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第二章:エドガルド、自分、そして──
添い寝~神様からのまさかの発言~
しおりを挟む広い二人用の部屋、二人分のベッド……なのだが、何となく私のベッドが広いのは気のせいではないと思う。
自室にあった机などは移動済み。
長年使われてなくとも最低限の掃除はされており、軽い手入れをしたらすぐ使えるようになった広い部屋。
「では、エドガルド殿下、ダンテ様。お休みなさいませ良い夢を」
フィレンツォとメイドさん達が部屋を出ていく。
「お休み、良い夢を」
「……」
パタンと扉が閉まる。
僅かな灯りだけが灯る部屋に二人きり。
少しばかりどきどきしてしまう。
「エドガルド、お休み」
「……」
反応がない、どうしたのだろうと気にしていると、暗くても動いているのが見えた。
こちらに近づいてくる。
「……ダンテ」
心細そうな声が聞こえた。
エドガルドは私のベッドに近づいて、枕を抱きかかえながら不安げに私を見ている。
「その……一緒に、寝て、欲しい……」
――幼女だこれ、ロリだ――
『とりあえずお前が今もオタク的な意味合いで正常にとちくるってるのは分かった』
神様の辛辣な言葉も痛くない、だってどう見ても幼女だよコレ!!
――悪いな神様、私にはエドガルドが今は幼女にしか見えない――
『何でそこで幼児じゃなくて幼女なのだ……』
――何言ってる幼女系キャラの母性求めたり、雄っぱいのある男性にバブみを求めたりするんだぞ、ある種のオタクは――
『そこで「オタクは」とは言わんのだな』
――いや、オタクにも種類がありますし――
その通り千差万別、十人十色、オタクにだって色んなタイプがある。
ケモナーを例にあげると、獣耳と尻尾で後は人間素体が好きな人もいれば、明らかにケモケモしているキャラとかが好きな人等、色々ある。
そもそも認識の違いなど一般的にも起こっていたし、例えば「巨乳」という単語女性と男性では明らかな齟齬が起きているのが良く見られた。
男性の言うCカップとかは女性からするとEカップとかそれ位の差がある。
故に男性の貧乳好きは女性にとっての「貧乳」なのか謎なのが多い。
一般人でも性別で認識の違いが明らかにあるのだから、オタクだって当然色々あるんだ。
『分かった分かったから一旦落ち着け。頼むから』
――すんません――
『別にお前にツッコミ入れる為にわざわざこうしてるわけじゃないんだからな?』
――え、違うんですか?――
てっきり久方ぶりのオタク思考で若干中身がアレになってる私を冷静にさせるために、こうして話しかけてきたのかと思った。
――じゃあ、何でですか?――
『まぁ、ちょっと精神がアレになってたのでうっかりやりそうだったからな』
――はい?――
『いいか、絶対にエドガルドに手を出すな。つまり性行為――セックスするな、以上』
――マジすか――
『向こうが求めても説明して絶対手を出すな、そうだな何なら此処で言ってしまおうか』
――はい――
『お前が幸せにしたい連中とうかつに肉体関係結んだら、その時点でアウトだからな。というかゲーム的に言えば攻略できない奴らとかモブとかともするな、以上』
――ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!――
神様の発言に私は慌てる。
私のおぼろげな記憶では、攻略サイトで必ず何らかの肉体関係を結ぶ必要があると書かれていた。
実際に、色々話す為、色々と関係づくりの為には軽く交流し、相手に求められたら肉体関係を結ぶのが早かったし。
『そんなんだから、ゲーム的に言えばノーマルエンド止まりになるんだ。お前らは製作者達の作った罠に見事に引っかかってるわけだ』
――え、えーとどういう事??――
神様の言葉にさっきから私は混乱しっぱなしだ。
『つまりだ』
『攻略対象と性的行為が可能な18禁のゲームで、性的行為でより深くなる――という一つの罠に引っかかってるわけだ』
――え、それってまさか――
『察しがいいな』
『うかつに肉体関係結んだ時点でゲーム的にはどのキャラもハッピーエンドには行けないし、全員攻略してハーレムルート行くのならなおさらだ』
――ヴァー?!?!――
思わず奇声を上げる。
そりゃそうだ、自分達が正解だと思っていた事が「大間違い」だと言われているのだ。
エロゲーでうかつにエッチな行為をしたらあかんとか、なくはないけど、稀すぎるわ!!
『――まぁ、時が来たら、嫌という程する羽目になるから気にするな』
――ちょっと待って、非常に不穏な台詞なんですが??――
『その時が近くなったら教えてやるから気にするな今は』
――う、うわぁ……何か怖くなってきた――
『まぁとりあえず、セックスはアウトだ。キスも口にはするな、痕に残るようなのもするな以上』
――オウフ――
具体的に言われた。
どこの純愛ゲームだ、手をつなぐのも一苦労な感じの。
『目標はある意味ハーレムな時点で純愛とはかけ離れてるがな』
――言わんでください――
しかし、色んな意味で頭が痛くなった。
ゲーム的に言えば攻略キャラの一人は、他のキャラ以上に肉体関係を求めてくるのだ。
下手に拒否をすると、関係をうまく作ることができないのを覚えている。
『まぁ、そう言う所も後々分かるから気にするな。後それに――』
――それに?――
『そうさな、今のお前の時点でもう周囲の目を引く条件を満たしている。だが、それに胡坐をかいているんじゃないぞ?』
――と、とりあえず今のまま頑張ればいい、ってことですか?――
『そういう事だ、じゃあ頑張れ。馬鹿やりそうだったら即座に口だすからな』
――あ、どうも――
神様による強制時間停止と精神での会話が終わる。
――セックスと口へのキスと、痕を残すのは駄目、か――
逆を言えば、他は大丈夫ということになる。
「いいですよ、エドガルド」
私は枕をずらして、エドガルドが寝れる場所を確保する。
何となく、この為に私のベッドが広くされてる気がするが、気のせいにしておこう。
エドガルドは枕をおいてベッドの上に上がる。
私よりも身長があって、体格も男性的で、男性的な凛々しい顔の作りをしているのに、今の彼は本当幼子、ぶっちゃけ幼女的に見える。
彼の手が私の手に触れる。
手が震えている。
私はうつむいてる彼の頬を撫でる。
「エドガルド、私は貴方が大切なのです。それだけは忘れないでください」
彼は顔を上げて、こくりと頷いた。
「もう寝ましょう、明日も早いのですから」
そう言って横になるように促し、私も横になって毛布を掛ける。
「お休みなさい、エドガルド」
「……」
返事がない、ただ何か言いたそうにしているのは分かった。
「どうしました?」
「手を、その……」
「……ええ、手をつないで寝ましょうか」
私がそう言って手を握ると、彼は安心したような表情を浮かべて、目を閉じた。
「おやすみ……なさい……」
ほどなくして、小さな寝息が聞こえてきた。
安心した様に眠るエドガルドの表情は、歳不相応に幼く見えた。
傷ついた心を癒すには時間が必要だ。
けれども、私は二年後には留学しなければいけない。
戻ってくるには四年はかかる。
どうか、私が一時期離れても、彼が穏やかに過ごせるよう、私は彼と向き合わなければならない。
――前途多難、けどやるしかない――
私は再度決意してから、目を閉じた。
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