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第五章 叛逆
第五十四話 対ラー戦 後編
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「結構ひどいことするねー」
呑気な声で、ルシフェルは言った。
ラーの能力を把握してる彼女からしたら、今、ラーが行いたいことが手に取るようにわかる。
「完全に心を壊しに来てるじゃん」
無数の剣撃が飛び交う。
「ッ! 【護れ】!」
風を操り、無数の防壁を張り直す。
感覚で身体を動かし、ほとんど見えてない斬撃を防ぎ続ける。
「まだ耐えますか……【連鎖絶断】」
!? 誘導されていた……!
俺が気付いた時には、背後に無数の斬撃が飛んでいた。何を言ってるのかわからなくなるほど馬鹿らしい光景だ。
「【飛翔】ッ!」
上に緊急回避。
だが、それすら読んでいたような魔術の発動。追尾するように、氷礫が舞った。
「グッ……【薙ぎ払え】!」
「風にばっか頼っていても、僕は倒せませんよ?」
隣から囁くような声。
俺が振りかえった途端。首が飛んだ。
そして、またリスタート。
「第……ラウンドです」
「ラーの持つ【憤怒】は、無限の環だ。対象を無限の環に放り込む。死んだとしてもやり直しをさせる。そんな夢みたいな能力だ」
「傍から見ている分には、先ほど始まったばかりの試合ですが、実際に何試合を積み重ねたんでしょうかね?」
呑気な声だが、実際に目の前で起こっていることはかなり残虐極まりない行為だ。
【創造神】は若干、シニカルに嗤う。
「でもまだ気付かないとは、意外ですね」
――ラーの能力、最大の弱点に。
俺は、無数の斬撃を避け、ある種の極地に到達した。
お互いの手札はまだ全て晒されているわけではない。ラーも俺も、まだ奥の手を残している。
ただ、俺の手がいささか弱すぎるのと、まだ一欠片ピースが足りないだけで……
俺はひたすらに見切り、避け続ける。未来予知のような動きだ。
だが、先読み。先読み。先読み。
やっていることはラーも一緒である。むしろ、ラーは詰将棋に近い動き方をしている。すなわち、相手をどう動かせば、殺せるかという淡々とした動き。
例えがおかしいかもしれないが、脳裏によぎったそんな言葉を噛み殺し、俺は相対する敵に向かって風の弾丸を放つ。
「【穿て】!」
俺の号令と共に、風の弾丸が形成され、触れれば一撃であろう威力の弾丸が射出される。だが、彼にそんな生半可の攻撃は届かない。
「【断絶】」
その一言ともに、剣撃がよぎったさえもわからぬ速さで、弾丸が斬られた。
俺は息を切らしながら、次の攻撃を……
放てない。
マズイ。また前と同じように死ぬ。
だが、ラーからの【断絶】が飛んで……こない。
俺は虚勢で声をかける。
「なんで、攻撃を放たない……放てないのか?」
安い挑発。
だが、それは存外、的を射ていたようだ。
「ついにきましたね……」
【創造神】は、ラーを見ながら、呟いた。彼の能力を知る身としては、予測していて当然の事態だった。
「怒りが自分の身を滅ぼすのと同じように、【憤怒】の能力は代償が激しすぎる。なんでラーはたかが力量を測るためだけにこんな能力を行使するのかなぁ」
ルシフェルは言う。
無論、ラーの過去にどんなことがあった。どんな感情を持っているのか知っている。だが、それを考慮してもいささか異常すぎる。
「【憤怒】の無限の環に閉じ込めるには、対象に対して烈火の怒りを向けること。これが最低条件となってきます。無論、ラーが勝手に怒りを向ければいいわけですから、こんな条件、条件ですらないとも言えます」
「でも、無限の環に閉じ込めた相手と同様に、自分も疲労するし、ダメージを負えば引き継がれる。回数に比例して、それは何倍にも増えていく」
どれだけ深い怒りも永劫には続かないように、ある程度のところで強制終了されるのだ。恐らく、今回で言えば、強制終了は、一万回目ぐらいだろう。
だが、大抵は、その前に能力の負荷と、戦闘の負荷。そして何倍にも膨れ上がった疲労感で、膝を突いてしまう。
「だけど、まだ敵は立ってるよ? どうするのかな?」
今度はルシフェルがシニカルな笑いで、ラーを見つめた。
「なめるなよ……【断――】」
だが、そもそも剣を握る力すら残ってないのか……魔術を放つ魔力も残っていないのか。
ラーは膝を突く。
だが、相対している俺も当然、動けない。
「ぐッ……【穿て】……」
俺は微かな声で、そう呼びかけるが、動けない。
だが、ラーは震える足を押さえながら、立ち上がり、俺の方に向かってきた。
「【血状変化】」
魔力ではない……技能?
と思った瞬間、俺は無数の紅い棘によって、貫かれた。
「ガハッ」
俺は身体中の血を吐き出そうとした。
だが、こぼれたのは血ではない。
紅い棘だった。
「ヵハッ」
ラーも血を吐いた。
「僕の勝ちですね」
そう言われた瞬間、スッと、意識が遠のいた。
呑気な声で、ルシフェルは言った。
ラーの能力を把握してる彼女からしたら、今、ラーが行いたいことが手に取るようにわかる。
「完全に心を壊しに来てるじゃん」
無数の剣撃が飛び交う。
「ッ! 【護れ】!」
風を操り、無数の防壁を張り直す。
感覚で身体を動かし、ほとんど見えてない斬撃を防ぎ続ける。
「まだ耐えますか……【連鎖絶断】」
!? 誘導されていた……!
俺が気付いた時には、背後に無数の斬撃が飛んでいた。何を言ってるのかわからなくなるほど馬鹿らしい光景だ。
「【飛翔】ッ!」
上に緊急回避。
だが、それすら読んでいたような魔術の発動。追尾するように、氷礫が舞った。
「グッ……【薙ぎ払え】!」
「風にばっか頼っていても、僕は倒せませんよ?」
隣から囁くような声。
俺が振りかえった途端。首が飛んだ。
そして、またリスタート。
「第……ラウンドです」
「ラーの持つ【憤怒】は、無限の環だ。対象を無限の環に放り込む。死んだとしてもやり直しをさせる。そんな夢みたいな能力だ」
「傍から見ている分には、先ほど始まったばかりの試合ですが、実際に何試合を積み重ねたんでしょうかね?」
呑気な声だが、実際に目の前で起こっていることはかなり残虐極まりない行為だ。
【創造神】は若干、シニカルに嗤う。
「でもまだ気付かないとは、意外ですね」
――ラーの能力、最大の弱点に。
俺は、無数の斬撃を避け、ある種の極地に到達した。
お互いの手札はまだ全て晒されているわけではない。ラーも俺も、まだ奥の手を残している。
ただ、俺の手がいささか弱すぎるのと、まだ一欠片ピースが足りないだけで……
俺はひたすらに見切り、避け続ける。未来予知のような動きだ。
だが、先読み。先読み。先読み。
やっていることはラーも一緒である。むしろ、ラーは詰将棋に近い動き方をしている。すなわち、相手をどう動かせば、殺せるかという淡々とした動き。
例えがおかしいかもしれないが、脳裏によぎったそんな言葉を噛み殺し、俺は相対する敵に向かって風の弾丸を放つ。
「【穿て】!」
俺の号令と共に、風の弾丸が形成され、触れれば一撃であろう威力の弾丸が射出される。だが、彼にそんな生半可の攻撃は届かない。
「【断絶】」
その一言ともに、剣撃がよぎったさえもわからぬ速さで、弾丸が斬られた。
俺は息を切らしながら、次の攻撃を……
放てない。
マズイ。また前と同じように死ぬ。
だが、ラーからの【断絶】が飛んで……こない。
俺は虚勢で声をかける。
「なんで、攻撃を放たない……放てないのか?」
安い挑発。
だが、それは存外、的を射ていたようだ。
「ついにきましたね……」
【創造神】は、ラーを見ながら、呟いた。彼の能力を知る身としては、予測していて当然の事態だった。
「怒りが自分の身を滅ぼすのと同じように、【憤怒】の能力は代償が激しすぎる。なんでラーはたかが力量を測るためだけにこんな能力を行使するのかなぁ」
ルシフェルは言う。
無論、ラーの過去にどんなことがあった。どんな感情を持っているのか知っている。だが、それを考慮してもいささか異常すぎる。
「【憤怒】の無限の環に閉じ込めるには、対象に対して烈火の怒りを向けること。これが最低条件となってきます。無論、ラーが勝手に怒りを向ければいいわけですから、こんな条件、条件ですらないとも言えます」
「でも、無限の環に閉じ込めた相手と同様に、自分も疲労するし、ダメージを負えば引き継がれる。回数に比例して、それは何倍にも増えていく」
どれだけ深い怒りも永劫には続かないように、ある程度のところで強制終了されるのだ。恐らく、今回で言えば、強制終了は、一万回目ぐらいだろう。
だが、大抵は、その前に能力の負荷と、戦闘の負荷。そして何倍にも膨れ上がった疲労感で、膝を突いてしまう。
「だけど、まだ敵は立ってるよ? どうするのかな?」
今度はルシフェルがシニカルな笑いで、ラーを見つめた。
「なめるなよ……【断――】」
だが、そもそも剣を握る力すら残ってないのか……魔術を放つ魔力も残っていないのか。
ラーは膝を突く。
だが、相対している俺も当然、動けない。
「ぐッ……【穿て】……」
俺は微かな声で、そう呼びかけるが、動けない。
だが、ラーは震える足を押さえながら、立ち上がり、俺の方に向かってきた。
「【血状変化】」
魔力ではない……技能?
と思った瞬間、俺は無数の紅い棘によって、貫かれた。
「ガハッ」
俺は身体中の血を吐き出そうとした。
だが、こぼれたのは血ではない。
紅い棘だった。
「ヵハッ」
ラーも血を吐いた。
「僕の勝ちですね」
そう言われた瞬間、スッと、意識が遠のいた。
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