っている。昇華ということは能力も飛躍的に性能が上がると……【技能融合】の上位互換みたいな感じかな。
「ただ、これを使うなら、我々と共に化け物を倒す契約をしてほしい。倒した後は、どうしようがお前の自由だが、それまでは契約によって制限さて頂く」
【魂の契約書】
俺は息をのむ。それは世界最高峰の契約書だったからだ。薄く淡く仄かに光るそれは魔法が込められていることを証明している。水色に近い色の発光だ。
込められた魔術は【絶対遵守】。契約したら、それを絶対順守させる強制力を持つ。それだけ彼らの本気が伝わってくる。
俺は逡巡したが、すぐに回答した。
「あぁ、わかった」
俺は風を操り、指を切る。痛覚は殆ど感じない。深紅の血が指から零れるようにして垂れる。
血が契約書に纏わり、光った。仄かな光は激しく光り出し、俺と創造神を包んでいく。光は鎖の形状へと姿を変えた。鎖の片方は俺へと向いた。そして、身体の中に溶け入るようにして侵入していく。まるで心臓が柔く包まれているようだ。もう片方は契約者。創造神の豊かな左丘に入っていた。鎖と鎖が結ばれる。
光の鎖は俺の心臓を人質に取るようにして封印していくように縛っていく。物理的な痛みはないが、なんとなく感覚的にだが、わかる。俺と創造神が結ばれている。そして、俺の内側に鍵をかけるようにして、結びついていた。
「契約完了だ」
悪魔が言った。契約成立したことを確かめてから、創造神は種を差し出した。俺は受け取った。
向日葵の種ぐらいのサイズだろうか。俺はまず、純白の種を口腔に放り込む。
錠剤のように噛むないようにするべきだろうか。と俺は考え、
苦い……どころじゃない。身体中が吐き出そうとする。
【【美徳の種】を認証……承認……】
微かに脳裏にアナウンスが響く。
気持ち悪い。吐き気が止まらない。
【【物理損害無効】【魔術攻撃耐性Ⅸ】【爆撃耐性Ⅸ】【孤独耐性Ⅹ】を生贄に、【忍耐】を獲得】
身体の奥底、心の奥底でジュンッと燃えるような熱さが体中に響いた。
「では、もうひとつお願いします」
「わ、かった」
俺は何とか返事をして、もうひとつの暗黒の種を喰らう。
【【大罪の種】を認証……承認……干渉確認――キャンセルされました】
頭の中にアナウンスが響いた。先ほどとは違う。身体が勝手に吐き出した。呑み込むことすらできなかった。
【【美徳】を獲得したことにより、権限レベルが上昇……強制干渉不可能化……【称号】現人神を獲得……セット完了】
頭の中が揺れるようにして、情報を整理しきる。
俺は脳裏に【美徳】である【忍耐】の情報を見る。
【忍耐】
【分類】美徳
【説明】×××(表示不可)
【能力】
【神撃軽減Ⅹ】
【攻撃無効】
【干渉無効】
【状態異常無効】
色々な耐性、無効の技能が東郷された【忍耐】は様々な無効化を得た。但し、神の攻撃までは無効化できない模様。だが、とても強力だ。
攻撃無効は勿論、攻撃を無効かする。物理攻撃、魔法攻撃など、全ての攻撃を完全に無効化される。ただし、【現人神】もしくは神だと、攻撃は通る。
干渉無効というのは、色々な干渉系の能力を無効化する。精神干渉である【魅了】や、情報干渉である【偽装】など、そういうのを全て無効化する。
状態異常無効というのはそのままだ。ただし、死とかは無効化できないが……
「それでは大丈夫か……」
心配そうに覗き込まれる。何やら、能力を発動しているようだ。だが、完全に無効化する。
「あぁ、大丈夫だ」
「そうか。ならいい。だが、【大罪】の能力を獲得できなかったようだな」
俺は頷く。
「何故かわからないけどな」
すると、悪魔は「ふーむ」と謎めいた声を出す。
「まぁ、いいでしょう。【美徳】だけでも十分な結果です。本来なら、死んでしまう可能性もありましたから」
神と悪魔は笑顔で俺を見る。
「では、最後に、名前を聞いておこう」
「天野翔だ」
俺が答えたら悪魔が言った。
「そうか。では、盟友よ。我らが同胞と共に世界を取り戻すぞ」
一つは純白に輝いており、もう一つは黒く光っている。どちらがどちらかわかりやすい。
「【美徳】【大罪】は幾つかの技能を犠牲にして創られる技能です。統合され、昇華され、別物へと変わります」
つまり、能力を別物に変えると……最強のアイテムだな。ゲームだったら、真っ先に使っている。昇華ということは能力も飛躍的に性能が上がると……【技能融合】の上位互換みたいな感じかな。
「ただ、これを使うなら、我々と共に化け物を倒す契約をしてほしい。倒した後は、どうしようがお前の自由だが、それまでは契約によって制限さて頂く」
【魂の契約書】
俺は息をのむ。それは世界最高峰の契約書だったからだ。薄く淡く仄かに光るそれは魔法が込められていることを証明している。水色に近い色の発光だ。
込められた魔術は【絶対遵守】。契約したら、それを絶対順守させる強制力を持つ。それだけ彼らの本気が伝わってくる。
俺は逡巡したが、すぐに回答した。
「あぁ、わかった」
俺は風を操り、指を切る。痛覚は殆ど感じない。深紅の血が指から零れるようにして垂れる。
血が契約書に纏わり、光った。仄かな光は激しく光り出し、俺と創造神を包んでいく。光は鎖の形状へと姿を変えた。鎖の片方は俺へと向いた。そして、身体の中に溶け入るようにして侵入していく。まるで心臓が柔く包まれているようだ。もう片方は契約者。創造神の豊かな左丘に入っていた。鎖と鎖が結ばれる。
光の鎖は俺の心臓を人質に取るようにして封印していくように縛っていく。物理的な痛みはないが、なんとなく感覚的にだが、わかる。俺と創造神が結ばれている。そして、俺の内側に鍵をかけるようにして、結びついていた。
「契約完了だ」
悪魔が言った。契約成立したことを確かめてから、創造神は種を差し出した。俺は受け取った。
向日葵の種ぐらいのサイズだろうか。俺はまず、純白の種を口腔に放り込む。
錠剤のように噛むないようにするべきだろうか。と俺は考え、
苦い……どころじゃない。身体中が吐き出そうとする。
【【美徳の種】を認証……承認……】
微かに脳裏にアナウンスが響く。
気持ち悪い。吐き気が止まらない。
【【物理損害無効】【魔術攻撃耐性Ⅸ】【爆撃耐性Ⅸ】【孤独耐性Ⅹ】を生贄に、【忍耐】を獲得】
身体の奥底、心の奥底でジュンッと燃えるような熱さが体中に響いた。
「では、もうひとつお願いします」
「わ、かった」
俺は何とか返事をして、もうひとつの暗黒の種を喰らう。
【【大罪の種】を認証……承認……干渉確認――キャンセルされました】
頭の中にアナウンスが響いた。先ほどとは違う。身体が勝手に吐き出した。呑み込むことすらできなかった。
【【美徳】を獲得したことにより、権限レベルが上昇……強制干渉不可能化……【称号】現人神を獲得……セット完了】
頭の中が揺れるようにして、情報を整理しきる。
俺は脳裏に【美徳】である【忍耐】の情報を見る。
【忍耐】
【分類】美徳
【説明】×××(表示不可)
【能力】
【神撃軽減Ⅹ】
【攻撃無効】
【干渉無効】
【状態異常無効】
色々な耐性、無効の技能が東郷された【忍耐】は様々な無効化を得た。但し、神の攻撃までは無効化できない模様。だが、とても強力だ。
攻撃無効は勿論、攻撃を無効かする。物理攻撃、魔法攻撃など、全ての攻撃を完全に無効化される。ただし、【現人神】もしくは神だと、攻撃は通る。
干渉無効というのは、色々な干渉系の能力を無効化する。精神干渉である【魅了】や、情報干渉である【偽装】など、そういうのを全て無効化する。
状態異常無効というのはそのままだ。ただし、死とかは無効化できないが……
「それでは大丈夫か……」
心配そうに覗き込まれる。何やら、能力を発動しているようだ。だが、完全に無効化する。
「あぁ、大丈夫だ」
「そうか。ならいい。だが、【大罪】の能力を獲得できなかったようだな」
俺は頷く。
「何故かわからないけどな」
すると、悪魔は「ふーむ」と謎めいた声を出す。
「まぁ、いいでしょう。【美徳】だけでも十分な結果です。本来なら、死んでしまう可能性もありましたから」
神と悪魔は笑顔で俺を見る。
「では、最後に、名前を聞いておこう」
「天野翔だ」
俺が答えたら悪魔が言った。
「そうか。では、盟友よ。我らが同胞と共に世界を取り戻すぞ」
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