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番外編―マリベル―※残酷表現あり
しおりを挟む国を追放されたマリベルは、隣国の路地裏で蹲っていた。
「...お腹空いた。全部お姉様のせいよ!なんで私がこんな目に合わなくてはいけないの!?」
どんなに腹を立てたところで、誰にも届くことはない。
「エルヴィン様...なぜお姉様なのですか?同じ顔だし、私の方が尽くせるし、望むこと何でもして差し上げられるのに...。」
マリベルはどうやら、エルヴィンを本気で好きだったようだ。
「とにかく、このままじゃダメだわ!どこかの金持ちに取り入って力を付けなくちゃ!」
どこまでも考え方がクズなマリベル...。
色んな屋敷に行き自分を売り込むが、門前払い...
姉になりすまし結婚したという、マリベルの噂は、他国にまで広がっていた。
「なんなのよ!この私が、老いぼれじじいの相手をしてやるって言ってるのに!!」
断られ続け、もう行くところがない...。
街をとぼとぼと歩いていると、
「マリベル様...?」
後ろから名前を呼ばれ、振り返ると...
ドスッ!!!!
「...い...た...っ!何!?な...んなの...これ!?」
血がぽたぽたと滴り落ち、地面に血溜まりができた。
「きゃー!!」
「人殺しー!!」
周りにいた人達は逃げていった!
マリベルはその場に膝をつく...。
「な...なんなの...?」
マリベルを刺した人物は、口を開いた。
「マリベル様...あなたが姉に、ブレア様の食事を頼んだせいで...姉は耐えきれず自害しました...。優しい姉だったのに.........あんたのせいよ!返して!お姉ちゃんを返してよ!!」
マリベルのかわりに、ブレアに食事を運んでいた使用人の妹だった。
使用人はマリベルに頼まれ、毎日無言で食事を運んでいたものの、ブレアへの罪悪感でいっぱいだった。
そしてエルヴィンがブレアを助けに来た夜、自ら命を絶っていたのだ。
「そんなの...知らないわよ...!私...のせいじゃ...ないわ!」
その言葉に少女は我を忘れ、マリベルを何度も何度も刺した!!
ブスッブスッブスッ!!
グサッ!!グサッグサッ!!
マリベルが動かなくなっても、何度も何度も刺し続けていた。
マリベルの死の知らせは、ダリアル公爵の耳に届いていた。
だがその事を、ブレアとエルヴィンに伝える事はなかった。
2人の幸せを邪魔したくはなかったのだ。
ダリアル公爵は、知っている者に固く口止めをした。
ブレアとマリベルは、これで二度と会うことがなくなった。
ブレアは今日も、マリベルの幸せを祈っていた。
END
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完結おめでとうございます🎉
ブレアはあんな扱いをされてもマリベルを気遣って、だからこそマリベルが復讐によって殺されたことは知らせないと公爵様は決めて…(* ˘ㅿ˘ )*ᴗ_ᴗ)* ˘ㅿ˘ )*ᴗ_ᴗ)⁾⁾
いずれマリベルは他国で流行病で死んだことにでもされるんだろうな(๑꒪ㅿ꒪๑)