高校生のころから付き合っているらしい大学生がいちゃついているなんて・・・

壁山ゆかこ

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ハルチア―出会い編―

4話―文化祭の準備―

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 1週間ほどのギャップを回復したチアキは、ちゃんとクラスに馴染んでいるようだった。昼休みは、僕と一緒に過ごすことが多いが、僕がクラス委員の集まりの時は、別の友達をみつけて一緒に昼を食べているみたいだ。休む前よりも断然クラスメイトと話すことが増えて、クラスでチアキが笑っている姿を見られるのが少し嬉しかった。
文化祭もだんだん近づいて、教室はかすかにペンキのにおいがする。放課後は、桜木組もとい文化祭選抜メンバーだけでなくクラス全員が準備にいそしんでいる。2年C組が担当するのは、喫茶店。コンセプトカフェを目指しているわけではないのに、一部の女子が張り切って衣装を作っているせいか、男子の制服は執事風の燕尾服で女子はクラシカルメイド風になっているらしい。らしい、というのは、僕が接客担当ではなくメニュー班だからだ。この話は衣装班と飾り付け班を仕切っている桜木さんから聞いて知った。
ハルトくんも、接客できれば良かったのにね。きっと、執事風の制服似合ったのに。と桜木さんが、衣装班の未発表情報をぽろっとこぼしたのだ。その時の桜木さんはかなり焦っている様子だった。衣装班は女子が多く、接客を担当する男子に絶対に執事風の服を着ると知られたら、反対されると思ったらしい。確かに、執事みたいな服は勘弁して欲しいと思う。桜木さんに、このことは内密にしておいて欲しいとお願いされたので、誰にも話していない。クラス全員には衣装が完成して後に引けない状況に追い込んでから知らせるとのことだ。接客を担当する男子はそんな衣装班の企みも知らずに、採寸されていく。凝った衣装を作ると思えば、手首や二の腕を採寸する理由に納得がいく。
「おーい、クラス委員長。」
「あ、ごめんごめん。で、何するんだっけ?」
「また、衣装班の方見てただろう?そんなに女子が気になるか?」
「そんなんじゃないよ。」
「まぁ、どうでもいいけど。メニュー考えるぞ。」
今いる料理班は、僕を含めて男子3人。当日出すメニューを考えなければならない。メニューはあらかた決まっており、今からは、何を作るかというよりかはホットサンドの中身を何にするかといった簡単だけど重要な話し合いだ。チキンカツサンドや、ハンバーグサンドが出てくる中、お屋敷みたいなカフェになると知っている僕は、それを遠回しに否定する。彼らが提案するのは、スタミナ系に偏りすぎているからだ。さりげなく、アボカドサンドや大豆ミートサンドのようなヘルシー寄りのメニューを提案する。
「衣装は完成するまで秘密だって言ってるから、着ない俺たちからしても気になるよなぁ。なぁ、ハルト何か知ってるんじゃないの?」
「確かに!クラス委員だし。知ってるでしょ?」
「知らないよ。気になっているから衣装班見てたんだよ。メニュー考えないと、デザート考えてる女子たちに怒られるよ。」
「やべっ、そうだった。」
こうやって嘘をつくのは申し訳ないと思うが、メニューの方向性を考えるのに役立っ
ているので桜木さんには感謝している。あまりにも肉肉しいメニューにならないようにところどころ修正しながら、僕たちはメニューを考えた。
 教室に差し込む光は、オレンジ。時計は6時前をさしていた。解散している班もちらほらあるみたいなので、僕たちも解散した。チアキは、衣装班にとらわれていた。しばらくは時間がかかりそうな様子なので今日考えたメニューのメモを、家庭科室で試作している料理班長に提出しに行こうと、教室を出た。
「おう、クラス委員長。」
後ろから、担任の石田に呼び止められた。
「石田先生、何かやらなきゃいけないこと忘れてました?」
「違う、逆だ。逆。」
「逆?」
「秋野のことだよ。お前が家に行ってから、秋野がクラスになじめるようになった。お前のおかげだ。」
石田は、癖のように手を口元に持っていく。今はたばこがない、ということに気づいて手をポケットに入れた。そして、僕はなぜか、感謝された。
「感謝されるようなことは何も。ただ、チアキ、秋野が思ったより。いや何でもありません。」
そうかそうか、と石田は笑いながら言った。
「お前も変わったよな。」
「え?」
「クラス委員さん、これからもよろしくな。じゃあ、」
石田は、それだけを言いに来たのか、去って行った。窓の外は、暗くなり始めている。あ、メモ。家庭科室は鍵が閉まってもう誰もいなかった。
そのあと教室へ引き返すもチアキは、もういなかった。一人で帰った。
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