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破られた結界

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 ホーク王子は私を心配してくれてるんだ……でも、私は……

 「やめません!私は必ず大聖女になります!」

 ホーク王子は少し体を離し、

 「俺のために、君を危険な目に合わせてしまうなんて耐えられないんだ!」

 「ホーク王子のためではありません。これは私のためであり、この国の人達のためでもあります。ホーク王子は王になるべきお方です!マリヤ様もそう思っていらっしゃいます!」

 ホーク王子は悲しげな表情を見せた。

 「俺にとって君は、何よりも大切な人なんだ。君に何かあったら……」

 「それなら、ホーク王子が私を守ってください!」

 「リーア……」

 リーアは満面の笑みを浮かべ、

 「守ってくださいますよね?」

 「分かった!俺が何を言っても君の気持ちが変わらないのなら、絶対に君を守ってみせる!」

 「よろしくお願いします!」

 「……これは、結婚したら尻に敷かれそうだな。」

 「何か言いました?」

 小さく呟いたホーク王子の声は、リーアには聞こえていなかった。


 事件があった翌日、聖女学院では大聖女候補を選ぶ為の試験が行われようとしていた。

 大聖女候補を選ぶ試験はいつもの試験とは違い、貴族や大臣、そして王までもが見学に来る。この試験で、次の大聖女が決まることになるのだから、当然のことなのかもしれない。 

 ホーク王子も来てる……少しだけ心強い。

 ホーク王子は、リーアに笑顔を向けてくれた。
 
 「リーア、緊張してるの?」

 「マリヤ様……この状況で、緊張しない方がおかしいと思いますよ。」

 学院の中にある大聖堂へと足を踏み入れた瞬間、全身が震えた。
 
 「リーアなら大丈夫。ホークもそう信じてる。私は全力を出す!その力を超えてみなさい!」

 その時、息を切らせた兵士が大聖堂の扉を乱暴に開けた!

 「陛下!大変です!!!!」

 皆がその兵士に目をやる。

 「何事だ!申してみよ!」

 兵士の必死な様子に、国王はすぐさま聞き返した。

 「東方から魔物の群れが現れ、東の村や町が壊滅したとの事です!」

 ザワザワザワザワ……

 「そんな事はありえん!大聖女が国全土に結界を張っているはずだ!」

 「それが……結界が破られたようなのです!」

 結界が破られるなんて……

 「そんな……」
 「この国はどうなってしまうの!?」

 その場の空気が一瞬で変わった!

 「大聖女よ!どうなっておるのだ!?」

 「申し訳ありません!私には、国全土に強力な結界を張る事か出来なかったのです!国全土に結界がを張るには、強度を弱めるしかありませんでした……。」

 弱い結界だったから、魔物達が結界を破ることが出来たんだ……。先代の聖女様は、王妃様だった。つまり、ホーク王子のお母様だ。
 王妃様はご病気でお亡くなりになり、新たに大聖女になったのが今の大聖女様。
 力が弱いのは仕方のない事だった。

 「父上!私は兵を引連れて東方へ向かいます!」

 
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