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フィン・ウォーカー
しおりを挟む翌日、学校に行くと、
「アイラおはよう。今日はゆっくりなんだね。また朝早くに会えると思ってたんだけど、なかなか来ないから、少し寂しかったよ。」
出た。仲良くもないのに、いつも話しかけて来る。私はあなたに会いたくない。
「昨日はたまたまなんです。」
そこへまた、フランシスが現れた。
「デイブ様! 私、分からない所があるんです。教えてくださいませんか?」
「ああ、わかった。アイラ、また話そう。」
デイブはフランシスの机の前の席に座り、分からない所を教え始めた。
前回は、フランシスをあしらってたはずなのに、今回は優しく接してる。
私の態度が冷たいから、フランシスをキープしとくつもりなのかな。……分かりやすい。
どうしてこんな男が好きだったんだろ。恋は盲目って事か。
「おはよう。今日も考え事か?」
フィン様……。やっぱりおかしい、フィン様がこんなに頻繁に声をかけてくるなんて。
「おはようございます。あの、フィン様はもしかして……」
「君にも、記憶があるんだね。」
え……!?
その後すぐに授業が始まってしまい、詳しく聞く事が出来なかった。
その後はずっとデイブ様に付きまとわれて、フィン様と話す事が出来ずに邸へと帰って来た。
君にも……あの言葉は、フィン様にもってことだよね。
フィン様のお邸に会いに行こうかな……
そう考えていると、
コンコン……
「お嬢様、フィン・ウォーカー様がいらっしゃってます。」
「フィン様が!?」
今会いに行こうと考えていた相手が、あちらからいらしてくれるなんて。
「すぐに行くから、応接室にお通しして。」
コンコン……
身だしなみを整えて応接室に急いで向かうと、フィン様は庭を眺めながらお茶を飲んでいた。
「お待たせして申し訳ありません。まさか、フィン様からいらしてくださるなんて思ってもみませんでした。朝の事……ですよね?」
聞きたいことはいっぱいある。
フィン様は、きっと何か知ってらっしゃるはず。
「先ずは、謝らせて欲しい。すまなかった。」
フィンは立ち上がり、深々と頭を下げた。
「おやめ下さい! どうしてフィン様が謝るのですか!?」
「俺は、君を守る事が出来なかった。あの時、もっと早くここに来ていれば……」
あの時って、もしかして……
「私はやっぱり、死んだのですか?」
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