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婚約者も親友も失いました。
「キャシディ、君との婚約は破棄させてくれ。」
こうなる事は分かっていた。婚約はしたものの、彼は……リドルフ様は私と目を合わせた事は1度もなかった。リドルフ様はいつも、私ではなく、私の隣にいる親友のサラを見ていた。
醜い私は誰からも求婚されないと思ったお父様が、友人のルーズベルト伯爵に頼み込んでやっと婚約できたのに……お父様すみません、私では無理でした。
私は幼い頃に病にかかり、顔の左目付近に酷い痕が残った。それはとても醜く化け物のようだった為、痕が見えぬように常に包帯を巻くようになった。痕は隠せても、包帯を巻いてる顔は不気味でしかなかった。15歳になった今も、包帯を巻き続けている私を、まっすぐ見てくれる人なんていなかった。
「分かりました。」
「それだけ?私にとられたことは気づいているんでしょ?」
たった一言だけ言い残し、その場を去ろうとしたキャシディに声をかけたのは親友のサラだった。
「…………」
何も答えようとはしないキャシディにサラは苛立ち、
「私の事親友だとでも思ってるでしょ!?もうあんたに用はないから教えてあげる!あんたと仲良くしてたのは、あんたが醜いからよ!醜いあんたの隣に居たら、私がより美しく見えるでしょ?」
キャシディはわかっていた。それでも、醜い自分と仲良くしてくれていることに感謝していた。
「サラ……幸せになってね。」
キャシディは本当にそう思い、発した言葉だったが、サラはそうは思わなかった。
「偉そうに何なの!?あんたに言われなくても幸せになるわ!でもあんたは、その顔じゃ幸せになんてなれないわね!あははっ!」
幸せ……か。たとえ嘘でも、サラと過ごした日々は幸せだった。こんな事を言うと、きっとまたサラを怒らせてしまうから、何も言わずに去ろう。
キャシディはニッコリ微笑むと、二人に背を向け歩き出した。
サラはそれにも腹を立てていた。去って行くキャシディを見ながら、拳を握り締める。
「なんであんなに余裕なの!?私に婚約者をとられたのに……泣いてすがるとかできないわけ!?」
「サラ、もういいじゃないか。すんなり受け入れてくれて助かったよ。」
「冗談じゃないわ!リドルフ様なんて何とも思ってなかったって事じゃない!何のためにこんな男と……」
「こんな男?こんな男とは何だ!?」
「あ、いえ、これは言葉のあやです!リドルフ様を愛している事はご存知でしょう!?」
何とか誤魔化せたが、サラの頭の中はキャシディの事でいっぱいだった。
「このまま終わりになんてしないから……。」
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