〖完結〗聖女の力を隠して生きて来たのに、妹に利用されました。このまま利用されたくないので、家を出て楽しく暮らします。

藍川みいな

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8、冒険者ギルド

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 「そろそろ話してもよろしいでしょうか?」

 宿屋に戻って来ると、ティアが話し出した。子犬だと思われた方が、余計な事を聞かれなくて済むと思い、話す事を禁じていたのを忘れていた。
 ラルフはティアの元の姿を見ていたのだから、馬車で無言でいる必要はなかった。
 
 忘れてた事は、黙っていよう。

 「良く出来ました」

 肩の上にいるティアの頭を撫でていると、レニーが目をキラキラさせながらこちらを見ている。レニーも頭を撫でて欲しいみたい。

 「レニーも、良く出来ました」

 少し屈んで、レニーの頭をなでなですると、頬を赤くして嬉しそうな顔をした。レニーと出会ってから、まだそんなに経っていないのに、この子の為なら何でも出来そうな気がする。それ程、可愛くて仕方がなくなっていた。

 部屋に戻ると、レニーはソファーに座り、すぐに眠ってしまった。
 領主様にお会いした事と、馬車での移動で疲れたのね。
 そっとレニーを抱き上げ、ベッドに運んで布団をかける。

 「サンドラ様は、これからどうなさるおつもりですか?」

 ティアはソファーの上に座り、質問をして来た。ティアも、レニーの事が心配なようだ。私はベッドから離れ、ティアの横に腰掛けた。

 「そうね……冒険者になるつもりだったけど、それだとレニーを危険な目に合わせてしまう。お金も頂いた事だし、この国で家を買って、小さなお店を開くのもいいかも」

 聖女の魔力を込めればポーションを作れるし、結界を張る力を応用すれば魔物を寄せ付けない聖水を作る事が出来る。ティアとレニーと一緒に、のんびり暮らすのもいいかもしれない。

 「だけど、この国はロックダムの隣国で、ずっと住むとなると、見つかる可能性が高くなる。私の捜索依頼を出したのは誰なのか分かるまでは、様子見かな」

 ティアを結界に閉じ込めてからの8年間、ティアは私の気持ちをずっと感じ取ってくれていた。
 私の事を、1番分かってくれてる存在なのは間違いない。

 「我はどんな事があろうと、サンドラ様と共に居ます。そして、全力でサンドラ様をお守りします!」

 無条件で受け入れてくれるティア。ティアには、本当に感謝してる。

 「ありがとう。明日は、冒険者ギルドに行ってみよう。じゃあ、そろそろ寝ようか」

 冒険者として依頼を受けるかは別にして、ギルドには登録をしなければならない。ギルドに登録すると、1人前だという証になる。今はまだ、オデット公爵令嬢という肩書きから逃げる事が出来ないけど、ギルドに登録すると、私個人の身分が手に入る。自分の人生は、自分で決められるという事だ。

 明日は早起きして、隣町に行こう。そんな事を考えながら、ベッドに入り眠りに着いた。


 
 窓から光が差し込み、鳥がチュンチュンと鳴いている。目を覚ますと、今日は静かな朝だった。
 ベッドから起き上がり、部屋に用意してあった水で顔を洗っていると、レニーが起きて来た。

 「お姉ちゃん、おはよう」

 レニーは目をこすりながら挨拶をした後、ソファーに座ってもう一度目を閉じた。

 「まだ眠いの? 起きないと、くすぐっちゃうよー。こちょこちょこちょこちょ」

 「ギャハハハッ!! お姉ちゃん、やめて~! あははははっ」

 わざと声を出しながらくすぐると、レニーは大声で笑い出した。

 「起きた? ちゃんと顔洗える?」

 「洗える~! 洗えるから、もうやめて~あははははっ!」

 レニーの返事を聞いて、くすぐるのをやめると、レニーはソファーから降り、ちゃんと顔を洗った。

 「じゃあ、フキフキしようね」

 タオルでレニーの顔を拭いてあげていたら、いつの間にか起きて水に顔を突っ込んだティアがレニーの隣に居た。

 これは、拭けという事?

 「ティアは、子供じゃないよね?」

 「はい! 我は、328歳です!」

 シッポをブンブン振りながら、答えるティア。
 本当に、328歳なのだろうか……幼すぎる。

 そんな事を考えていたら、ブルブルと頭を振って、水滴を飛ばして来た!

 「「きゃーーーーッ!!! ティア! 冷たい!!」」

 私達が叱ったら、ティアはシュンとして耳を垂らした。やっぱり、幼い。


 
 朝食を食べた後、ティアの背に乗り、冒険者ギルドがある町、リバイへと向かった。リバイまでは、馬車で1時間の距離らしい。

 ティアの足なら……

 「もう着いちゃったね」

 25分で到着した。いつものようにティアは小さくなり、私の肩に乗った。

 「冒険者ギルドは何処かな?」

 ギルドを探しながら歩いていると、屋台の前でレニーが立ち止まった。

 「食べたいの?」

 屋台で売っていたのは、焼きリンゴ。

 「前にね、お母さんとこの町に来た時に買ってもらったの」

 お母さんとの思い出の食べ物か。
 
 「おばさん、1つ下さい」

 おばさんから棒に刺してある焼きリンゴを受け取り、レニーに手渡す。

 「一緒に食べようか」
 
 「うん!」

 笑顔で頷くレニー。
 レニーとティアと分け合って、1つの焼きリンゴを食べる。凄く美味しくて、少しだけ悲しい味がした。

 焼きリンゴを食べ終わると、再び冒険者ギルドを探し始める。

 「お姉ちゃん、あそこ!」

  レニーが指さした先には、冒険者ギルドがあった。


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