13 / 27
2学期 3−2
しおりを挟む
私たち1年生の教室は旧校舎にある。旧校舎は新校舎と同じ敷地にあるが、裏門から入ったほうが近い。裏門は道を1本、中に入った道をまっすぐ進むと見えてくる。2,3年生の教室は新校舎だ。ほとんどの生徒が正門に繋がる道を使う。そのため、裏門へ行く道はさほど混雑していない。逆に正門へ向かう道は生徒でギュウギュウになる。私たちはギュウギュウにならずに済み、教室の校舎も近い裏門へ繋がる道を歩く。人が減り少し開放的になったが、気不味さは続いていた。
「そういえば、今日の小テスト大丈夫そう?勉強した?」
気不味さをかき消すかのように話しかけてくる。
「小テスト?⋯小テストなんてあったっけ?」
「うん。ほら、数学の⋯いつもしてるやつじゃなくて⋯」
「あー。なんか言ってた気もする⋯。勉強してないけど⋯」
「とか言って、そういう人に限ってめっちゃ勉強してたりするじゃん。」
「いや、小テストあることすら覚えてないのに、どうやって勉強するの?」
よくあるパターンの会話だ。そもそも、勉強してるのにしてないって嘘つく意味がわからない。
「だって、いつも点数いいじゃん。」
「私のテストの点数知ってるの?」
私は彼にテストの点数なんて見せたことない。知らないはずなのに決めつけで物を言う彼を薄目で睨めつける。彼は、それに少し怯んで応える。
「いや、知らないけど、なんとなく⋯。ほら、鶴川とか仁香とかがよく言ってるし⋯。」
「テストの点数を?」
彼は若菜と同じソフトテニス部だ。若菜とはテストの結果を見せあったり、報告しあったりする。しかし、若菜がわざわざ、彼にテストの点数を言うとは思えない。今度はしっかりと目を開いて、射貫くように視線を送る。
「そうじゃなくて、賢いとか、頭が良いとか。あと、テスト返却のとき点数を言い合ってるのが聞こえる時があって⋯。」
女子同士の賢いとか、可愛いとかそういった褒め言葉は日常で使われるお世辞だ。それだけだったら、お世辞を言いあってるだけと言えたが⋯。友達同士で点数を教えあう時に聞かれていたとは⋯。そんなにいい点数ではないのに恥ずかしすぎる。
「あー、そうなんだ。それで言うなら、グレコも頭いいじゃん。いつも上位に入ってるし⋯。」
私たちのクラスでは各科目、上位10名はニックネームで発表される。そのニックネームはみんなにはわからないように自分自身で作る。だから誰かわかりやすいものもあれば、わかりにくいものもある。グレコのニックネームはそのままで「グレコ」だった。よくグレコは上位10名に入っている。
「別にそんなことないよ。」
「グレコは?勉強した?」
「うん。まあ、一応ね。」
「テスト範囲ってどこだっけ?」
「今やってる単元全部。」
「なるほど⋯。まあ、どうにかなるでしょ。」
「意外と適当なんだね。」
「そういえば、今日の小テスト大丈夫そう?勉強した?」
気不味さをかき消すかのように話しかけてくる。
「小テスト?⋯小テストなんてあったっけ?」
「うん。ほら、数学の⋯いつもしてるやつじゃなくて⋯」
「あー。なんか言ってた気もする⋯。勉強してないけど⋯」
「とか言って、そういう人に限ってめっちゃ勉強してたりするじゃん。」
「いや、小テストあることすら覚えてないのに、どうやって勉強するの?」
よくあるパターンの会話だ。そもそも、勉強してるのにしてないって嘘つく意味がわからない。
「だって、いつも点数いいじゃん。」
「私のテストの点数知ってるの?」
私は彼にテストの点数なんて見せたことない。知らないはずなのに決めつけで物を言う彼を薄目で睨めつける。彼は、それに少し怯んで応える。
「いや、知らないけど、なんとなく⋯。ほら、鶴川とか仁香とかがよく言ってるし⋯。」
「テストの点数を?」
彼は若菜と同じソフトテニス部だ。若菜とはテストの結果を見せあったり、報告しあったりする。しかし、若菜がわざわざ、彼にテストの点数を言うとは思えない。今度はしっかりと目を開いて、射貫くように視線を送る。
「そうじゃなくて、賢いとか、頭が良いとか。あと、テスト返却のとき点数を言い合ってるのが聞こえる時があって⋯。」
女子同士の賢いとか、可愛いとかそういった褒め言葉は日常で使われるお世辞だ。それだけだったら、お世辞を言いあってるだけと言えたが⋯。友達同士で点数を教えあう時に聞かれていたとは⋯。そんなにいい点数ではないのに恥ずかしすぎる。
「あー、そうなんだ。それで言うなら、グレコも頭いいじゃん。いつも上位に入ってるし⋯。」
私たちのクラスでは各科目、上位10名はニックネームで発表される。そのニックネームはみんなにはわからないように自分自身で作る。だから誰かわかりやすいものもあれば、わかりにくいものもある。グレコのニックネームはそのままで「グレコ」だった。よくグレコは上位10名に入っている。
「別にそんなことないよ。」
「グレコは?勉強した?」
「うん。まあ、一応ね。」
「テスト範囲ってどこだっけ?」
「今やってる単元全部。」
「なるほど⋯。まあ、どうにかなるでしょ。」
「意外と適当なんだね。」
1
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
友達婚~5年もあいつに片想い~
日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は
同僚の大樹に5年も片想いしている
5年前にした
「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」
梨衣は今30歳
その約束を大樹は覚えているのか
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる