異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~

星天

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第五章 叛逆

第五十五話 戦闘後

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 「ん……?ここはどこだ?」

 俺は呟いた。

 真っ白な毛布に包まれていた。

 身体に刺さっていたはずの棘は、全て抜き取られ、怪我も掻き消えている。

 「あっ、起きたー?」

 ルシちゃんの呑気な声が聞こえた。

 身体を起こしてみる。

 ズキッとした痛みが走る。全身が焼けるように痛い。

 「無理して起き上がってもいいことないよー……流石にラーの【憤怒】を受けた後で即行動は無理だってー」

 たしかに凄まじい攻撃だった。

 強力な魔術、そしてそのコンボ。連撃。そして、物理攻撃が得意と言った通りだった剣技。全てを断つ漆黒の刃。

 俺は思い出すだけで冷や汗をかく。

 今もまだループの中にいるような感覚に襲われているのだ。

 俺はルシちゃんに声をかける。

 「どのくらい……眠ってたんですか?」
 「ざっと、十日ぐらいかなぁ?まぁでも、ここは医療用の部屋だから、流れる時間の速さが違うんだよねー。現実時間だと一日かな?」

 とことん呑気な声だったが、逆にそれが俺を落ち着かせた。

 俺は痛む身体を抑えつつ、回復用の魔術を行使しようとする。

 だが、魔力がない。というか、そもそも術式が構築できない。

 「あーダメダメ。【血状変化】で、身体中の魔力とかズタボロに変換されてるから当分、魔術は使えないよー。その前も大魔術相当の魔力をガッツリ使ってたからねー」

 【技能】も行使できないようだ。どうやら、相当身体を壊されていたようだ。

 「【個人情報】」

 俺はステータスウィンドウを表示する。虚空に浮かび上がった文字列は、どれだけ現状が散々なのか、思い知らせてくれた。

 【漂流者】【現人神】天野翔
 【ランク】Ⅴ(上限無し)
 【天職】簒奪者
 【美徳】
  【忍耐】(使用制限)
 【王権】
  【暴風】(使用制限)
 【特殊技能ユニークスキル
  【創造権能】(使用制限)
  【技能奪取】(使用制限)
  【技能融合】
  【多重存在】
  【叡智】
  【極限武術】(使用制限)
  【龍眼】(使用制限)
 【技能スキル
  【言語理解】
  【術理】(使用制限)
  【第一次上限突破】【第二次上限突破】【第三次上限突破】【第四次上限突破】【第五次上限突破】
 【魔術】
  【因子魔術】(使用制限)
 【加護】
  【創造神】
  【龍神】
  【暴風神】

 多くの能力が、使用制限という赤い点滅を繰り返している。

 魔術も使用不可というあたり、相当なことがあったと容易に予想できる。

 「【憤怒】の無限の環は、行使者にも相当の負荷が連続してかかっていく。だからこその唯一の勝気は耐えきることだけどねー」

 ルシちゃんは、ただし……と続ける。

 「まぁ、大抵は心が折れて自殺しようとするか、相手を倒しきることだけど、ラー自体に勝てる存在自体いないし、まぁ今の君が勝てなくてもそうがないかな?」

 だが、俺はしょうがないなんて思いたくはなかった。

 正直なところ、勝気はあった。

 熟練の剣技、高度な魔術の連発。

 だが、避けれないほどではない。

 実際、最終盤で、避けれるほどにまでなった。

 「まだまだだなぁ……」

 どんだけ強い能力を持っていたとしても、それを使う術が幼稚だったら、活かされない。それを今回の戦いでしっかり学んだのだった。
 
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