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本編 最終話
しおりを挟む「ブレアも!?本当なのか!?」
エルヴィンは、ブレアも同じ想いを持っていたことに感激していた。
「本当です。あの時元気付けたくて、髪飾りをとっさに渡してしまったけど、渡したあとに後悔したんです。男の子に髪飾りなんてって......でも、エルヴィン様は、すごく幸せそうな笑顔を向けてくれた。その笑顔に、一瞬で恋してました。」
初恋の男の子に、また会えるなんて夢にも思わなかった。
「私はずっと君を探していたんだ。あの時から、必ず君を妻にすると決めていた。」
「そんなに想ってくださっていたのですか!?」
エルヴィンはベッドに横たわるブレアの頭をそっと撫でながら、
「私の妻は、ブレア以外有り得ない。君でなくてはダメなんだ。」
ずっと誰かに言って欲しかった言葉...。
マリベルじゃなく、私を見てくれた初めての人。
この人を一生愛すると、誓います。
数日後、ブレアとエルヴィンは二人だけのささやかな結婚式を挙げた。
マリベルは公爵家を欺いた罪で国外追放となり、カサブランカ侯爵は爵位を剥奪された。
ブレアにとってはつらい事だったが、命を失わなかった事は幸いだった。
追放されたマリベルの消息は、誰もわからなかった。
財産も爵位も失ったカサブランカ夫妻は、エルヴィンから地方に家を買ってもらい、夫婦2人で住んでいる。
ブレアを想う、エルヴィンの心遣いだった。
「旦那様、両親の為にありがとうございました。」
「ブレアの為なら何だってしそうな自分が少し怖い。」
エルヴィンはそういいながら、おどけて見せた。
大好きな旦那様...あなたに会えて、私は幸せです。
マリベルにも、いつかそういう人が現れたらいいな。
もう二度と、会うことがないかもしれない妹のマリベル...あなたにも、幸せになって欲しいと願ってる。
ブレアはあの髪飾りを2つとも胸に抱き、マリベルの事を想った。
双子に生まれ、妹に全てを奪われてきたはずのブレアは、本当に大切な物は奪われることがなかった。
ブレアの物を欲し続け、ブレアを貶め続け、入れ替わってでも奪おうとしたマリベルに、幸せなどは決して手に入れられはしなかった。
「ブレア、今日は一緒に寝て欲しい。」
ゆっくり進めてきた愛が、先に進もうとしていた。
「...はい。」
頬を赤く染めるブレアに、エルヴィンは優しく手を差し出す。
「ブレア...愛してる。」
「旦那様...私も、愛しています。」
2人は寝室に入り、幸せな時間を過ごしたのだった。
END
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