恋人が天使すぎて大変です

選道美世

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本音 1

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僕は窓の外を見ていた。
 まだ誰も来ていない、静かな教室。いつもなら春樹が隣にいる時間なのに、今日は一人だ。
 昨日のことを思い出す。
 春樹に言ってしまった言葉。大きな声で言ってしまった言葉。
「春樹には、僕の気持ちは一生わからないよ。」
 ⋯⋯言いすぎた。
 でも、本当のことだった。春樹は分かってくれない。僕の気持ちを。
 教室のドアが開く音がした。
 振り返ると、彰が立っていた。
「⋯⋯優?お前、こんな朝早くに珍しいな。」
 彰がいつもと違う時間に来ている。彰はいつも遅刻ギリギリに登校するのに。
「⋯⋯。」
 僕は何も答えず、また窓の外を見た。
 彰が自分の席に荷物を置く音がする。教室には僕と彰、二人だけだ。
 ⋯⋯話そうか。
 普段なら、彰と二人きりで話すことなんてない。でも、口が勝手に動いていた。
「⋯⋯なあ、彰。」
 僕は彰を振り返った。
 彰が驚いた顔でこちらを見る。
「お、おう⋯⋯どうした?」
「⋯⋯春樹のこと。」
「春樹?」
 僕は立ち上がって、彰の方に歩いていく。
「⋯⋯春樹は、僕のことを天使だって言う。」
「ああ⋯⋯まあ、いつも言ってるな。」
「⋯⋯違う。」
 僕は彰の目を見た。
「天使は⋯⋯春樹の方。」
 彰が目を丸くする。
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