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傷の理由
「えっと……色々ありまして……」
マギー王女は疲れたのか、部屋に戻り休みました。夕食をとりながら、ビンセント様に全てお話すると、笑顔を向けてくれました。
「さすが、セリーナだな。
私は警戒して、マギー王女の事を何も考えてやれなかった。実際、邪魔だったし。
だが、少し妬けるな。私のセリーナとずっと一緒にいられるなんて……」
ビンセント様も子供のようです。
「今日からは寝室も一緒ですし、ビンセント様とも前より一緒にいられるではないですか。」
そう言うと、ビンセント様の顔がバッと赤くなりました。私ったら、なんて恥ずかしい事を言ってしまったのでしょう……
自分の言葉で、私の顔も真っ赤に……
「君と一緒に眠れるなんて、幸せ過ぎて溶けてしまいそうだ。愛し過ぎて困る。」
その夜、私達は初めての一夜を過ごしました。甘くて、少しだけ切ないようなそんな感覚。
どんどんビンセント様に惹かれていく。こんなにも大切に思える人が、私を見つめて微笑んでくれる。ビンセント様のぬくもりに包まれて、その日はぐっすり眠れました。
ビンセント様と身も心も結ばれ、充実した日々を送っています。
マギー王女も私を慕ってくれて、私のする事を手伝ってくれています。ナーガブルクに帰りたくないようで、ずっとこの国で暮らしたいと言っています。ナーガブルクからは、何も言ってこないので、マギー王女が少し気の毒ですが……前ほどは悲しくはないと言っていました。
この国に来たばかりのマギー王女とは、まるで別人みたいで、毎日楽しそうにしています。
ですが、ドリクセン公爵とビンセント様の仲は、今も拗れたままです。
コンコン……
「王妃様、少しよろしいでしょうか?」
会いに来たのは、執事のロンでした。
「どうしたの? 」
「王妃様に、お話しておきたいことがあります。」
真剣な顔で話してくれたのは、ビンセント様とドリクセン公爵、そして先代の国王様の話でした。
その話は、とても衝撃的だった……
ドリクセン公爵は、先代の国王ケビン様の本当の息子ではなかった。亡くなったビンセント様のお母様、先代の王妃様の過ちで出来た子だと……
その事を、先代の王妃様はずっと隠していた。そしてそのまま亡くなったそうなのですが、あの日……ケビン様が亡くなった日に、ケビン様は先代の王妃様の日記を見つけた。
その日記には、過ちを犯した事と、”ジョシュアはケビン様の子ではない”と書かれていたそうです。
その日記を読んだケビン様は激怒し、我を忘れ、ドリクセン公爵を殺そうと呼び出した。
ビンセント様は必死で止めようとしたけど、ドリクセン公爵を殺そうと持っていたナイフで、顔を切り付けられた……
その時、ケビン様は胸を押さえてお倒れになり、そのままかえらぬ人になった。
その光景を、ドリクセン公爵は見たようです。
ケビン様の死因は、心臓麻痺でした。
「陛下は、ジョシュア様の事を守りたかったのです。この事を知ったら、ジョシュア様が傷つく……それなら、ご自分が恨まれた方がいいからと仰り、私は口を閉ざしました。私には、ジョシュア様の心を癒して差し上げる事が出来なかったからです。
こうして王妃様にお話したのは、王妃様なら陛下のお心も、ジョシュア様のお心もお救い出来るのではと思ったからです。」
私に出来るのでしょうか……
ですが、その日の事で2人が苦しんでいるのは分かります。
ドリクセン公爵もですが、ビンセント様もです。ビンセント様はまだ、私の前以外で仮面を外すことがありません。
私がこの事を話していいのでしょうか……
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