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み、短すぎる ~その2~
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短くて1話ずつ載せるのは躊躇する夢をいくつかまとめて挙げておきたい。
「思わず」
夢の中で私は姉と喧嘩していた。
何がきっかけかは分からないが、姉いわく「気に入らない」のだそうだ。
そもそも姉は何かにつけて私にケチをつけてくるので、きっかけというものは姉にしか分からない。
現実なら気にかけない、気にしないので喧嘩になることはないが夢の中だから仕方ない。
あーだこーだと姉が私を指で指しながら言っている。
何を言ってるのか詳しくは分からない。
私は私の心がフツフツと煮えたぎるのを感じた、怒っているようだ。
だからどうしたというんだ!
と言おうとした、いや、途中までは言った。
「だか……」ら?
今のは実際に声が出たのではないか?
目を開けるといつもの天井、どうやら寝言として大声で叫んでしまったらしい。
家族のため息が聴こえる。
起こしてしまったみたいだ、すぐに謝った。
そしてそのまま眠りについた。
寝ながら出歩いた話にも書いたが、寝言はよく言うらしい。
今回のような大声は初めてで、自分の寝言に驚いて起きたのも初めてだ。
なかなかに迷惑な夢だったように思う。
せめて寝言くらいは小さく呟くくらいにしたいものだ。
「別れの挨拶」
ある日の夕方、愛犬が体調を崩し病院に向かう途中で亡くなった。
詳しい検査をするために解剖するか聞かれたが、生き返らないのなら必要ないと断った。
車内で、居間で、静かに横たわる姿を見て涙が止まらなかった。
次の日、火葬場へ行った。
当時はペットの遺骨をもらうことができず、火葬が終わるまで待たなくてもいいと言われたが、遺骨がなくてもいいとせめてあの世に向かう道中を見守りたいと待っていた。
火葬が終わったことを告げられ帰路へとついた。
家に着いてもこぼれる涙を止めることができなかった。
心にぽっかりと穴があいたように虚ろな気持ちのまま眠りについた。
夢の中は真っ暗で進んでいるのか止まっているのか分からなかった。
シャンプーの匂いがふんわりと香る。
この匂いは愛犬に使うシャンプーだ。
優しい匂いに包まれるのが分かる。
ふわっとあたたかい風が顔にあたる。
そのすぐ後にやわらかい毛並みが顔に触れながら横切った。
さみしがりやで怖がりな愛犬は夜になると寂しそうな寝言を言っていたことを思い出す。
「大丈夫、一緒にいるからね」
そう言ってそのまま愛犬に寄り添って寝たことも何度かある。
夢の中でも近くにいることが分かり、安心して涙が出た。
あたたかい風が吹き、もう一度やわらかい毛並みが顔を撫でる。
ゆっくりと目を開けると自分が泣いていることに気づいた。
窓が開いていないにも関わらず心地よいあたたかい風が顔にふわりとあたった。
その風は優しいシャンプーの匂いがした。
この夢はあの日に1度きりしか見ていないが、忘れることができない夢である。
そもそも忘れたくない気持ちのほうが強いが……。
目が覚めた時、目を開ける前、顔にやわらかな何かが当たったのを今でも覚えている。
カーテンが当たる場所でもなく、誰も通らない窓際にもかかわらずだ。
あの時のあたたかな風とシャンプーの匂い、そして顔に当たった何かは今でも不思議なままだが、あれは夢ではなくきっと愛犬の別れの挨拶だったように思う。
「思わず」
夢の中で私は姉と喧嘩していた。
何がきっかけかは分からないが、姉いわく「気に入らない」のだそうだ。
そもそも姉は何かにつけて私にケチをつけてくるので、きっかけというものは姉にしか分からない。
現実なら気にかけない、気にしないので喧嘩になることはないが夢の中だから仕方ない。
あーだこーだと姉が私を指で指しながら言っている。
何を言ってるのか詳しくは分からない。
私は私の心がフツフツと煮えたぎるのを感じた、怒っているようだ。
だからどうしたというんだ!
と言おうとした、いや、途中までは言った。
「だか……」ら?
今のは実際に声が出たのではないか?
目を開けるといつもの天井、どうやら寝言として大声で叫んでしまったらしい。
家族のため息が聴こえる。
起こしてしまったみたいだ、すぐに謝った。
そしてそのまま眠りについた。
寝ながら出歩いた話にも書いたが、寝言はよく言うらしい。
今回のような大声は初めてで、自分の寝言に驚いて起きたのも初めてだ。
なかなかに迷惑な夢だったように思う。
せめて寝言くらいは小さく呟くくらいにしたいものだ。
「別れの挨拶」
ある日の夕方、愛犬が体調を崩し病院に向かう途中で亡くなった。
詳しい検査をするために解剖するか聞かれたが、生き返らないのなら必要ないと断った。
車内で、居間で、静かに横たわる姿を見て涙が止まらなかった。
次の日、火葬場へ行った。
当時はペットの遺骨をもらうことができず、火葬が終わるまで待たなくてもいいと言われたが、遺骨がなくてもいいとせめてあの世に向かう道中を見守りたいと待っていた。
火葬が終わったことを告げられ帰路へとついた。
家に着いてもこぼれる涙を止めることができなかった。
心にぽっかりと穴があいたように虚ろな気持ちのまま眠りについた。
夢の中は真っ暗で進んでいるのか止まっているのか分からなかった。
シャンプーの匂いがふんわりと香る。
この匂いは愛犬に使うシャンプーだ。
優しい匂いに包まれるのが分かる。
ふわっとあたたかい風が顔にあたる。
そのすぐ後にやわらかい毛並みが顔に触れながら横切った。
さみしがりやで怖がりな愛犬は夜になると寂しそうな寝言を言っていたことを思い出す。
「大丈夫、一緒にいるからね」
そう言ってそのまま愛犬に寄り添って寝たことも何度かある。
夢の中でも近くにいることが分かり、安心して涙が出た。
あたたかい風が吹き、もう一度やわらかい毛並みが顔を撫でる。
ゆっくりと目を開けると自分が泣いていることに気づいた。
窓が開いていないにも関わらず心地よいあたたかい風が顔にふわりとあたった。
その風は優しいシャンプーの匂いがした。
この夢はあの日に1度きりしか見ていないが、忘れることができない夢である。
そもそも忘れたくない気持ちのほうが強いが……。
目が覚めた時、目を開ける前、顔にやわらかな何かが当たったのを今でも覚えている。
カーテンが当たる場所でもなく、誰も通らない窓際にもかかわらずだ。
あの時のあたたかな風とシャンプーの匂い、そして顔に当たった何かは今でも不思議なままだが、あれは夢ではなくきっと愛犬の別れの挨拶だったように思う。
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