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ルイ視点2
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「ユイト、Subは普通の幸せかPlayをしてくれるDomのところの方がいい…いつまで待っても俺はCommandを使ってやれない」
「それでも僕は、ルイ様をお待ちしています」
Commandを口に出来ないDomの近くにいて幸せにはなれない。
それはSubであるユイトが一番分かっている事だ。
両親が怖いなら俺が説得をすれば解放してくれる。
昔のようにはならない、もうお前は自由になったんだ。
何度もそう言っているのに、ユイトは俺といる事が生き甲斐だと笑う。
理解出来ない、今Commandが言えない奴をずっと待っても突然言えるか分からない。
あの時、俺は確かにCommandを口にしていた。
なんで今、言えなくなったのか原因が分からない。
時間が解決してくれると勝手に思っていた。
しかしそれは、甘い考えでしかなかった。
毎日のようにDomとしての期待を背負い、応えたくても応える事が出来ない自分にイラついた。
どうすれば良いんだ?喉を切り裂けば声が出るのか?
小さなナイフを手にして喉元に当てた事もあった。
しかし寸前で彼の顔が脳内に映り、ナイフが手からこぼれ落ちた。
喉を切り裂いたら会話が出来なくなるし、それだけではなく死ぬかもしれない。
そうなったらもう二度と彼に会う事は出来ない。
それは嫌だな、Domとしての価値がなくなるよりもずっと…
期待に押し潰されそうなら、ここから離れればいいんだ。
ほんの少しでも良い、ここよりマシなところはないものか。
考えた末にこの鳥籠から出るには、騎士団に入団するしかなかった。
期待されてもそれはCommandではなく、Domとしての力だ。
Subがいなくても、俺の力は劣る事はない。
騎士団に入っても、俺がDomとしてCommandを使う事が出来ないのは変わらなかった。
ユイトは騎士ではないから、プレッシャーからも逃げられた。
プレッシャーでCommandが使えなかったわけではなかった
国を守る騎士として、俺は俺の居場所を手に入れた。
それでも休日はこうして帰ってこいと両親に言われて家で過ごしている。
子離れというより、俺の力を手放したくないように思える。
DomとしてCommandが使えなくても、魔力は特別なものだ。
俺は俺のものなのに、いったい誰のものなんだ?
濡れた身体を拭いて、ユイトが手伝うと言うのを断って服を着替えた。
「ルイ様、僕も騎士団に入ってお世話がしたいです」
「そこまでしなくていい」
「ですが、僕はもっと近くに…」
「俺はお前を満たす事は出来ない、だから…」
「だから言っただろ、コイツはやめとけって…」
後ろから声が聞こえて、振り返る前に俺の横を通り過ぎた。
銀色の髪の男はユイトに近付いて、肩に腕を回していた。
毎回顔を逸らされてもよくやるな。
母が呼んだのか、お気に入りだからってコイツは家に来て引っ掻き回して帰るだけだ。
同じ歳だから、幼馴染みと言われているが仲が良くない。
ユイト関係なく、俺はこの男の性格が嫌いだ。
俺の家に来て、いつもユイトを口説いている。
コイツのところに行きたいなら止めないが、無理矢理は見逃せない。
ユイトはこの家の大事な客人だ。
「Commandすら言えない奴より、俺の方が満足させられる」
「…や、やめてください」
「ルーク、お前にはもうSubがいるだろ…自分のSubを大切にしろ」
「あ?何言ってんだよ、優秀なSubがいたら乗り換えるのが普通だろ?Subだってお前のような腰抜けより強いDomとPlayしたいだろ?な、ユイト」
「ぼ、僕はルイ様のお側にいたいですっ」
ユイトは俺の方に来たが、その足は突然止まった。
脱衣室に響き渡る、「Kneel(跪け)」という言葉。
俺は何ともないが、ユイトはその場にしゃがみ込んだ。
Subは気持ち関係なくDomの命令には逆らえない。
ユイトを助けるには、俺がCommandで塗り替える必要がある。
顔が真っ青になりながら、俺にPlayを求めてきた。
あの時のように言えばいい、それだけの事なのに言葉が出ない。
ルークを睨むと、俺の全てを知っているかのようにニヤニヤと笑っていた。
「ルイ様に助けを求めても無駄だって、俺を求めろよ…Sub dropするぞ」
「ルイ様っ!」
「っ!俺…は…」
言えない、命が関わるSub dropになるかもしれないのに…声が出ない。
ユイトは下を向いて、俺に失望していた。
すまない、俺にはどうしても出来ない。
ユイトはルークの方を見て、ルークは Careをしていた。
俺を誰もが完璧だと言うが、Domとしては欠陥だらけだ。
ルークとユイトは二人で脱衣室から出て行った。
俺は誰も幸せに出来ない、求められても答えられない。
少し考えて、俺の頭にはノアの顔が浮かび上がった。
俺が最初で最後のCommandを使う事が出来た相手。
もう一度会えば、俺のこの原因が解消されるかもしれない。
脱衣室を出て、部屋に向かって歩いた。
ユイトを巻き込んでしまった。
ルークといると幸せにはなれないが、Commandさえ使えない俺に止められても迷惑だよな。
俺が言わなくてもユイトとルークも付き合いが長いからそれは分かっている。
SubはDomに逆らえない、Subの自由はあるのだろうか。
「ルイ、今さっきユイトからもう家に来ないと言っていたのだけどなにがあったの?」
「…俺がDomとして欠陥だったから」
俺の方に慌てて駆け寄る母に一言だけ言って部屋に入った。
小さく息を吸って、大きく吐いた。
ユイトは俺を恨んでるよな、助けを求めたのに応える事が出来なかった。
それでも、俺はユイトとPlayは出来ない。
母はルークを気に入っているから、繋がりがある。
ユイトに酷い事しないでくれとお願いする事は出来る。
ルークが母の言う事を聞くとは思えないが、何もしないよりはマシだろう。
対象はいないが、小さな声でCommandを口にする。
やっぱり、誰もいないと言葉が普通に出てくるんだな。
一言二言言っただけで、喉が焼けるように痛くなり口を押さえて咳き込んだ。
咳がおさまり手を離すと、手のひらに真っ赤な血が付着していた。
拳を握りしめて、ベッドに横になった。
目蓋を閉じると視界が遮断されて、脳内の映像が流れる。
そのどれもが、ノアの姿だった。
何処にいるかずっと分からなかったが、騎士団長になればいろいろと出来る事が増える。
10年前の記憶しかない中探すのは難しい。
それでも俺は自分の疑問を解決させるために会わなければいけない。
「それでも僕は、ルイ様をお待ちしています」
Commandを口に出来ないDomの近くにいて幸せにはなれない。
それはSubであるユイトが一番分かっている事だ。
両親が怖いなら俺が説得をすれば解放してくれる。
昔のようにはならない、もうお前は自由になったんだ。
何度もそう言っているのに、ユイトは俺といる事が生き甲斐だと笑う。
理解出来ない、今Commandが言えない奴をずっと待っても突然言えるか分からない。
あの時、俺は確かにCommandを口にしていた。
なんで今、言えなくなったのか原因が分からない。
時間が解決してくれると勝手に思っていた。
しかしそれは、甘い考えでしかなかった。
毎日のようにDomとしての期待を背負い、応えたくても応える事が出来ない自分にイラついた。
どうすれば良いんだ?喉を切り裂けば声が出るのか?
小さなナイフを手にして喉元に当てた事もあった。
しかし寸前で彼の顔が脳内に映り、ナイフが手からこぼれ落ちた。
喉を切り裂いたら会話が出来なくなるし、それだけではなく死ぬかもしれない。
そうなったらもう二度と彼に会う事は出来ない。
それは嫌だな、Domとしての価値がなくなるよりもずっと…
期待に押し潰されそうなら、ここから離れればいいんだ。
ほんの少しでも良い、ここよりマシなところはないものか。
考えた末にこの鳥籠から出るには、騎士団に入団するしかなかった。
期待されてもそれはCommandではなく、Domとしての力だ。
Subがいなくても、俺の力は劣る事はない。
騎士団に入っても、俺がDomとしてCommandを使う事が出来ないのは変わらなかった。
ユイトは騎士ではないから、プレッシャーからも逃げられた。
プレッシャーでCommandが使えなかったわけではなかった
国を守る騎士として、俺は俺の居場所を手に入れた。
それでも休日はこうして帰ってこいと両親に言われて家で過ごしている。
子離れというより、俺の力を手放したくないように思える。
DomとしてCommandが使えなくても、魔力は特別なものだ。
俺は俺のものなのに、いったい誰のものなんだ?
濡れた身体を拭いて、ユイトが手伝うと言うのを断って服を着替えた。
「ルイ様、僕も騎士団に入ってお世話がしたいです」
「そこまでしなくていい」
「ですが、僕はもっと近くに…」
「俺はお前を満たす事は出来ない、だから…」
「だから言っただろ、コイツはやめとけって…」
後ろから声が聞こえて、振り返る前に俺の横を通り過ぎた。
銀色の髪の男はユイトに近付いて、肩に腕を回していた。
毎回顔を逸らされてもよくやるな。
母が呼んだのか、お気に入りだからってコイツは家に来て引っ掻き回して帰るだけだ。
同じ歳だから、幼馴染みと言われているが仲が良くない。
ユイト関係なく、俺はこの男の性格が嫌いだ。
俺の家に来て、いつもユイトを口説いている。
コイツのところに行きたいなら止めないが、無理矢理は見逃せない。
ユイトはこの家の大事な客人だ。
「Commandすら言えない奴より、俺の方が満足させられる」
「…や、やめてください」
「ルーク、お前にはもうSubがいるだろ…自分のSubを大切にしろ」
「あ?何言ってんだよ、優秀なSubがいたら乗り換えるのが普通だろ?Subだってお前のような腰抜けより強いDomとPlayしたいだろ?な、ユイト」
「ぼ、僕はルイ様のお側にいたいですっ」
ユイトは俺の方に来たが、その足は突然止まった。
脱衣室に響き渡る、「Kneel(跪け)」という言葉。
俺は何ともないが、ユイトはその場にしゃがみ込んだ。
Subは気持ち関係なくDomの命令には逆らえない。
ユイトを助けるには、俺がCommandで塗り替える必要がある。
顔が真っ青になりながら、俺にPlayを求めてきた。
あの時のように言えばいい、それだけの事なのに言葉が出ない。
ルークを睨むと、俺の全てを知っているかのようにニヤニヤと笑っていた。
「ルイ様に助けを求めても無駄だって、俺を求めろよ…Sub dropするぞ」
「ルイ様っ!」
「っ!俺…は…」
言えない、命が関わるSub dropになるかもしれないのに…声が出ない。
ユイトは下を向いて、俺に失望していた。
すまない、俺にはどうしても出来ない。
ユイトはルークの方を見て、ルークは Careをしていた。
俺を誰もが完璧だと言うが、Domとしては欠陥だらけだ。
ルークとユイトは二人で脱衣室から出て行った。
俺は誰も幸せに出来ない、求められても答えられない。
少し考えて、俺の頭にはノアの顔が浮かび上がった。
俺が最初で最後のCommandを使う事が出来た相手。
もう一度会えば、俺のこの原因が解消されるかもしれない。
脱衣室を出て、部屋に向かって歩いた。
ユイトを巻き込んでしまった。
ルークといると幸せにはなれないが、Commandさえ使えない俺に止められても迷惑だよな。
俺が言わなくてもユイトとルークも付き合いが長いからそれは分かっている。
SubはDomに逆らえない、Subの自由はあるのだろうか。
「ルイ、今さっきユイトからもう家に来ないと言っていたのだけどなにがあったの?」
「…俺がDomとして欠陥だったから」
俺の方に慌てて駆け寄る母に一言だけ言って部屋に入った。
小さく息を吸って、大きく吐いた。
ユイトは俺を恨んでるよな、助けを求めたのに応える事が出来なかった。
それでも、俺はユイトとPlayは出来ない。
母はルークを気に入っているから、繋がりがある。
ユイトに酷い事しないでくれとお願いする事は出来る。
ルークが母の言う事を聞くとは思えないが、何もしないよりはマシだろう。
対象はいないが、小さな声でCommandを口にする。
やっぱり、誰もいないと言葉が普通に出てくるんだな。
一言二言言っただけで、喉が焼けるように痛くなり口を押さえて咳き込んだ。
咳がおさまり手を離すと、手のひらに真っ赤な血が付着していた。
拳を握りしめて、ベッドに横になった。
目蓋を閉じると視界が遮断されて、脳内の映像が流れる。
そのどれもが、ノアの姿だった。
何処にいるかずっと分からなかったが、騎士団長になればいろいろと出来る事が増える。
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それでも俺は自分の疑問を解決させるために会わなければいけない。
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