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第五章:結ばれた縁と謎
手紙の返事と、授業の謎(お前鈍すぎるからなfrom神様)
しおりを挟むフィレンツォに言った方がいいだろうかと、一人悩む。
「……母上に相談するか……」
ぶっちゃけ、エドガルドを止められる上、口が堅いのは母位だ。
それに母なら父も甘い。
なので、母宛ての手紙を即座に手をつける。
軽く事情を話したうえで、父には今は言わない様にという事を頼み、そしてエドガルドが無理をしているのが心配だから体を壊さない様にしてもらいたいと。
そう言った趣旨の内容の手紙を書いた。
勿論、これをエドガルドにも伝えるつもりだ。
『無理しすぎているでしょうから、母上にお伝えしました。無理したら容赦なくベッドに寝かしつける様に』
と言った内容で。
母宛ての手紙を書き終わり、便箋を入れて封蝋をした。
次に、エドガルドからの手紙を仕舞い、返事用の便箋と封筒を取り出し、ペンを取る。
自分は施設のおかげで休めたので大丈夫だという事。
父には相変わらず隠すこと。
――父さんマジ色々と面倒だからなぁ――
母に伝えたので、無理したら容赦なくベッドにぶち込まれると思うから無理はしないようにと念を押す。
まだ入学してからそれほど経っていないのに目まぐるしく色んなことが起きている事を書いた。
「……さて、最後は何を書こうか」
エドガルドへの返答。
これは悩む。
けれども私の彼への思いは変わらない。
有難うございます、私の大切なエドガルド。
貴方が私を最愛の存在と思ってくれることを嬉しく思うと同時に、それに答えられない自分が酷く不誠実に思えてしまい申し訳ありません。
でも、私も変わりません。
一日も早く、貴方に会いたい。
あなたに触れたい。
やはり鈍感ですか、フィレンツォにも言われましたよ。
どうにか治したいものですが……
もちろん、自分の事は大事にします。
大切な貴方が死ぬような事になったら、私も涙の海で溺れて死んでしまうでしょう。
だからエドガルド、貴方も無理をなさらないでください。
私の大切なエドガルド。
何とか手紙を書き終えて、便箋を入れて封蝋をする。
透視で母とエドガルドの手紙を間違えてないか確認。
まぁ、便箋の量基封筒の厚さですぐ分かるのだけれども。
自室から出て、居間でクレメンテとエリアに勉強を教えているフィレンツォを見つける。
――さて、どうしよう――
そう思っていると向こうの方から気が付いた。
「ダンテ殿下、ちょうど御二人の休憩をいれようと思っていた所です。何か御用ですか?」
いつもの雰囲気でフィレンツォは私に近づいてくる。
「はい、母上と兄上に手紙を……その、できれば母上への手紙は内密に……手紙貰ってないと父上が拗ねるどころではない事をしそうなので……」
「そうですね、畏まりました」
私は二通の手紙をフィレンツォに渡した。
フィレンツォはそれを大切そうにしまうと、会釈して外へと向かった。
私はちらりとぐったりとしているクレメンテとエリアを見る。
クレメンテは顔に疲弊の色を見せているし、エリアは明らかに疲れ切っているのが分かる体勢と、顔色をしている。
私は二人は牛乳は大丈夫だったよな、と確認してから台所でホットミルクを作り砂糖を入れて甘くする。
「御二人ともお疲れ様です、よろしければどうぞ」
そう言って二人の前にカップを置く。
「すみません……ダンテ」
「申し訳ございません……ダンテ、様……」
「いいのですよ、やはり難しいですか」
そう言って、テーブルにあるポットに手を伸ばして自分の分のお茶を入れる。
紅葉茶に砂糖を入れて、口をつける。
紅茶と変わらぬあの香りと、さわやかな甘さが心地よく懐かしかった。
ホットミルクをちびちびと飲む二人を見る。
愛らしく見えた。
「は、はい……なれない、こと、ばかりでしたので……」
「ええ、本当に……」
疲れ切った声が聞こえた。
私はちらりと周囲を見渡す。
時間遅延魔術が使用されていた痕跡がある。
つまり私が一時間エドガルドの手紙と向き合い、返事を書いていた間、二人はその倍以上の時間経過を感じていたことになる。
この魔術、高等すぎるので使えるのがごく少数、なので使用したフィレンツォの能力の高さには舌を巻いてしまう。
けれど気になるのは、そこまでしてフィレンツォは二人の教育をしたという事だ。
学校の講義に関してでも何か怪しい。
『そこまでだ。お前が深く追求すると……分かっているな?』
――はいはい、いつものなんですよね!!――
『その通りだ』
神様の脅しが入ってきたので追及するという事は止めた。
「しかし、フィレンツォも少々厳しいですね、ここまでクレメンテとエリアが疲弊するまで教えるとは」
「いえ……私達の物覚えが悪いのです」
「は、はい……すみません、すみません……僕が頭が悪いから……」
クレメンテとエリアの自己評価の低さ、特にエリア。
――そう言えば、この二人かなりの回数勉強会イベントがあったな――
アルバートとカルミネに比べると、勉強会のイベントが多かったなと美鶴の記憶を掘り返す。
しかし、私は、今一緒に勉強していないし、二人に教えているのはフィレンツォだ。
――まぁ、色々と違う所があるんだろう――
――エドガルドの強姦事件を防いだところからもう私が知ってる展開じゃないし――
そう思いながら今までの事柄を思い返す。
エドガルドの気持ちに、何とかその時の答えを出す。
学院では一番の成績を取ってしまい、入学式で代表をやらされる。
結果、クソ馬鹿男に喧嘩を売られて、エドガルドを馬鹿にされたので徹底的にぶちのめしたが、今だに食いついてきて鬱陶しい事この上ない。
エリアは強姦されているところを救出、王族である私の「客人」という立場にして、私が代理人としてエリアの事を虐待していた連中の処罰の決定とかをフィレンツォやフィレンツォを介してヴァレンテ陛下とやり取りしつつ進めている。
クレメンテは、何とか彼と友人らしき立場になり、暗殺を防いで、ついでに実兄であるエルヴィーノ陛下を精神的にぶちのめしたりした。
アルバートとカルミネに関しては予想外の御家騒動に巻き込まれてしまった上に、両家の処遇決定権をカリーナ陛下に任される自体になった――
――あれ、私まだ一年生なんだけど?――
それどころか、入学してまだそれほど時間が経っていないのに、あまりにも圧縮されたトラブルに巻き込まれている事に気づく。
「ダンテ?」
「ダンテ……様?」
二人に呼ばれてはっと我に返る。
「いえ、すみません。クレメンテとエリアの手伝いができないものかと考えていて……」
そう苦笑いを浮かべて、答える。
「だ、大丈夫です……フィレンツォ様から良くしていただいてます……」
「はい、だから……ダンテはもう少し休んでいてください」
二人の言葉に、気を使われていることを察する。
「……そうですね、ではもう少し休ませていただきます」
私は少しだけ冷めた紅葉茶を飲み干してそのまま自室へと戻ることにした。
『お前にとってはそれが良い行動だ』
神様の、意味深の言葉に若干ムカつきながら。
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