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🎹ピアノ男子の章🎹
⒌恋、だなby泥棒
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「えー……こ、このスケールはイ短調の……」
翌日。大型スクリーンを示しながら、教育実習生の奏人先生が授業を行なっている。室内はざわついていた。
「えーっと、み、みんな聞こえ……てる、かなー……」
騒がしい教室に、奏人先生の蚊の鳴くような声は掻き消される。2年A組の生徒たちは初日こそ遠慮して欠伸を噛み殺していたが、今では堂々と雑談に興じていた。もう諦めているのか、担任は何も言わない。
昼休み。「奏斗様こそ私の王子様!」の決意と裏腹に、ヒカリの足は音楽室へ向く。
お嬢様に何かあってはと、心配顔で音楽室に張り付く鈴木さん。それを横目に、カゲはフラリと姿を消す。行き先は言うまでもない。
(最近、やけに近いな)
元々である。しかし。
ポケットに手を突っ込んで歩くカゲの背中は、珍しく苛々と横に揺れていた。
(あのガキ、予想以上にのめり込みやがって! どうなっても知らねえからな!)
☆☆
やっぱり、いた。
ヒカリが音楽室に入っていくと、奏人先生は驚いたように振り向いた。
「く、胡桃沢さん?」
遠慮がちに名を呼ばれ、ヒカリは急に落ち着かなくなった。勢い込んで来たはいいが、何も考えていない。
「あの……昨日は、大丈夫だった……かな」
奏人先生が先に口を開いた。昨日ここで泣いてしまったことを心配してくれているのか。いつもオドオドしているが、生徒のことはきちんと気にかけているようだ。
「あの曲」
「うん」
ヒカリが言い淀むと、奏人先生はこちらを見て頷いた。その声音には、無理に先を促すような忙しさはない。
「あの曲、もう一度聴かせてもらえませんか」
思い切って言ってみたら、顔が熱くなった。
奏人先生は驚いたように眉を上げたが、すぐに「分かったよ」と言って椅子を引いた。椅子に腰を下ろして鍵盤に指を置く。昨日と同じ、流れるように美しい所作で。先生の手元が見えるように、ヒカリがピアノへ歩み寄ったと同時に、音が鳴った。
これだ。
お腹に振動が伝わるような、胸が震えるような、生きてる音。先生が奏でる音は、まるで意思があるみたいにヒカリを包み込む。
鍵盤上の細くて長い指。間近で見る先生の指は舞っているようでもあり、しっかりと鍵盤を捉えているようでもあった。
(先生、近くで見ると睫毛長いんだなぁ)
音の中を浮遊しながら、ヒカリは奏人先生の横顔をぼーっと眺めていた。
音楽室の中に、最後の音が余韻をもって響いた。奏人先生が鍵盤から指を離す。それきり、沈黙が訪れた。
「ありがとう」
「あ、ああ……いや……」
奏人先生は、またオドオドした感じに戻ってしまった。椅子に座ったまま頭を掻いている。
「何も聞かないんですね」
ヒカリは、後に続く言葉を飲み込んだ。
私が、泣いた理由。
「心にしまっておきたいことも、あるのかなって」
意外にもしっかりとした先生の声に、ヒカリは顔を上げる。見事に言い当てられていた。両親のいない寂しさから解放してくれた世界のことは、誰にも語ったことはない。口に出したら消えてしまうような気がしていたからだ。
「あ……でももし相談したいことがあるなら……! ボクなんか……頼りないけど」
奏人先生が教育実習に入ってから、初めてまともに目が合う。先生は、ピアノの椅子に腰掛けた状態でヒカリを見上げる形になった。目が合うと、先生はまたオドオドと目を泳がせる。
「せ、先生が自分のことを頼りないなんて言うもんじゃないわ!」
顔に感じる熱に戸惑いながら、ヒカリは語気を強めた。
持ち前の気の強さが出た。半分は。後の半分は照れ隠しだった。
「どうしていつも、そんなにオドオドしているの? ピアノを弾いてる時は堂々としてるのに」
ヒカリは踏ん反り返って腰に手を当てた。照れ隠しもあるが、これは実習が始まって以来ずっと抱えていた疑問だ。
「ごご、ごめんなさい……」
「私は質問してるの!」
「ごめ……あっ、えーっと……」
言ってるそばから謝る奏人先生である。
「ボク、気が小さくて……。この学園に通ってるのって、すごいお嬢様ばかりでしょ?余計に緊張しちゃって……」
奏人先生は自信無さげに目を泳がせる。ヒカリは眉間に皺を寄せた。こういうのが、いちばん腹が立つのだ!
「ピアノに触れてる時は心が弾むんだ。結局、プロにはなれなかったけどね……ハハ……」
奏人先生は自嘲して俯いた。
「弾まない」
「へ?」
「ちっとも楽しくないわ! 先生の授業! 舌を噛みそうな作曲家の名前とか、何とか短調とかそんなの!」
奏人先生が身体を縮こめた。本当に一回り小さくなったように見える。
「そ、そっか……」
さらにカチンときた。ヒカリは椅子の背もたれに片手を掛けると、座ったままの奏人先生に詰め寄った。
「あのねぇ! 生徒にこんなことを言われて悔しくないの!? 先生が楽しいと思う音楽を教えてくれたらいいじゃない!」
奏人先生が目を丸くしてヒカリを見上げる。
「うん……そうだね……!」
先生は、ヒカリの至近距離でクシャッと笑った。
(あっ──)
今の感じは何だろう。
ヒカリはドギマギして椅子から手を離す。
奏人先生は、子犬みたいだと思った。
☆☆
「恋、だな」
「な、先生とはそんなんじゃないわ!」
胡桃沢邸、リビング。紅茶のカップが、ソーサーに当たってうるさい音を立てた。
「ほぉ? よく分かったなぁ、主語なしで」
「お嬢様! 相手が教師とはどういうことで!」
無駄口を叩くのはカゲ、隣でムンクの『叫び』の如く蒼ざめるのは執事・橋倉である。
「何でもないったら!」
吹き抜けの天井に、ヒカリの声が響いた。カゲは、カカカと笑いながら逃げていく。トイレだろう。
まだ涙目の橋倉に英語の宿題を渡すと、ヒカリはフラリと外へ出た。
あれから数日。
奏人先生の実習開始から一週間が経とうとしていた。
ヒカリは、昼休みには相変わらず音楽室へ足を運んでいる。何を話すでもない。ただ先生のピアノを聴いている。あれは、お気に入りの曲だから。ただそれだけのことなのに、胸がザワザワする。
こんな時、ヒカリはいつも祖父・春平のところへ行く。両親を亡くしてからずっと、ヒカリにとっては大きな支えだ。
「おじいちゃん。それ、アルバム?」
ヒカリが部屋を覗くと、春平は座椅子に座って分厚いアルバムを開いていた。春平は離れにある和室を好み、ここで過ごすことが多い。
「ヒカリか。こっちへおいで」
春平は、目尻を下げてヒカリを招き入れた。アルバムには、ヒカリの両親に加えて祖母の姿もある。両親が事故死して数年後、その祖母も病で亡くなった。
「ねえ。おじいちゃんは、どうしておばあちゃんと結婚したの?」
ヒカリは、隣り合わせで座った春平の横顔を眺める。春平は柔らかな視線をアルバムに落とすと、幸せそうに微笑む祖母の顔に指を添えた。
「フフ、見合いじゃよ。でも。今でも、あれは運命だったと思う。母親みたいにあったかい人じゃったなぁ」
「母親? 奥さんなのに?」
難しい顔でヒカリが首を傾げると、春平は白い歯を見せてフォッフォと笑った。
「男っていうのはな。いつまでも甘えたがりなんじゃよ」
ヒカリは、ますます分からなくなる。ヒカリがいつも憧れる王子様は、甘えたがりなんかじゃないから。
(よく分かんねえけど、うるせえCD聴かずに済むのはラッキーだな)
トイレを後にし、清々しい表情のカゲである。本人に自覚があるのか定かでないが、ヒカリはここ数日ピアノ王子のCDを聴いていない。カゲにとっては喜ばしいことであった。あの小難しい調べが耳に入ると、トイレの近さが倍になるのだ。
さて。ヒカリがどうにもスッキリしない気持ちを持て余している頃。
【R警備保障 新CMキャラクターにピアノ王子・奏斗を起用。撮影は無事終了】
このニュースがメディアを駆け巡ったのは、翌朝のことだった。
翌日。大型スクリーンを示しながら、教育実習生の奏人先生が授業を行なっている。室内はざわついていた。
「えーっと、み、みんな聞こえ……てる、かなー……」
騒がしい教室に、奏人先生の蚊の鳴くような声は掻き消される。2年A組の生徒たちは初日こそ遠慮して欠伸を噛み殺していたが、今では堂々と雑談に興じていた。もう諦めているのか、担任は何も言わない。
昼休み。「奏斗様こそ私の王子様!」の決意と裏腹に、ヒカリの足は音楽室へ向く。
お嬢様に何かあってはと、心配顔で音楽室に張り付く鈴木さん。それを横目に、カゲはフラリと姿を消す。行き先は言うまでもない。
(最近、やけに近いな)
元々である。しかし。
ポケットに手を突っ込んで歩くカゲの背中は、珍しく苛々と横に揺れていた。
(あのガキ、予想以上にのめり込みやがって! どうなっても知らねえからな!)
☆☆
やっぱり、いた。
ヒカリが音楽室に入っていくと、奏人先生は驚いたように振り向いた。
「く、胡桃沢さん?」
遠慮がちに名を呼ばれ、ヒカリは急に落ち着かなくなった。勢い込んで来たはいいが、何も考えていない。
「あの……昨日は、大丈夫だった……かな」
奏人先生が先に口を開いた。昨日ここで泣いてしまったことを心配してくれているのか。いつもオドオドしているが、生徒のことはきちんと気にかけているようだ。
「あの曲」
「うん」
ヒカリが言い淀むと、奏人先生はこちらを見て頷いた。その声音には、無理に先を促すような忙しさはない。
「あの曲、もう一度聴かせてもらえませんか」
思い切って言ってみたら、顔が熱くなった。
奏人先生は驚いたように眉を上げたが、すぐに「分かったよ」と言って椅子を引いた。椅子に腰を下ろして鍵盤に指を置く。昨日と同じ、流れるように美しい所作で。先生の手元が見えるように、ヒカリがピアノへ歩み寄ったと同時に、音が鳴った。
これだ。
お腹に振動が伝わるような、胸が震えるような、生きてる音。先生が奏でる音は、まるで意思があるみたいにヒカリを包み込む。
鍵盤上の細くて長い指。間近で見る先生の指は舞っているようでもあり、しっかりと鍵盤を捉えているようでもあった。
(先生、近くで見ると睫毛長いんだなぁ)
音の中を浮遊しながら、ヒカリは奏人先生の横顔をぼーっと眺めていた。
音楽室の中に、最後の音が余韻をもって響いた。奏人先生が鍵盤から指を離す。それきり、沈黙が訪れた。
「ありがとう」
「あ、ああ……いや……」
奏人先生は、またオドオドした感じに戻ってしまった。椅子に座ったまま頭を掻いている。
「何も聞かないんですね」
ヒカリは、後に続く言葉を飲み込んだ。
私が、泣いた理由。
「心にしまっておきたいことも、あるのかなって」
意外にもしっかりとした先生の声に、ヒカリは顔を上げる。見事に言い当てられていた。両親のいない寂しさから解放してくれた世界のことは、誰にも語ったことはない。口に出したら消えてしまうような気がしていたからだ。
「あ……でももし相談したいことがあるなら……! ボクなんか……頼りないけど」
奏人先生が教育実習に入ってから、初めてまともに目が合う。先生は、ピアノの椅子に腰掛けた状態でヒカリを見上げる形になった。目が合うと、先生はまたオドオドと目を泳がせる。
「せ、先生が自分のことを頼りないなんて言うもんじゃないわ!」
顔に感じる熱に戸惑いながら、ヒカリは語気を強めた。
持ち前の気の強さが出た。半分は。後の半分は照れ隠しだった。
「どうしていつも、そんなにオドオドしているの? ピアノを弾いてる時は堂々としてるのに」
ヒカリは踏ん反り返って腰に手を当てた。照れ隠しもあるが、これは実習が始まって以来ずっと抱えていた疑問だ。
「ごご、ごめんなさい……」
「私は質問してるの!」
「ごめ……あっ、えーっと……」
言ってるそばから謝る奏人先生である。
「ボク、気が小さくて……。この学園に通ってるのって、すごいお嬢様ばかりでしょ?余計に緊張しちゃって……」
奏人先生は自信無さげに目を泳がせる。ヒカリは眉間に皺を寄せた。こういうのが、いちばん腹が立つのだ!
「ピアノに触れてる時は心が弾むんだ。結局、プロにはなれなかったけどね……ハハ……」
奏人先生は自嘲して俯いた。
「弾まない」
「へ?」
「ちっとも楽しくないわ! 先生の授業! 舌を噛みそうな作曲家の名前とか、何とか短調とかそんなの!」
奏人先生が身体を縮こめた。本当に一回り小さくなったように見える。
「そ、そっか……」
さらにカチンときた。ヒカリは椅子の背もたれに片手を掛けると、座ったままの奏人先生に詰め寄った。
「あのねぇ! 生徒にこんなことを言われて悔しくないの!? 先生が楽しいと思う音楽を教えてくれたらいいじゃない!」
奏人先生が目を丸くしてヒカリを見上げる。
「うん……そうだね……!」
先生は、ヒカリの至近距離でクシャッと笑った。
(あっ──)
今の感じは何だろう。
ヒカリはドギマギして椅子から手を離す。
奏人先生は、子犬みたいだと思った。
☆☆
「恋、だな」
「な、先生とはそんなんじゃないわ!」
胡桃沢邸、リビング。紅茶のカップが、ソーサーに当たってうるさい音を立てた。
「ほぉ? よく分かったなぁ、主語なしで」
「お嬢様! 相手が教師とはどういうことで!」
無駄口を叩くのはカゲ、隣でムンクの『叫び』の如く蒼ざめるのは執事・橋倉である。
「何でもないったら!」
吹き抜けの天井に、ヒカリの声が響いた。カゲは、カカカと笑いながら逃げていく。トイレだろう。
まだ涙目の橋倉に英語の宿題を渡すと、ヒカリはフラリと外へ出た。
あれから数日。
奏人先生の実習開始から一週間が経とうとしていた。
ヒカリは、昼休みには相変わらず音楽室へ足を運んでいる。何を話すでもない。ただ先生のピアノを聴いている。あれは、お気に入りの曲だから。ただそれだけのことなのに、胸がザワザワする。
こんな時、ヒカリはいつも祖父・春平のところへ行く。両親を亡くしてからずっと、ヒカリにとっては大きな支えだ。
「おじいちゃん。それ、アルバム?」
ヒカリが部屋を覗くと、春平は座椅子に座って分厚いアルバムを開いていた。春平は離れにある和室を好み、ここで過ごすことが多い。
「ヒカリか。こっちへおいで」
春平は、目尻を下げてヒカリを招き入れた。アルバムには、ヒカリの両親に加えて祖母の姿もある。両親が事故死して数年後、その祖母も病で亡くなった。
「ねえ。おじいちゃんは、どうしておばあちゃんと結婚したの?」
ヒカリは、隣り合わせで座った春平の横顔を眺める。春平は柔らかな視線をアルバムに落とすと、幸せそうに微笑む祖母の顔に指を添えた。
「フフ、見合いじゃよ。でも。今でも、あれは運命だったと思う。母親みたいにあったかい人じゃったなぁ」
「母親? 奥さんなのに?」
難しい顔でヒカリが首を傾げると、春平は白い歯を見せてフォッフォと笑った。
「男っていうのはな。いつまでも甘えたがりなんじゃよ」
ヒカリは、ますます分からなくなる。ヒカリがいつも憧れる王子様は、甘えたがりなんかじゃないから。
(よく分かんねえけど、うるせえCD聴かずに済むのはラッキーだな)
トイレを後にし、清々しい表情のカゲである。本人に自覚があるのか定かでないが、ヒカリはここ数日ピアノ王子のCDを聴いていない。カゲにとっては喜ばしいことであった。あの小難しい調べが耳に入ると、トイレの近さが倍になるのだ。
さて。ヒカリがどうにもスッキリしない気持ちを持て余している頃。
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