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7.鈴蘭の祈り
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翌朝、ユースティティア陸軍アルカンスィエル練兵場では、国境派遣軍の出陣壮行式が執り行われた。
六月下旬のその日は、朝から低い雲が垂れ込み、出席者たちは、時折空を眺め、雨の心配をしつつ、式典へ参加することとなった。
式典はまず、軍関係者、家族たちが見守る中、軍楽隊の演奏と共に、歩兵、砲兵、工兵、騎兵といった兵科単位で編成された大隊が、旗を掲げ、順に行進し、整列した。
デジレを伴い式典に参加したミレーヌは、騎兵大隊の中に、ヴィクトルの姿を探した。
騎兵の士官は、騎兵を象徴するドルマンの軍服、ペリースと呼ばれるマントを左肩に掛け、シャコー帽を被り、騎兵独特の湾曲したサーベルを携帯し、騎乗していた。
ミレーヌは、その中に、ヴィクトルの姿を見つけた。
真っすぐ前を見つめる引き締まった横顔、揺るぎないブリュネットの瞳。
勇ましい様の騎兵の中でも、ミレーヌにとって、その姿は、誰よりも雄々しく、立派に映った。
ミレーヌはひと時も、その姿から眼を離すことが出来なかった。
式典は、国歌斉唱、フィリップ国王、レオミュール国防大臣による訓辞、国境派遣軍を率いるパジェス大将の答辞、軍歌斉唱と進行し、最後は、兵科ごとに、軍楽隊の演奏と共に、場内を行進、退場となり、終了した。
式典の後は、各兵科で軍関係者、家族、知人と、懇談の場が設けられ、騎兵科本部の前にも、明日、国境へ向かう兵、下士官、士官がそれぞれの場に集い、混雑していた。
明朝出発ということで、自宅通勤の認められている士官とは違い、兵、下士官は、練兵場内の兵舎で寝起きするため、この時が、家族との別れを惜しむ最後の時間となり、そっとハンカチで瞳を拭う妻女や母親らしい姿が、多数見られた。
その混雑の中に、ヴィクトルを探すミレーヌの姿があった。
大尉・・・、シャリエ大尉は、どこ・・・。
ミレーヌは、どうしてもヴィクトルに手渡したいものがあった。
それは、鈴蘭の刺繍を施したハンカチだった。
昨夕、マクシムが帰った後、思い立って、ミレーヌは、白いハンカチに鈴蘭の刺繍を始めた。
ミレーヌは、小さな白い花を十三輪つけた鈴蘭を、器用にハンカチの片隅に縫い付けた。
鈴蘭には、贈られた人が必ず幸せになるという、言い伝えがあった。
中でも、一本の茎に十三輪の花をつけた鈴蘭を贈られた者には、最高の幸せが訪れると、語り継がれていた。
ミレーヌは、出陣壮行式終了後、鈴蘭の刺繍を施したハンカチを、ヴィクトルに贈るつもりだった。
最高の幸運が、訪れますように。
必ず、生きて・・・、ご無事で帰って来られますように。
一針、一針、そう祈りつつ、ミレーヌは、針を動かした。
混雑の中、デジレを伴ったミレーヌは、十分近く、その姿を探し続け、ようやく人影の少ない、騎兵科本部の建物の裏手で、数名の士官と立ち話をするヴィクトルを見つけた。
その姿を目にしただけで、瞳に涙が溢れそうになるのを、ミレーヌは、何とかこらえた。
ミレーヌがヴィクトルに会うのは、あの夜想曲の逢瀬以来の事だった。
視線を感じたのか、ヴィクトルが何気なく視線をこちらに向けて、ミレーヌの存在に気づいた。
ヴィクトルは、一瞬、ひどく驚いたような表情になって、そして、いつもの冷たいとさえ思える、感情の消えた顔に戻って、ミレーヌから、視線を逸らせた。
「お嬢さん、何か御用ですか?」
その場にいた士官のひとりが、ミレーヌの存在に気づいて、声をかけて来た。
ミレーヌは、一斉に、居合わせた士官たちの注目を浴びることとなり、顔を赤くして、俯いた。
「お嬢様は、シャリエ大尉にお話があるそうで・・・」
見かねて、デジレがそう口をはさむと、察した士官たちは、ヴィクトルを残し、気を利かせて、すぐにその場を譲った。
デジレも、向こうでお待ちしていますと、ヴィクトルとミレーヌを残して、離れて行った。
本当は、話したいことは、たくさんあった。
けれども、いざ、ヴィクトルを前にすると、ミレーヌは言葉が出て来なかった。
何を話していいのか、わからなかった。
「用件は?」
冷めた声で、ヴィクトルは、尋ねた。
ミレーヌは俯いたまま、ポーチの中から、ハンカチを取り出した。
鈴蘭の刺繍を施したハンカチを。
「これを・・・。御武運が・・・、ありますように」
そう言って、ミレーヌは、ヴィクトルに、ハンカチを差し出した。
しばらく、そのハンカチに眼を落していたヴィクトルだったが、
「不要だ」
と、短く告げた。
ミレーヌは、その非情な言葉に、思わず顔を上げた。
「聞こえなかったか?私には、不要だ」
「あの、でも・・・」
「私は、こんなものを、頼んだ覚えはない。図々しく、こんなところまでやって来て、見苦しい」
ヴィクトルは無慈悲にそう言い放つと、ミレーヌを残して、そのまま立ち去った。
図々しく、こんなところまでやって来て、見苦しい。
ヴィクトルの言い放ったその言葉は、ミレーヌの頭の中で反響し続けた。
その場に立ちすくんだままで、どれほどの時間が過ぎたのだろうか。
一向にやってこないミレーヌが気になって、デジレの方から、様子を伺いにやって来た。
「お嬢様、どうかしましたか、シャリエ大尉は・・・」
先ほどまでとは一変して、虚ろな瞳で立ちすくむミレーヌの顔を、デジレは、心配そうに覗き込んだ。
「帰りましょう・・・、デジレ。ここへ来たのは、間違いだったのよ」
ミレーヌは、擦れた小さな声でそう告げると、小柄な身体を一層小さくして、デジレに支えられるようにしながら、帰路についた。
そこから、どうやって、自宅まで帰ったのかは、ミレーヌはよく覚えていなかった。
気が付けば、自宅の玄関にいて、
「ミレーヌ、式はどうだったの?」
昨日からアランが熱を出したせいで、式典への出席を見合わせた、兄嫁ソフィの声が階上から降って来た。
その、ソフィの声で、張り詰めていたミレーヌの心が、一気に緩んだ。
ミレーヌは、声を上げて・・・、まるで子供の様に、大きな声を上げて、泣き始めた。
「まあ、一体どうしたの、何があったの?」
「お嬢様・・・」
滅多に泣き顔など見せることのないミレーヌの涙に、ソフィと、デジレは、驚きを隠せなかった。
「ミレーヌ、あなたがそんな風に泣くなんて、きっととても辛いことがあったのね・・・」
「お嬢様、大丈夫ですか・・・」
座り込んでしゃくり上げるミレーヌに寄り添い、労わるソフィとデジレの優しい言葉に、ミレーヌの瞳からは、一層涙が溢れた。
六月下旬のその日は、朝から低い雲が垂れ込み、出席者たちは、時折空を眺め、雨の心配をしつつ、式典へ参加することとなった。
式典はまず、軍関係者、家族たちが見守る中、軍楽隊の演奏と共に、歩兵、砲兵、工兵、騎兵といった兵科単位で編成された大隊が、旗を掲げ、順に行進し、整列した。
デジレを伴い式典に参加したミレーヌは、騎兵大隊の中に、ヴィクトルの姿を探した。
騎兵の士官は、騎兵を象徴するドルマンの軍服、ペリースと呼ばれるマントを左肩に掛け、シャコー帽を被り、騎兵独特の湾曲したサーベルを携帯し、騎乗していた。
ミレーヌは、その中に、ヴィクトルの姿を見つけた。
真っすぐ前を見つめる引き締まった横顔、揺るぎないブリュネットの瞳。
勇ましい様の騎兵の中でも、ミレーヌにとって、その姿は、誰よりも雄々しく、立派に映った。
ミレーヌはひと時も、その姿から眼を離すことが出来なかった。
式典は、国歌斉唱、フィリップ国王、レオミュール国防大臣による訓辞、国境派遣軍を率いるパジェス大将の答辞、軍歌斉唱と進行し、最後は、兵科ごとに、軍楽隊の演奏と共に、場内を行進、退場となり、終了した。
式典の後は、各兵科で軍関係者、家族、知人と、懇談の場が設けられ、騎兵科本部の前にも、明日、国境へ向かう兵、下士官、士官がそれぞれの場に集い、混雑していた。
明朝出発ということで、自宅通勤の認められている士官とは違い、兵、下士官は、練兵場内の兵舎で寝起きするため、この時が、家族との別れを惜しむ最後の時間となり、そっとハンカチで瞳を拭う妻女や母親らしい姿が、多数見られた。
その混雑の中に、ヴィクトルを探すミレーヌの姿があった。
大尉・・・、シャリエ大尉は、どこ・・・。
ミレーヌは、どうしてもヴィクトルに手渡したいものがあった。
それは、鈴蘭の刺繍を施したハンカチだった。
昨夕、マクシムが帰った後、思い立って、ミレーヌは、白いハンカチに鈴蘭の刺繍を始めた。
ミレーヌは、小さな白い花を十三輪つけた鈴蘭を、器用にハンカチの片隅に縫い付けた。
鈴蘭には、贈られた人が必ず幸せになるという、言い伝えがあった。
中でも、一本の茎に十三輪の花をつけた鈴蘭を贈られた者には、最高の幸せが訪れると、語り継がれていた。
ミレーヌは、出陣壮行式終了後、鈴蘭の刺繍を施したハンカチを、ヴィクトルに贈るつもりだった。
最高の幸運が、訪れますように。
必ず、生きて・・・、ご無事で帰って来られますように。
一針、一針、そう祈りつつ、ミレーヌは、針を動かした。
混雑の中、デジレを伴ったミレーヌは、十分近く、その姿を探し続け、ようやく人影の少ない、騎兵科本部の建物の裏手で、数名の士官と立ち話をするヴィクトルを見つけた。
その姿を目にしただけで、瞳に涙が溢れそうになるのを、ミレーヌは、何とかこらえた。
ミレーヌがヴィクトルに会うのは、あの夜想曲の逢瀬以来の事だった。
視線を感じたのか、ヴィクトルが何気なく視線をこちらに向けて、ミレーヌの存在に気づいた。
ヴィクトルは、一瞬、ひどく驚いたような表情になって、そして、いつもの冷たいとさえ思える、感情の消えた顔に戻って、ミレーヌから、視線を逸らせた。
「お嬢さん、何か御用ですか?」
その場にいた士官のひとりが、ミレーヌの存在に気づいて、声をかけて来た。
ミレーヌは、一斉に、居合わせた士官たちの注目を浴びることとなり、顔を赤くして、俯いた。
「お嬢様は、シャリエ大尉にお話があるそうで・・・」
見かねて、デジレがそう口をはさむと、察した士官たちは、ヴィクトルを残し、気を利かせて、すぐにその場を譲った。
デジレも、向こうでお待ちしていますと、ヴィクトルとミレーヌを残して、離れて行った。
本当は、話したいことは、たくさんあった。
けれども、いざ、ヴィクトルを前にすると、ミレーヌは言葉が出て来なかった。
何を話していいのか、わからなかった。
「用件は?」
冷めた声で、ヴィクトルは、尋ねた。
ミレーヌは俯いたまま、ポーチの中から、ハンカチを取り出した。
鈴蘭の刺繍を施したハンカチを。
「これを・・・。御武運が・・・、ありますように」
そう言って、ミレーヌは、ヴィクトルに、ハンカチを差し出した。
しばらく、そのハンカチに眼を落していたヴィクトルだったが、
「不要だ」
と、短く告げた。
ミレーヌは、その非情な言葉に、思わず顔を上げた。
「聞こえなかったか?私には、不要だ」
「あの、でも・・・」
「私は、こんなものを、頼んだ覚えはない。図々しく、こんなところまでやって来て、見苦しい」
ヴィクトルは無慈悲にそう言い放つと、ミレーヌを残して、そのまま立ち去った。
図々しく、こんなところまでやって来て、見苦しい。
ヴィクトルの言い放ったその言葉は、ミレーヌの頭の中で反響し続けた。
その場に立ちすくんだままで、どれほどの時間が過ぎたのだろうか。
一向にやってこないミレーヌが気になって、デジレの方から、様子を伺いにやって来た。
「お嬢様、どうかしましたか、シャリエ大尉は・・・」
先ほどまでとは一変して、虚ろな瞳で立ちすくむミレーヌの顔を、デジレは、心配そうに覗き込んだ。
「帰りましょう・・・、デジレ。ここへ来たのは、間違いだったのよ」
ミレーヌは、擦れた小さな声でそう告げると、小柄な身体を一層小さくして、デジレに支えられるようにしながら、帰路についた。
そこから、どうやって、自宅まで帰ったのかは、ミレーヌはよく覚えていなかった。
気が付けば、自宅の玄関にいて、
「ミレーヌ、式はどうだったの?」
昨日からアランが熱を出したせいで、式典への出席を見合わせた、兄嫁ソフィの声が階上から降って来た。
その、ソフィの声で、張り詰めていたミレーヌの心が、一気に緩んだ。
ミレーヌは、声を上げて・・・、まるで子供の様に、大きな声を上げて、泣き始めた。
「まあ、一体どうしたの、何があったの?」
「お嬢様・・・」
滅多に泣き顔など見せることのないミレーヌの涙に、ソフィと、デジレは、驚きを隠せなかった。
「ミレーヌ、あなたがそんな風に泣くなんて、きっととても辛いことがあったのね・・・」
「お嬢様、大丈夫ですか・・・」
座り込んでしゃくり上げるミレーヌに寄り添い、労わるソフィとデジレの優しい言葉に、ミレーヌの瞳からは、一層涙が溢れた。
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