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仕組まれた罠
しおりを挟む「メーガン様は、私の婚約者のグレン様がお好きみたいですね。どういうおつもりなんですか!? 」
あまり面識のない伯爵令嬢のシルビア様から話があるからと、貴族の令嬢や令息達が好んで使うカフェに呼び出された私は、シルビア様の言ってる意味が分からず困惑していた。
くりくりした目で見つめられると、女性の私でもドキッとする位可愛らしいシルビア様の、今にも泣き出しそうな声に周りの令嬢や令息達は何事かとこちらを伺っている。
「シルビア様がおっしゃっている意味が分からないのですが……? グレン様とはほとんど面識もありませんし、私には婚約者がいます。勘違いなさっているのでは?」
感情的に話すシルビアに、感情を表に出さないメーガン。
傍から見ると、メーガンが適当にあしらっているようにしか見えない。
「とぼけないでください! グレン様が私にハッキリおっしゃったのです! メーガン様に想いを寄せられ困っていると!」
一体どういうことでしょう?
社交の場で何度かお見かけした程度で、グレン様とはお話した事さえないのに……。
私はメーガン・ホルツ。ホルツ伯爵の長女で、ビーンホルト侯爵の長男のダリル様と婚約しています。婚約者がいる身で、他の男性に余所見をするなんて有り得ません。
ダリル様とは親同士が決めた政略結婚ですが、まだ結婚はしていなくても、ダリル様に尽くしてきたつもりです。
ダリル様だけを見て、ダリル様を愛する努力もして来ました。
こんなわけのわからないことをいきなり言われ、シルビア様こそどういうおつもりなのか聞きたいくらいです。
「グレン様をお呼び頂けますか? ご本人がいない所で、そうおっしゃっていたなどと言われても信じられません。」
「グレン様はメーガン様にはお会いしたくないとおっしゃっていました! まさか……私に隠れて、グレン様にお会いしていたのですか!?」
言ってる事がおかしい……。
私が一方的に想いを寄せて、グレン様が迷惑していたって話だったのに、どうしてシルビア様に隠れて会っているという話になるのですか!?
「それはどういう事だ!?」
この声は……
「メーガン……君は私を……裏切っていたのか!?」
ダリル様!?
「なぜダリル様がこちらに!?」
「そんな事はどうでもいいだろ! 今の話はどういう事かと聞いているんだ!」
どういう事かと言われましても……
「私には全く身に覚えのないことです。」
「嘘をつかないでください! 私の婚約者と、隠れて会っていたのでしょう!? グレン様を返して……うぅ……っ……」
シルビアは顔を両手で覆い、泣き出した。
「メーガン、お前との婚約は破棄する! 浮気する女など、妻に迎えることは出来ない!」
ダリルはメーガンを、蔑んだような目で見ながらそう告げた。
そして、周りにいた令嬢や令息達もダリル同様、メーガンを蔑んだような目で見ていた。
どうしてこんな事に!?
私には全く身に覚えがないのに、ダリル様は信じてくれないのですか!?
これは最初から仕組まれていた事に、この時の私は知る由もなかった。
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