7 / 23
セリーナの人気
噂を聞いたエレノアとジェイソン、そしてモーラ王妃はセリーナに腹を立てていた。
「セリーナのやつ、大人しくしておけばいいのに、どういうつもりなのかしら!! あんな小国で人気者だからって、なんだというのよ!」
エレノアはテーブルをバンッと叩きながら、怒り狂っている。
「あのブス……俺達の評判を下げるために、わざとやってるんだ!」
セリーナはもう、この家族の事など気にしていない。民を思う気持ちが少しでもこの家族にあったなら、こんな考え方はしない。
「国民がまたローズの話をしだしたわ! 本当に忌々しいわね! ローズは死んだのよ! この国の王妃は私よ! 」
ローズという名前を聞くだけで発狂するモーラ。
どこまでも、自分達の事しか考えていない3人は、セリーナを殺しておけば良かったと思っていた。
「そうよ! セリーナを殺せばいいんだわ!」
一番先に口にしたのは、エレノアだった。
「そうだな! セリーナは毎日街に出かけているそうだから、チャンスはいくらでもある!」
待ってましたと言わんばかりに、ジェイソンも同意する。
「そうね。セリーナがいるから、ローズの話が出るんだわ! セリーナがいなくなれば、私達は幸せになれるわ!」
なにかに取り憑かれたように、ローズの事ばかり気になってしまうモーラも、ローズの娘がいなくなればいいのだと考えた。
「決まりね! 凄腕の殺し屋を探しましょ!」
3人がセリーナ暗殺を企てていた頃、ビモード王もセリーナの事を考えていた。
ビモード王は、日に日にローズに似てくるセリーナを愛する事が出来なかった。
ローズとは父である前国王が決めた結婚だったが、ローズと一緒にいるうちに惹かれていった。
頭では、セリーナが悪くない事はわかっている……が、セリーナを産んだことで亡くなってしまった最愛の妻を忘れる事が出来なかった。
『あの子が生まれなければ……』そう思わずにはいられず、顔を見るのも辛かった。
辛さを忘れる為に、愛してもいないモーラとの結婚を選び、モーラがセリーナを虐げていても気にとめることもない。むしろ、モーラがセリーナに自室から出る事を禁じた事が救いだった。
「セリーナ様を手放したのは失敗でしたね。」
クリフォード公爵は、デリター王国で愛されているセリーナの話を聞いて、自分は正しかったと言いに来たようだ。
「今からでもデリター王国を攻めて、属国にしましょう! そして、セリーナ様を取り戻すのです!」
クリフォード公爵は、セリーナをまだ女王にする気でいた。だが、大国でさえデリターに勝てないのに、ビモードで勝てるはずはなかった。
それに、ビモード王はセリーナを取り戻したいとは思っていない。
この国からいなくなってくれて、ホッとしていた。セリーナの存在が、ビモード王には苦痛でしかなかった。
「セリーナの事は、忘れてください。ローズを殺したあの子が死んでくれたら……そう思わずにはいられないのです。」
「しかし……」
「これ以上、セリーナの話をするおつもりなら、帰ってください。」
そう言って、クリフォード公爵に背を向けた。
あなたにおすすめの小説
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。
【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜
まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。
ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。
父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。
それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。
両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。
そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。
そんなお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。
☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。
☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。
楽しんでいただけると幸いです。
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。
【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…
まりぃべる
恋愛
私はエミーリエ。
お母様が四歳の頃に亡くなって、それまでは幸せでしたのに、人生が酷くつまらなくなりました。
なぜって?
お母様が亡くなってすぐに、お父様は再婚したのです。それは仕方のないことと分かります。けれど、義理の母や妹が、私に事ある毎に嫌味を言いにくるのですもの。
どんな方法でもいいから、こんな生活から抜け出したいと思うのですが、どうすればいいのか分かりません。
でも…。
☆★
全16話です。
書き終わっておりますので、随時更新していきます。
読んで下さると嬉しいです。
花言葉は「私のものになって」
岬 空弥
恋愛
(婚約者様との会話など必要ありません。)
そうして今日もまた、見目麗しい婚約者様を前に、まるで人形のように微笑み、私は自分の世界に入ってゆくのでした。
その理由は、彼が私を利用して、私の姉を狙っているからなのです。
美しい姉を持つ思い込みの激しいユニーナと、少し考えの足りない美男子アレイドの拗れた恋愛。
青春ならではのちょっぴり恥ずかしい二人の言動を「気持ち悪い!」と吐き捨てる姉の婚約者にもご注目ください。
母と約束したことの意味を考えさせられる日が来ることも、妹に利用されて婚約者を奪われるほど嫌われていたことも、私はわかっていなかったようです
珠宮さくら
恋愛
ミュリエル・ゼノスは妹のことを溺愛していたが、母と伯父譲りの珍しい色合いを持って生まれたことと母の遺言のような言葉によって、いざとなったら守ろうとしていた。
だが、そんな妹に婚約者を奪われることになり、それだけでなく出生の秘密を知ることになったミュリエルが一番心を痛めることになるとは思いもしなかった。