１年の恋

エピローグ

　２年生になってしばらく経った。加賀史とはクラスが違うのに、相変わらず加賀史は私を揶揄いに来る。グレコともクラスが分かれ、話すことが無くなった。一方、上津とはクラスは違うけれど、たまに話をするようになった。内容は主に、恋バナだ。何らや、この数カ月の間に、木浦と仲が進んでいるようだ。春休みが明け、よく一緒にいるなと思っていたら、そういう仲になっていたらしい。最近私は、つい２人の姿を見るとニヤついてしまう。上津からは、私と加賀史の仲についてよく聞かれる。正直、加賀史との仲は、私自身もよくわからない。頻繁に会話をするし、放課後一緒に出かけたりもする。ただ、恋人同士のような雰囲気にはならないし、そういった話にもならない。けれど、なんとなく、加賀史以外と付き合ったり、デートをしようとは思わなかった。上津は、煮え切らない関係に耐えられないのか、よく口出しをする。そういうのを踏まえて、私はこの関係を楽しんでいる。
「植村、何してるんだ？早く行くぞ。」
　加賀史が少し先で立ち止まり、声を上げた。