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隼と蛇の兄妹の話。
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それはとても古いお話。
隼の夫婦は小さな2つの卵を大切に温めていた。山奥にある深い谷間へと落ちる崖での事である。
そこへ腹に卵を抱えた蛇がやってきた。腹を空かせた彼女はその卵の一つとそれを抱える隼で空腹を満たした。かつて対となったモノを喰われた復讐の念を持って。満たされた彼女は満足げにそこから離れ、やがて卵を産んだ。
いっぽうで、最愛の伴侶と卵の元へ食餌を運んで戻った隼は呆然とした。無残に散らばる羽根とひびの入った卵が目に飛び込んできたのである。この場は危険である、本来なら卵と巣を棄てるべきであったのだろうが、彼は残された卵を優しく抱き抱えた。怨嗟の念とともに。
やがて卵から孵ったのは、一羽の隼と一匹の蛇である。
鳥の巣で孵った蛇は親鳥に喰われた。
蛇に抱かれて孵った隼もまた、親に喰われた。
はてさて、卵とは一体なんであったのか?
生まれたのは子ではなかったのか?
注ぎ込まれた怨嗟の声は言う、絶対に許さない。
隼が空を舞っている。
不意に何かに気付き降下を始めた。その先には空を見上げ枝に絡まる黄金色の美しい蛇が居た彼は静かに彼女の横へと舞い降りる。
「兄さん、遅い。」と蛇が言った。隼は小さく息を吐いた。その直後、蛇は隼の足を尾で叩き枝から枝落とした。
白い狐は呆れたようにその姿を見上げている。
怨嗟で結ばれた不思議な兄妹
親の情と悲しみで姿を変えた
怨みの輪廻を廻るより、共に生きよと狐が諭す
ならばと兄妹共に狐に遣えて幾星霜
怨嗟も腐って縁となる
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