友達以上恋人…

りむちゃ

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…俺何してんだろ

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目が覚めるとそこは見慣れた自室の天井だった。
「今日は会えるかなー…」
彼の名前は深月  陸斗(みづきりくと)。朝から想い人の事を考える恋する乙女ならぬ恋する高校1年生健児だ。
今日は月曜日。学校へ行く支度を整え家をでた。
家の目の前には毎朝迎えに来てくれる男の子がいた。
彼の名前は深澤  碧維(ふかざわ あおい)可愛い名前をしているが顔も性格もモテないはずがないと言わんばかりのイケメンだ。
こいつも恋をしているらしいが何度聞いても「秘密」でまるで教えてくれない。
朝は「昨日の○○って番組見た?」等話しているうちに学校に着いているという感じだ。
「なぁ陸斗。今日予習した?数学当てられるの確かお前だよな?」
碧維が言う。一瞬「え?」と思ったが確かに今日は俺が当てられる日だということを思い出した。
「やばい…忘れてた…」
「まじかよ」
こんな呑気な会話をしているが俺の心境はもはやカオス。心の中で何故昨日やらなかったんだと自分をせめたがすぐ辞めた。そんなことをしているより早急に取り掛からなければ1時限目の数学にはとても間に合わない。数学が苦手な俺にとってこんなしょうもない事で意欲関心点を下げる訳にはいかないのだ。
が、しかし
「全然わかんない…」
数学は平均点前後をうろちょろしている陸斗にとって今どうやって解いたらいいかなどという事を考える余裕がなかった。
「よくそんな頭でこの高校入れたな…」
と言いながら碧維が1冊のノートを手渡してきた。
「とりあえず写しとけ。当てられたとこさえ答えられれば関心意欲は無事だろ。」
こういうとこが女子に評価されるのか…なんてくだらないことを確信した俺だったが1時限目の数学まであと5分を切っていた。
「ありがとう!昼なんか奢るから!」
といいノートを受け取った。
「深月。問二答えてみろ。勿論予習してきたよな?」と先生に当てられた。
「○○です。」
心の中で
「碧維本当ありがとう」と呪文のように唱えながら答え、席についた。
そうして数学は終わった。
「はー…まじ助かったわありがとう。」
「あぁ。」
という会話をしながら廊下を歩いていると足が止まった。前方から歩いてくるのは陸斗が恋をしている葉山  想羅(はやま  そら)
彼は男で女子からの人気も高い。彼もまた顔も性格も問題無しのイケメンだ。
「…はぁ。本当かっこよすぎるわ…俺が女だったらな…」俺が言うと碧維が
「…そうだな」と呟いた彼の顔は一瞬だけ本当に一瞬だけ悲しそうに歪ん気がした。
2時限目は国語3次元目は体育というように時間は過ぎていき現在時刻は12時45分。ちょうど昼休みで1時限目のお礼も兼ねた彼の分のカツサンドを片手に屋上へむかった。
「待たせたか?」
「いや、今来たとこだ」
なんてカレカノがしそうな会話をしつつ昼ごはんを頬張った。
「そういやなんで碧維は予習問題してたんだ?お前当たらないのに」
と聞くと彼は一瞬困った顔をしてから
「お前には関係ない」
とだけいいまた昼ごはんを食べはじめた。
「まぁそうだけど」
と歯切れは悪いがこの話は幕を閉じた。
「想羅ってさ…好きなやつとかいんのかな。」
昼ごはんを食べたあとまだ時間があったのでだした話題に碧維はまた顔を歪めた。
「いてもいなくてもいいんじゃね。知らないけどさ」
と素っ気なく返してきた。
(今日なんか碧維機嫌悪い?)
なんて思いながら俺らは教室へ戻った。
5、6次元目と終わり俺は部活へ向かった。
俺と碧維は美術部なので美術室に向かい今月のテーマにあった絵をどうするかなどの話をした。
そして下描きを終えたとこで水彩絵の具が無いことに気付いた。
「あ、悪い。絵の具忘れたみたいだから教室まで取り入ってくるわ」
「俺のかそうか?」
「いや大丈夫。すぐだしな。」
「じゃあ俺も行く」
なんて話をして教室まで全力疾走の競争をした。俺は元々体力があるので碧維よりも早く教室に着いた。
すると教室の中から話し声がした。
「…は…だな…」
立ち聞きはフェアじゃないしなと引き返そうとしたが
「深月絶対お前のこと好きだって。たまにちらちら見てるし」
は?
「やめろよ。気持ち悪い。」
聞こえてしまったクラスメイトと想羅の会話。これが彼の本心だ。
耐えきれず美術室に帰ろうと振り返るとそこには碧維がいた。
「陸斗…」
心配そうに俺を見ているが今はそれすら悲しかった。
「俺…何してんだろうな。普通なら当たり前のことで当然の反応なのに…傷ついたりして」
無理やり笑おうとしたが上手くいかず仕舞いには視界がぼやけてくる始末。
(本当迷惑かけてばっかじゃん俺…)
そう思った瞬間温かいものに包まれた
「やめろ。無理して笑おうとすんなよ。」その一言で俺は泣き崩れた。
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