〖完結〗婚約破棄ですか?あなたを婚約者だと思った事はないけど、ありがとうございます。

藍川みいな

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愛する人

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 「それはどういう事だ!?」

 マリヤはリーアが、ホーク王子の為に大聖女になる決意をした事をホーク王子に話した。

 「嬉しくないの?初恋のリーアちゃんと結婚出来るのよ?」

 「それはずっと夢見て来た事だが、リーアを権力争いに巻き込みたくはない!」

 「そうね。でも、決めたのはリーアよ。あなたのために、そしてこの国のために、リーアは大聖女になろうとしている。応援してあげて欲しいの。」

 「……」

 ホーク王子は何も言えなかった。自分が追放されたら、二度とリーアには会えなくなる。だが、リーアを巻き込みたくないという気持ちもある。
 リーアに無理をさせ、自分は見ていることしか出来ないという現実に、悔しい気持ちでいっぱいだった。

 「俺は……どうすればいいんだ……!」

 「リーアがそんなに好き?……ごめん、なんでもないわ。あなたが応援しなくて誰がするの?」

 「……分かった。俺に、何が出来るかは分からないけど、少しでもリーアの力になりたい。」

 「ありがとう、ホーク。」

 マリヤは悲しげな笑顔を見せ、寮へと戻って行った。マリヤはずっとホーク王子が好きだった。ずっとずっと見てきたからこそ、ホーク王子にリーアを会わせてあげたいと思い、リーアに大聖女になってくれるよう頼んだのだった。


 試験の前日、リーアは王都の外れにある廃屋へと呼び出されていた。

 「シア……こんなところに呼び出してどうしたの?」

 シアに会うのは久しぶりだった。ギアル様とはもう終わった事だし、シアから誘われて仲直り出来るのかもしれないと思った。

 「あんな事があったのに、来てくれてありがとう……本当にあんたってバカね!何度も私に騙されるなんて!」

 シアが右手を上げると、数人の男たちがリーアを囲んだ!

 「シア!?これはいったいどういうこと!?」

 男たちはジリジリとリーアに近づいて行く!

 「あははは!のこのここんなとこまで来たあんたが悪いんでしょ?まさか、この私と友達になれるとでも思ってた?あんたみたいな平民が大聖女になるなんて許さない!!」

 バカだ……シアはギアル様を想っていたから、私を敵視していただけだと思ってたけど……ただ単に、平民の私が何かを手に入れるのが許せなかっただけなんだ。

 「あんた達!早くその女を捕まえなさい!」

 男たちがリーアを捕まえようとした瞬間、

 「貴様ら!リーアに汚い手で触れるな!!」

 

 
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