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2学期 6−1
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ふと、本屋にでも寄ればいいのではないか。そんな考えが過った。しかし、すでに私たちは飲食店の前に来ていた。もっと早く気づいていれば、早すぎる夕食にならなかったのでは?そう思うがすでに遅く、店員が私たちを店内へ案内する。席に着いてしまった私は、夕食を遅らせることをあきらめ、メニューに目を通した。互いにメニューが決まると店員を呼び注文をした。料理が出てくるまで、また会話に戻るが、私はふと以前から聞きたかったことを思い出し、彼に問いかける。
「そういえば、グレコってイタリア語話せるんだよね?」
「⋯うん。ちょっとだけね。」
「じゃあ、イタリア語教えてよ。っあ、嫌じゃなかったら⋯。」
「別にいいけど⋯。役に立たないと思うよ。英語とかじゃないし。」
「なんかかっこいいじゃん。⋯ダメかな?」
「全然いいけど⋯。どんな言葉知りたいの?」
「っえ、いいんだ⋯。ふふふ、正直断られると思ってた。」
「なんで?」
「だって、この間、クラスメイトの女子に〈イタリア語ってどんな感じ?〉って聞かれてたじゃん。なんか、その時、嫌そうな顔してたから、こういう話題って嫌なのかもって思って⋯。」
「まあ、確かにこういう話題はあんまり好きじゃないかも⋯。」
「やっぱり⋯。」
「ただ、前のは、どういう感じって言われても⋯どう答えて良いかわかんかなかったし⋯」
「あー。確かにどうって言われてもって感じになるかも⋯。」
「でしょ。でも、教えてって言われるのは悪くないかなって思った。まあ、教え方なんてわかんないけど。」
「そっか、なら良かった。」
「それで、どんな言葉が知りたいの?」
「えー。なんだろう⋯。お腹が空いたとか?」
「いや、今そう思ってるだけでしょ。」
「うん。ご飯には早すぎるかなって思ってたけど、お店の匂い嗅いでたら、お腹すてきたんだもん。」
「確かにいいにおいするけど。」
彼が忍び笑いをする。もしかしてこの笑い方は彼の癖なのだろうか?
「それで、お腹空いたって、イタリア語でなんて言うの?」
「Ho fame」
「オ ファメ?」
「Ho fame(オ ファーメ)」
「オ ファーメ⋯」
「そう、Ho fame」
「ふーん。オ ファーメ!!」
私は彼を見て訴えた。それに彼は少し驚いた顔をする。お互いに数秒見つめ合い、同時に笑いだした。その後、注文した料理が届き、食事を始めても「おいしそうは?」「おいしかったは?」と思いつく限り、彼に尋ねた。私が質問攻め兼発音練習をしているうちに、食事が終わり店を出た
「そういえば、グレコってイタリア語話せるんだよね?」
「⋯うん。ちょっとだけね。」
「じゃあ、イタリア語教えてよ。っあ、嫌じゃなかったら⋯。」
「別にいいけど⋯。役に立たないと思うよ。英語とかじゃないし。」
「なんかかっこいいじゃん。⋯ダメかな?」
「全然いいけど⋯。どんな言葉知りたいの?」
「っえ、いいんだ⋯。ふふふ、正直断られると思ってた。」
「なんで?」
「だって、この間、クラスメイトの女子に〈イタリア語ってどんな感じ?〉って聞かれてたじゃん。なんか、その時、嫌そうな顔してたから、こういう話題って嫌なのかもって思って⋯。」
「まあ、確かにこういう話題はあんまり好きじゃないかも⋯。」
「やっぱり⋯。」
「ただ、前のは、どういう感じって言われても⋯どう答えて良いかわかんかなかったし⋯」
「あー。確かにどうって言われてもって感じになるかも⋯。」
「でしょ。でも、教えてって言われるのは悪くないかなって思った。まあ、教え方なんてわかんないけど。」
「そっか、なら良かった。」
「それで、どんな言葉が知りたいの?」
「えー。なんだろう⋯。お腹が空いたとか?」
「いや、今そう思ってるだけでしょ。」
「うん。ご飯には早すぎるかなって思ってたけど、お店の匂い嗅いでたら、お腹すてきたんだもん。」
「確かにいいにおいするけど。」
彼が忍び笑いをする。もしかしてこの笑い方は彼の癖なのだろうか?
「それで、お腹空いたって、イタリア語でなんて言うの?」
「Ho fame」
「オ ファメ?」
「Ho fame(オ ファーメ)」
「オ ファーメ⋯」
「そう、Ho fame」
「ふーん。オ ファーメ!!」
私は彼を見て訴えた。それに彼は少し驚いた顔をする。お互いに数秒見つめ合い、同時に笑いだした。その後、注文した料理が届き、食事を始めても「おいしそうは?」「おいしかったは?」と思いつく限り、彼に尋ねた。私が質問攻め兼発音練習をしているうちに、食事が終わり店を出た
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