ハッピーエンド=ハーレムエンド?!~TS転生でへたれ攻めだけど幸せにしてみせる!~

琴葉悠

文字の大きさ
87 / 120
第五章:結ばれた縁と謎

手紙の返事と、授業の謎(お前鈍すぎるからなfrom神様)

しおりを挟む



 フィレンツォに言った方がいいだろうかと、一人悩む。
「……母上に相談するか……」
 ぶっちゃけ、エドガルドを止められる上、口が堅いのは母位だ。

 それに母なら父も甘い。

 なので、母宛ての手紙を即座に手をつける。
 軽く事情を話したうえで、父には今は言わない様にという事を頼み、そしてエドガルドが無理をしているのが心配だから体を壊さない様にしてもらいたいと。

 そう言った趣旨の内容の手紙を書いた。
 勿論、これをエドガルドにも伝えるつもりだ。

『無理しすぎているでしょうから、母上にお伝えしました。無理したら容赦なくベッドに寝かしつける様に』

 と言った内容で。

 母宛ての手紙を書き終わり、便箋を入れて封蝋をした。

 次に、エドガルドからの手紙を仕舞い、返事用の便箋と封筒を取り出し、ペンを取る。

 自分は施設のおかげで休めたので大丈夫だという事。
 父には相変わらず隠すこと。

――父さんマジ色々と面倒だからなぁ――

 母に伝えたので、無理したら容赦なくベッドにぶち込まれると思うから無理はしないようにと念を押す。

 まだ入学してからそれほど経っていないのに目まぐるしく色んなことが起きている事を書いた。

「……さて、最後は何を書こうか」
 エドガルドへの返答。
 これは悩む。
 けれども私の彼への思いは変わらない。




 有難うございます、私の大切なエドガルド。
 貴方が私を最愛の存在と思ってくれることを嬉しく思うと同時に、それに答えられない自分が酷く不誠実に思えてしまい申し訳ありません。
 でも、私も変わりません。
 一日も早く、貴方に会いたい。
 あなたに触れたい。

 やはり鈍感ですか、フィレンツォにも言われましたよ。
 どうにか治したいものですが……

 もちろん、自分の事は大事にします。
 大切な貴方が死ぬような事になったら、私も涙の海で溺れて死んでしまうでしょう。

 だからエドガルド、貴方も無理をなさらないでください。

 私の大切なエドガルド。




 何とか手紙を書き終えて、便箋を入れて封蝋をする。
 透視で母とエドガルドの手紙を間違えてないか確認。

 まぁ、便箋の量基封筒の厚さですぐ分かるのだけれども。




 自室から出て、居間でクレメンテとエリアに勉強を教えているフィレンツォを見つける。

――さて、どうしよう――

 そう思っていると向こうの方から気が付いた。
「ダンテ殿下、ちょうど御二人の休憩をいれようと思っていた所です。何か御用ですか?」
 いつもの雰囲気でフィレンツォは私に近づいてくる。
「はい、母上と兄上に手紙を……その、できれば母上への手紙は内密に……手紙貰ってないと父上が拗ねるどころではない事をしそうなので……」
「そうですね、畏まりました」
 私は二通の手紙をフィレンツォに渡した。
 フィレンツォはそれを大切そうにしまうと、会釈して外へと向かった。

 私はちらりとぐったりとしているクレメンテとエリアを見る。
 クレメンテは顔に疲弊の色を見せているし、エリアは明らかに疲れ切っているのが分かる体勢と、顔色をしている。

 私は二人は牛乳は大丈夫だったよな、と確認してから台所でホットミルクを作り砂糖を入れて甘くする。

「御二人ともお疲れ様です、よろしければどうぞ」

 そう言って二人の前にカップを置く。
「すみません……ダンテ」
「申し訳ございません……ダンテ、様……」
「いいのですよ、やはり難しいですか」
 そう言って、テーブルにあるポットに手を伸ばして自分の分のお茶を入れる。

 紅葉茶に砂糖を入れて、口をつける。

 紅茶と変わらぬあの香りと、さわやかな甘さが心地よく懐かしかった。

 ホットミルクをちびちびと飲む二人を見る。
 愛らしく見えた。
「は、はい……なれない、こと、ばかりでしたので……」
「ええ、本当に……」
 疲れ切った声が聞こえた。
 私はちらりと周囲を見渡す。

 時間遅延魔術が使用されていた痕跡がある。
 つまり私が一時間エドガルドの手紙と向き合い、返事を書いていた間、二人はその倍以上の時間経過を感じていたことになる。
 この魔術、高等すぎるので使えるのがごく少数、なので使用したフィレンツォの能力の高さには舌を巻いてしまう。

 けれど気になるのは、そこまでしてフィレンツォは二人の教育をしたという事だ。

 学校の講義に関してでも何か怪しい。

『そこまでだ。お前が深く追求すると……分かっているな?』
――はいはい、いつものなんですよね!!――
『その通りだ』

 神様の脅しが入ってきたので追及するという事は止めた。
「しかし、フィレンツォも少々厳しいですね、ここまでクレメンテとエリアが疲弊するまで教えるとは」
「いえ……私達の物覚えが悪いのです」
「は、はい……すみません、すみません……僕が頭が悪いから……」
 クレメンテとエリアの自己評価の低さ、特にエリア。

――そう言えば、この二人かなりの回数勉強会イベントがあったな――

 アルバートとカルミネに比べると、勉強会のイベントが多かったなと美鶴前世の記憶を掘り返す。

 しかし、私は、今一緒に勉強していないし、二人に教えているのはフィレンツォだ。

――まぁ、色々と違う所があるんだろう――
――エドガルドの強姦事件を防いだところからもう私が知ってる展開じゃないし――

 そう思いながら今までの事柄を思い返す。




 エドガルドの気持ちに、何とかその時の答えを出す。
 学院では一番の成績を取ってしまい、入学式で代表をやらされる。
 結果、クソ馬鹿男ベネデットに喧嘩を売られて、エドガルドを馬鹿にされたので徹底的にぶちのめしたが、今だに食いついてきて鬱陶しい事この上ない。
 エリアは強姦されているところを救出、王族である私の「客人」という立場にして、私が代理人としてエリアの事を虐待していた連中の処罰の決定とかをフィレンツォやフィレンツォを介してヴァレンテ陛下とやり取りしつつ進めている。
 クレメンテは、何とか彼と友人らしき立場になり、暗殺を防いで、ついでに実兄であるエルヴィーノ陛下を精神的にぶちのめしたりした。
 アルバートとカルミネに関しては予想外の御家騒動に巻き込まれてしまった上に、両家の処遇決定権をカリーナ陛下に任される自体になった――




――あれ、私まだ一年生なんだけど?――

 それどころか、入学してまだそれほど時間が経っていないのに、あまりにも圧縮されたトラブルに巻き込まれている事に気づく。

「ダンテ?」
「ダンテ……様?」
 二人に呼ばれてはっと我に返る。
「いえ、すみません。クレメンテとエリアの手伝いができないものかと考えていて……」
 そう苦笑いを浮かべて、答える。
「だ、大丈夫です……フィレンツォ様から良くしていただいてます……」
「はい、だから……ダンテはもう少し休んでいてください」
 二人の言葉に、気を使われていることを察する。
「……そうですね、ではもう少し休ませていただきます」
 私は少しだけ冷めた紅葉茶を飲み干してそのまま自室へと戻ることにした。

『お前にとってはそれが良い行動だ』

 神様の、意味深の言葉に若干ムカつきながら。





しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。 そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。 ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。 フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。 ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!? 無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

処理中です...