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初恋
しおりを挟む「ブレア!返事をしてくれ!頼む...」
地下に響き渡るエルヴィンの悲痛な声...
「......誰か...いるのですか?」
「ブレア!?ブレアなのか!?」
「...はい。あなたは...誰?」
「私はエルヴィン・ダリアル。君の夫だ!」
ブレアの心は複雑だった...。
もちろんエルヴィンが助けに来てくれたのは嬉しい。
だが、エルヴィンがここに来たということは、マリベルがした事がバレたという事...
「マリベルは...どうなるのですか?」
「ふふっ。...すまない。やはり君はブレアだ。すぐに出してやるから、待っていろ!」
やっと再会できた2人...
地下から助け出されたブレアは、衰弱しきっていた。
数ヶ月、出された食事にあまり手をつけていなかった。
「ブレア...無事でよかった!」
エルヴィンは泣きながらブレアの手を握る。
「エルヴィン様は、とてもお優しい方なのですね。想像していた通りでした。」
身体も心もボロボロのはずなのに、笑顔を向けてくるブレアに、エルヴィンの心はギュッと締め付けられた。
あまり動かすのも良くないと、カサブランカ侯爵邸で療養する事になった。
カサブランカ侯爵夫妻は、知っていて黙っていた罪で拘束された。
誰もいなくなったカサブランカ邸で、エルヴィンは付きっきりで看病をしていた。
「エルヴィン様、私なんかの為にずっとここにいらっしゃらなくても大丈夫ですよ。」
「何を言っているのだ!大切な妻の傍にいて何が悪い!」
妻という言葉に、ブレアの顔は赤くなる。
姉妹が入れ替わって結婚したとはいえ、正式にはエルヴィンの妻はブレアだ。
もう一度盛大に結婚式を挙げることは出来ない...。
「すぐに偽物だと気付かず...すまなかった。」
エルヴィンはブレアに頭を下げた。
「やめてください。気付くことなど不可能でした。でも...どうしてマリベルだと分かったのですか?」
エルヴィンはあの髪飾りをブレアに見せた。
「...これは、私の髪飾り。この髪飾りは、幼い頃出会った男の子に、お守りとして渡した物...」
その時ブレアは気づいた!
あの時の男の子の面影が、エルヴィンにある事を...。
「あの時の男の子なのですか?」
エルヴィンはにっこりと笑って頷いた。
「あの時、迷子になり泣いていた私を助けてくれた女の子...ブレアに私は恋をした。」
やっとわかった。
婚約相手に私を名指ししたのも、マリベルを私じゃないと見破ったのも...エルヴィン様があの時の男の子だったから...。
「エルヴィン様...私も、あの時の男の子に恋をしていました。」
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