小さな星屑

イケダユウト

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第一章

小さな星屑 第三話

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「はーい皆んな、席についてるわね~それじゃあ、朝のホームルーム始めるわよ~」


 三河の話し方は特徴的で、短髪の見た目とのギャップもあって最初は蒼太たちも戸惑ってたが、一年以上も毎日会っていたら全く気にならなくなった。生徒と一緒になって色んな行事に真剣に取り組む姿から、生徒たちからも信頼されている良い先生だ。


「今日は皆んなにビックなニュースがあるの。それは…なんとこの2年B組に転入生が来ちゃいましたぁ‼︎」


クラスが少々ざわめく。朝、隼人が言おうとしたことはこの事だったんだな。蒼太が隼人の方を見ると隼人も静かに頷いた。


「じゃあ早速紹介するわね。転入生、カモンッ‼︎」


三河の合図で教室に入って来たのは、茶色がかった短髪に褐色の肌。いかにもこれまでスポーツをやっていましたと言わんばかりの好青年だった。


「弓瀬 真矢(ゆみせ しんや)って言います。話す言葉は関西弁やけど生まれは東京やから。皆んなよろしゅうなぁ」


クラスが更にざわつく。このクラスには関西弁を話す生徒が居ないから、きっと物珍しいのだろう。


「ハイハイ、皆んな静かに~弓瀬くん、これから宜しくね。じゃあ席は八木くんの後ろの席に座って頂戴」


三河に言われた通り真矢は蒼太の後ろの席に座った。


「これから宜しゅう。仲ようしよなぁ」

「あぁ、宜しく」


 この出会いが蒼太の人生にとって、かけがえのないものになるとは、この時はまだ知らなかった。







 午後の授業も終わり、生徒はそれぞれに昼休みに入っていた。隼人はというと羅夢が来る前に逃げなければと、チャイムと同時に猛スピードで教室から消えていった。


「やっと、昼飯の時間だ~」


蒼太がカバンから弁当を出そうとした時、不意に背後から声を掛けられた。


「蒼太、ちょっとええか?」

「どうした?」

「まだこの学校のこと、よう分からんから案内してくれへんか?」


真矢は両手を合わせながら頼んだ。


「俺がか?何でだよ」

「ええやないか。席、前後なんやし」

「前後って…理由になってねぇよ」


蒼太はそう言って再びカバンに手を入れ弁当を取り出した。しかし、真矢も諦めることなく頼み続けた。


「なぁ、頼むって蒼太~お前しかおらんねんって」


あまりに熱心に頼んでくる姿に、蒼太もこのまま放置しておくのは可哀想に思えてきた。


「しょうがねぇなぁ。で、どこ行きたいんだよ」

「おおきに‼︎せやなぁ…」


真矢は顎に手を当てながら考えた。


「まずは購買やな」

「はいはい、分かりましたよ」


二人は立ち上がると購買へと向かった。





「あれ?蒼太と弓瀬くんだ。どこ行くんだろう?」


隣の2年C組で弁当を食べていた比奈が、教室の前を通り過ぎていく二人の姿を見て言った。


「比奈さん、どうかしましたか?」


一緒に弁当を食べていた天野 秤子(あまの しょうこ)が上品な口ぶりで尋ねた。


「いや、今そこを蒼太が弓瀬くんと一緒に通って行ったから」

「まぁ、それではその方が先ほど話されていた、比奈さんのクラスに転入されてきた弓瀬さんでいらっしゃるのですね」

「そうなの。しかも、親が関西出身みたいで弓瀬くんも関西弁なんだよね」

「まぁ、関西弁ですか。私、関西の方とお話ししたことがありませんので、一度弓瀬さんとお話しさせていただきたいものです」

「秤子と弓瀬くんの会話…ぷっ‼︎想像したら面白そう」


比奈は口を押さえながら必死に笑いを堪えていた。


「まぁ、ひどいです比奈さん」


少し頬を膨らませながら怒る秤子に、比奈は朝の蒼太みたいにペコペコと頭を下げながら、ごめんごめんと謝った。



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