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歪んだ愛情
しおりを挟むエリーサから告げられた事に、ラルフの思考は停止した。
幼い頃からずっとエリーサが好きで、婚約したいと父であるハーバー侯爵に何度も何度も頼み込み、やっと婚約出来たのに……自ら婚約を破棄してしまっていた。ラルフはただ、エリーサの気持ちが知りたかっただけだった。
「エリーサ……私はエリーサなしでは生きて行けない……エリーサ……愛しているんだ。」
ラルフ様……今更そんな事を言われても、もう遅いのです。ラルフ様と婚約した時は、とても嬉しかったです。ラルフ様が何度もお父様に、私と婚約したいと訴えていたと知っていたから……。
ですが、3年前に婚約破棄を告げられた時に、私の心はラルフ様から離れました。
「申し訳ありません……私達の縁は、3年前に切れたのです。」
ラルフ様……私があの時、どんな気持ちだったか分かりますか?私はあの時まで、ラルフ様に愛されているのだと思っていました。それなのに、あんなに簡単に捨てられた……。悲しみにくれていた私を励ましてくれたのがあの方だったのです。
「嫌だ!エリーサは私のものだ!誰にも渡さない!!」
「何を言われても、既に私達の婚約は破棄されております。私はこれで失礼します。」
ガシッ!!
丁寧にお辞儀をして、その場から離れようとしたエリーサの腕をラルフは強引に掴んだ!
「離して下さい!」
「私と婚約すると言ったら離してやる!頼むから……頼むから行かないでくれ!」
ラルフは諦めるつもりなどなかった。ずっと好きだったエリーサが、他の者と結婚するなど許せるはずもない。このまま行かせてしまったら、二度と手に入らない!そんな焦りから強引な行動に出てしまっていた。
ザワザワザワザワ……
ほかの貴族たちが何事かと噂している事など気にもならないほど、ラルフはエリーサの事しか考えられなかった。
「ラルフ、私の婚約者を離してもらおうか。」
声の主はラルフの腕を掴み、エリーサから離れさせた。
「どうしてお前が!?」
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