52 / 83
17.イーオン<永遠> 前編
3
しおりを挟む
シルヴィアは、背筋を伸ばして、応接間のソファに座っていた。
ちらりと、隣に座るウィンベリー伯爵の顔を盗み見ると、小心者の伯爵は、せわしなく眼をきょろきょろと動かして、落ち着かない様子だった。
それは、この場所が、グラディウスのミグノフ総督の私邸の応接間であり、眼の前にそのミグノフ総督自身が、座っているからに違いなかったが、れっきとしたイーオンの貴族でありながら、ひとかけらの品格も感じられない様のウィンベリー伯爵を、シルヴィアは内心侮蔑していた。
ミグノフの腰巾着。
イーオンの貴族でありながら、保身のために、ミグノフ総督の顔色をうかがうウィンベリー伯爵を、イーオンの人々は、陰で、そう呼んでいた。
ジェームズだったら・・・、ジェームズだったら、例え、ミグノフ総督の前だったとしても、イーオンの貴族の名に恥じない態度を示しただろう、そう思うと、シルヴィアは、口惜しい気持ちになった。
とはいえ、結局、ゴードン家の抱える莫大な借金を返済するため、シルヴィアは、ウィンベリー伯爵の取り計らいで、ミグノフ総督と結婚しようとしていたので、ウィンベリー伯爵を嗤う資格は、自分にはないのだと思った。
総督の私邸には、エレノーラも来る予定だった。
けれども、エレノーラは、体調が良くない。
今朝も、ひどい貧血のせいで、立ちあがることができなかった。
だから結局、シルヴィアはウィンベリー伯爵とふたりで、総督に会うことになった。
シルヴィアは、お茶には手をつけず、黙ったままだった。
ミグノフ総督は、口ひげをはやした五十半ばの小男で、値踏みするような眼で、応接間のソファに座ったシルヴィアを眺めていた。
「私と、結婚すれば・・・、全て解決する。そうは思わないかな?」
シルヴィアは、答えなかった。
誰に言われなくても、この縁談が寄せられた時から、毎夜毎夜、時には明け方まで眠れない程、考えていたことだった。
その時、
「ウィンベリー伯爵、少しこちらへ」
図ったかのように、ミグノフ総督の死別した前妻の息子、フョードルが顔を出して、ウィンベリー伯爵を呼んだ。
ミグノフ総督の息子と言っても、シルヴィアよりも十歳年上だった。
ウィンベリー伯爵は、フョードルに呼ばれて、まるでこの家の使用人でもあるかのように、あたふたと部屋を出て行った。
応接間には、ミグノフ総督と、シルヴィアの二人きりになった。
ウィンベリー伯爵が出て行くと、すぐにミグノフ総督が立ちあがり、ソファに座るシルヴィアの後ろに回って、その肩に触れて来た。
「シルヴィア、今日こそは、返事を・・・」
その手が、次第に肩から、腕に落ちて来て、それと同時に屈んだ総督の唇が、シルヴィアの白い首筋にあてられた。
驚きと、怒りと、嘆きが入り混じった感情が溢れて、唇がわなわなと震えだすのが、わかった。
堪らずに、シルヴィアは立ち上がった。
「お返事は、この次に。この次は、必ず、お返事を。失礼いたします」
シルヴィアは、逃げるように、その場を離れた。
鈍い日差しがエレノーラの眼に障りそうで、シルヴィアは、カーテンを引いた。
寝室のベッドに起き上がったエレノーラの肌艶は、悪かった。
そして、表情は暗かった。
シルヴィアは、その傍らに座って、黙っていた。
「今度お会いした時には、必ずお返事しますと、申し上げました」
囁くように、シルヴィアが口を開いた。
「シルヴィア・・・」
エレノーラは、どう声をかけていいのかわからなかった。
グラディウスの総督の元へなど、それもエレノーラより年上の、四十近く歳の違う男の元へなど、シルヴィアが嫁ぎたいはずはなかった。
エレノーラは娘の心中を、十分に察していた。
そして不憫だった。
けれども、主亡きあと、この家が背負う莫大な借金を返すすべは、他になかった。
総督の申し出は、シルヴィアとの結婚を条件に、借金の返済を肩代わりしようというものだった。
当然、総督の申し出は政治的な利点からで、シルヴィアに愛情を抱いていたからではない。
そして、シルヴィアが総督との結婚を承諾しようとするのは、体調を崩している自分のためであることも、エレノーラは理解していた。
総督と結婚すれば、豊かな資産を背景に、これまでとは比べ物にならない程、エレノーラは手厚い治療と看病を受けることができるはずだった。
借金と、病弱な母の為に、十七歳の勝気で責任感の強い、美しい娘が、自らを犠牲にしようとしているのだと思うと、エレノーラは堪らない気持ちになった。
「シルヴィア、総督にお返事をする前に、やはり一度、ジェームズに相談してはどうかと思うの」
「それは、駄目よ、お母様。ジェームズに、迷惑はかけられないわ、絶対に」
シルヴィアは、即座に否定した。
何の関係もないジェームズに、ゴードン家の責任を押し付けるわけにはいかなかった。
「でも、このままじゃ、あなたがあまりにも・・・」
可哀想で、と言いかけて、エレノーラは口をつぐんだ。
「私のことはいいの、お母様。私はいいのよ」
シルヴィアは、痩せて、骨が浮き出るエレノーラの手を、そっと握った。
「シルヴィア・・・」
「今日は、朝から何もまだ召し上がってないのでしょう、お母様。何か持って来させます。サラを探して来ますわ」
そういうと、シルヴィアは、静かに立ちあがった。
シルヴィアは、二階にあるエレノーラの寝室を離れて、サラを探しに出た。
その時、何気なく、庭の方を見ると、人影のようなものが眼に入って、庭に面したバルコニーへと近づいた。
そして、目を疑った。
立っていたのは、サラと、ジェームズだった。
シルヴィアは、見てはいけないものを見てしまったかのように、二人に気付かれないように、慌てて柱の陰に姿を隠してから、その様子を盗み見た。
サラは、泣いていた。
そして、ジェームズはその肩を抱き、真剣な表情で、サラに何かを言い聞かせていた。
サラは、小さく何度も頷く。
そして、ジェームズが、サラを抱き寄せた。
それ以上、シルヴィアはその場にいることができなかった。
眩暈がしそうだった。
以前から、想像はしていたことだった。
いつの頃からか、サラを見つめるジェームズの瞳が、優しくなったことに、気付いた。
ジェームズに話しかけられて、サラの頬が赤らんでいた。
お互いに惹かれあっているのではないかと、想像はしていた。
けれども、今、その姿を目の当たりにして、とても平常心ではいられなかった。
シルヴィアは、目を閉じて、胸に手を当てて、大きく何度か呼吸した。
そして、しばらくじっと考えた後、エレノーラの寝室へ戻った。
エレノーラは、入って来たシルヴィアの顔が、ひどく強張っていることに気付いた。
「何かあったの、シルヴィア?」
「お母様、私、総督の申し出をお受けいたします」
「シルヴィア・・・」
シルヴィアは、決心した。
ちらりと、隣に座るウィンベリー伯爵の顔を盗み見ると、小心者の伯爵は、せわしなく眼をきょろきょろと動かして、落ち着かない様子だった。
それは、この場所が、グラディウスのミグノフ総督の私邸の応接間であり、眼の前にそのミグノフ総督自身が、座っているからに違いなかったが、れっきとしたイーオンの貴族でありながら、ひとかけらの品格も感じられない様のウィンベリー伯爵を、シルヴィアは内心侮蔑していた。
ミグノフの腰巾着。
イーオンの貴族でありながら、保身のために、ミグノフ総督の顔色をうかがうウィンベリー伯爵を、イーオンの人々は、陰で、そう呼んでいた。
ジェームズだったら・・・、ジェームズだったら、例え、ミグノフ総督の前だったとしても、イーオンの貴族の名に恥じない態度を示しただろう、そう思うと、シルヴィアは、口惜しい気持ちになった。
とはいえ、結局、ゴードン家の抱える莫大な借金を返済するため、シルヴィアは、ウィンベリー伯爵の取り計らいで、ミグノフ総督と結婚しようとしていたので、ウィンベリー伯爵を嗤う資格は、自分にはないのだと思った。
総督の私邸には、エレノーラも来る予定だった。
けれども、エレノーラは、体調が良くない。
今朝も、ひどい貧血のせいで、立ちあがることができなかった。
だから結局、シルヴィアはウィンベリー伯爵とふたりで、総督に会うことになった。
シルヴィアは、お茶には手をつけず、黙ったままだった。
ミグノフ総督は、口ひげをはやした五十半ばの小男で、値踏みするような眼で、応接間のソファに座ったシルヴィアを眺めていた。
「私と、結婚すれば・・・、全て解決する。そうは思わないかな?」
シルヴィアは、答えなかった。
誰に言われなくても、この縁談が寄せられた時から、毎夜毎夜、時には明け方まで眠れない程、考えていたことだった。
その時、
「ウィンベリー伯爵、少しこちらへ」
図ったかのように、ミグノフ総督の死別した前妻の息子、フョードルが顔を出して、ウィンベリー伯爵を呼んだ。
ミグノフ総督の息子と言っても、シルヴィアよりも十歳年上だった。
ウィンベリー伯爵は、フョードルに呼ばれて、まるでこの家の使用人でもあるかのように、あたふたと部屋を出て行った。
応接間には、ミグノフ総督と、シルヴィアの二人きりになった。
ウィンベリー伯爵が出て行くと、すぐにミグノフ総督が立ちあがり、ソファに座るシルヴィアの後ろに回って、その肩に触れて来た。
「シルヴィア、今日こそは、返事を・・・」
その手が、次第に肩から、腕に落ちて来て、それと同時に屈んだ総督の唇が、シルヴィアの白い首筋にあてられた。
驚きと、怒りと、嘆きが入り混じった感情が溢れて、唇がわなわなと震えだすのが、わかった。
堪らずに、シルヴィアは立ち上がった。
「お返事は、この次に。この次は、必ず、お返事を。失礼いたします」
シルヴィアは、逃げるように、その場を離れた。
鈍い日差しがエレノーラの眼に障りそうで、シルヴィアは、カーテンを引いた。
寝室のベッドに起き上がったエレノーラの肌艶は、悪かった。
そして、表情は暗かった。
シルヴィアは、その傍らに座って、黙っていた。
「今度お会いした時には、必ずお返事しますと、申し上げました」
囁くように、シルヴィアが口を開いた。
「シルヴィア・・・」
エレノーラは、どう声をかけていいのかわからなかった。
グラディウスの総督の元へなど、それもエレノーラより年上の、四十近く歳の違う男の元へなど、シルヴィアが嫁ぎたいはずはなかった。
エレノーラは娘の心中を、十分に察していた。
そして不憫だった。
けれども、主亡きあと、この家が背負う莫大な借金を返すすべは、他になかった。
総督の申し出は、シルヴィアとの結婚を条件に、借金の返済を肩代わりしようというものだった。
当然、総督の申し出は政治的な利点からで、シルヴィアに愛情を抱いていたからではない。
そして、シルヴィアが総督との結婚を承諾しようとするのは、体調を崩している自分のためであることも、エレノーラは理解していた。
総督と結婚すれば、豊かな資産を背景に、これまでとは比べ物にならない程、エレノーラは手厚い治療と看病を受けることができるはずだった。
借金と、病弱な母の為に、十七歳の勝気で責任感の強い、美しい娘が、自らを犠牲にしようとしているのだと思うと、エレノーラは堪らない気持ちになった。
「シルヴィア、総督にお返事をする前に、やはり一度、ジェームズに相談してはどうかと思うの」
「それは、駄目よ、お母様。ジェームズに、迷惑はかけられないわ、絶対に」
シルヴィアは、即座に否定した。
何の関係もないジェームズに、ゴードン家の責任を押し付けるわけにはいかなかった。
「でも、このままじゃ、あなたがあまりにも・・・」
可哀想で、と言いかけて、エレノーラは口をつぐんだ。
「私のことはいいの、お母様。私はいいのよ」
シルヴィアは、痩せて、骨が浮き出るエレノーラの手を、そっと握った。
「シルヴィア・・・」
「今日は、朝から何もまだ召し上がってないのでしょう、お母様。何か持って来させます。サラを探して来ますわ」
そういうと、シルヴィアは、静かに立ちあがった。
シルヴィアは、二階にあるエレノーラの寝室を離れて、サラを探しに出た。
その時、何気なく、庭の方を見ると、人影のようなものが眼に入って、庭に面したバルコニーへと近づいた。
そして、目を疑った。
立っていたのは、サラと、ジェームズだった。
シルヴィアは、見てはいけないものを見てしまったかのように、二人に気付かれないように、慌てて柱の陰に姿を隠してから、その様子を盗み見た。
サラは、泣いていた。
そして、ジェームズはその肩を抱き、真剣な表情で、サラに何かを言い聞かせていた。
サラは、小さく何度も頷く。
そして、ジェームズが、サラを抱き寄せた。
それ以上、シルヴィアはその場にいることができなかった。
眩暈がしそうだった。
以前から、想像はしていたことだった。
いつの頃からか、サラを見つめるジェームズの瞳が、優しくなったことに、気付いた。
ジェームズに話しかけられて、サラの頬が赤らんでいた。
お互いに惹かれあっているのではないかと、想像はしていた。
けれども、今、その姿を目の当たりにして、とても平常心ではいられなかった。
シルヴィアは、目を閉じて、胸に手を当てて、大きく何度か呼吸した。
そして、しばらくじっと考えた後、エレノーラの寝室へ戻った。
エレノーラは、入って来たシルヴィアの顔が、ひどく強張っていることに気付いた。
「何かあったの、シルヴィア?」
「お母様、私、総督の申し出をお受けいたします」
「シルヴィア・・・」
シルヴィアは、決心した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる