〖完結〗拝啓、愛する婚約者様。私は陛下の側室になります。

藍川みいな

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自分勝手な公爵令嬢 *残酷な描写があります。

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 陛下にお許しをいただいたので、レノン様と話す為に尋問室へとやって来ました。 
 尋問室は机がひとつとイスが3つ置かれているだけの、窓もない質素な部屋です。
 イスに座り待っていると、手枷と足枷をされたレノン様が、ゆっくりと尋問室へと連れてこられました。レノン様は兵士にイスへ座らされると、私を睨みつけました。

 「私を笑いに来たの?」

 ずっと何も話さないと言っていたレノン様から、話しかけて来ました。

 「酷い顔ですね。拷問に耐える根性があるとは、少し驚きました。」

 腕は切り傷だらけ、足も顔も痣だらけ、至る所に火傷のあとまであります。酷い拷問を受けていることは、レノン様を見ただけで分かる。
 ですが、同情はしません。自分の欲の為に、王妃様の命を奪い、私を殺そうとした。
 
 「あんたよりは、根性はあるわ。逃げた男を、いつまでも信じるようなバカな女のくせに、陛下に近付くから悪いのよ!!」

 逃げた男……とは、カイト様の事ですね。
 否定はしません。カイト様はきっと、私から逃げる為に死を偽装したのでしょう。
 
 「私がいなくても、陛下はあなたを愛したりはしない。あなたの演技なんて、陛下が気付かなかったとでも?」

 「愛されなくたって構わないわ! 私は王妃になりたかった! 名門の公爵家に生まれた私の気持ちは、あんたなんかに分かんないわ!
 女なんて、所詮道具! 公爵家に嫁いだって、公爵夫人にしかなれない! だから、私は王妃になりたかった!! この国の母に相応しいのは私よっ!!」

 嘘ですね。陛下があなたを“誰だ?”と聞いた時、悲しい目をしていたじゃないですか。
 あなたは、陛下に愛される事を望んでいた。だから私に、執着しているんです。

 「自分勝手なあなたに、王妃になる資格はありません。
 誰かを陥れないと幸せになれないなんて、可哀想な方ですね。」

 「あんたなんかに、同情なんてされたくない……
 私はやるべき事をしただけよ!」

 初めてお会いした時は、こんな事になるなんて思ってもみませんでした。友達になれるんじゃないかと思ってもいました。本当に、残念です。

 レノン様の言葉に答えることなく、尋問室をあとにした。何を話しても、私達は分かり合える事はありません。

 数日後、レノン様に刑が言い渡されました。 
 側室の毒殺を企て、その罪を王妃に着せ、王妃を毒殺した罪。自分が王妃になる為の、あまりにも自分勝手な犯行に、同情の余地はない。
 レノン様は、公開処刑……手首を切り落とされた後に、首を切り落とされるという刑を言い渡されました。
 手首を切り落とすのには、理由があります。凶悪な罪人は、死んだ後に悪さを出来ないようにするという意味があるそうです。

 そして、刑の執行の日。

 「誰か……助けて……
 私は、公爵令嬢よ! 王妃になるの! 
 ねえ、誰か助けてよ……」

 誰も助けたいと思うはずがなかった。
 両親も、娘を庇おうとはしない。ドレイク公爵家は、レノンが犯した罪のせいで破滅した。

 「刑を執行する!」

 ザッッッ!!

 「いやあぁぁぁぁぁぁぁーーーッッ!!!」

 両手首を切り落とされ、血飛沫が飛び散る。あまりの痛みに気を失いそうになるレノン。
 気を失う前に、首が切り落とされる……

 ジュバッッッ!!!

 レノンの首が、地面に転がった……
 
 
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