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第六章:こんなハーレムいいですか?
婚約の宴について
しおりを挟む「……」
目を開けると、皆が私の顔を覗き込んでいる。
額の痛みはない。
「……失礼、気絶してしまったようです……」
「ダンテ、駄目よ。ゆっくり休みなさい」
起き上がろうとすると母が私を再度寝かしつける。
「大丈夫?」
「……短時間に色々ありすぎて少々混乱してます」
本当その通りに言う。
この短期間に色々ありすぎてもう、頭がパンク状態だ。
精神状態だって、乱高下しまくりだったし、落ち着いたと思えば思いっきり動揺する羽目になったり、もう疲れた。
「ところでフィレンツォ、ダンテは学院で無理はしてない」
「無理をする度に自室でお休みになられてもらうか、あの『施設』で休息をとっていただいてます」
「まだ、自分だと上手く休めないのね……」
母が不安げに私の額を撫でる。
「申し訳ございません、母上……」
慣れてきたとは言え、やはり無理をする癖はしみついて中々落ちない。
「その上、色々なことを頼まれたりしたのでしょう? ちゃんと休まないと駄目よ?」
「はい……」
耳が痛い。
「断れたらいい内容だったら断ってるんですが、そうもいかない事ばかりでしたので……休むのが少々疎かになりました……」
正直に言う。
私以外の誰かがやってくれればいい内容なら良かったのに、それだと問題が起きかねない内容が結構あったので、私はそうせざる得なかった。
ヴァレンテ陛下の方はエリアの代理だからしゃーなし。
クレメンテの事も味方するって言ったから仕方なし。
カリーナ陛下の、アルバートとカルミネの件、最初は勘弁してと思ったけどおかげで両家を潰さずに今も見張られている状態ですんでいる。
此処で婚約確定すれば王族特権で完全に口出しOK状態になるので、二人の希望を叶えつつ、あの事件の首謀者連中を一網打尽にするチャンス。
その為にはカリーナ陛下に婚約の件を伝えなければならないが――
――気が進まぬ――
顔も見たことのない親戚に結婚報告するような気分でなんとも気が進まない。
――いや、前世で結婚したことないから知らないが――
自分で自分に心の中でツッコミを入れるのも虚しい。
「……確か、次期国王が婚約した場合は報告をするんでしたよね」
寝たまま髪をかきあげて私はフィレンツォへたずねる。
「はい、ですが報告に関してはダンテ様がなさる必要はないので、私の方で対処致します」
「ありがとう」
「いいえ。ですが婚約宴の場合、ダンテ殿下や皆さまも参加なされる必要があります」
「えっと、各国の陛下と場合によっては家の人もだっけ?」
「はい」
その言葉に、私は遠い目をする。
――クレメンテの所、確実に何かありそうだからどうにか考えとこ――
未だ拗れている兄弟の事を考えると頭が痛い。
色々考えたくない事が頭の中から湧いてきて、げんなりしてきたので打ち切る。
「……父上と母上ともお話をしたいのですが、昨日から色々とあり私も疲れがとれておりません。申し訳ございませんが今日は休ませてください」
「おお、あのダンテが自分から休みを申し出るとは……!!」
感激する父。
――どんだけ私がワーカーホリック系統の子だと思われてんだこれ――
「いいわ、じゃあ私達は別室で休ませてもらいます。ダンテゆっくり休みなさい。行きましょう、貴方」
「分かっている、アデーレ」
母が父を連れて部屋を出ていった。
「あ゛――頭が今だに何か不調です……」
「ダンテ殿下はお休みくださいませ、私の方で何かございましたら対応いたします」
「はい、頼みましたよ」
部屋を出ていくフィレンツォの足音を聞きながら、何も言えない状態だった五人を見る。
「すみません、今日はちょっと休ませてください……貴方達も休んだ方がよいでしょう……」
とあくびをして体の向きを横にしようとすると、パチンという音と共にベッドが何か広くなった気がした。
「?」
目を開けて見れば、目の前にエドガルドがいた。
「?!」
思わず起き上がろうとすると無数の手がそれを抑えつける。
「共に寝るだけだ、それ以上はしない。いいだろう?」
「……ええそれでしたら」
「よ、よかった……」
心配性のエリアの言葉にふにゃりと笑ってしまう。
「ふふ……お休みなさい」
そう言って私は目を閉じた。
真っ暗な世界に落ちていった。
『さて、婚約等のところまで行きついたか』
神様が目の前にいた。
「色々大変でしたけど」
『さて、今後の話をしようではないか』
「デスヨネー」
まだ卒業をしていないのだ、婚約したら終わりではない、向こうに嫌われて解消を求められる可能性もある。
『あ、それはお前の場合ないから安心しろ』
「何故に断言をば」
『お前の婚約者たちと、兄は、お前の駄目な所理解した上で完全に好いている。そしてその箇所を自分達でフォローするつもりでいるからな』
「マジですか?」
『マジだ』
神様の言葉に自分が少し情けなく感じる。
『情けないなどと自分を卑下するな、お前は立派にやっている』
「神様……」
『ただ無理をしやすいのが悪所だな、今後は一人で抱え込もうとするな、いいな』
「はい……」
こうも、何度も言われると、学習能力が自分にはないんじゃないかと思ってしまう。
『まぁ、それも後々改善を目指すとして、まず最初に』
「はい」
『一週間後各国代表がメーゼに集まり、婚約決定のパーティ……宴を行う』
「やっぱり」
『主役はお前達だ、で他に参加するのはフィレンツォとエドガルドはカリオとブリジッタ、それとクレメンテの姉二人だ』
「随分と少ないですね」
『まぁ、そこが他と違うところだな、代わりに結婚式は盛大にあげられるからな』
「うへぁ」
結婚式、あこがれはあるが、色々と大変そうな気がしてならない。
『が、重要なのはこれではない』
「へ?」
神様の発言に私は間抜けな声を出してしまう。
『この宴に、呼んでいない参加者が来る』
その発言に身構える。
「誰ですか?」
『暴炎竜ロッソ、清水大妖精ヴェルデ、暴風竜ビャンコ、地母精霊ネーロ、この四体の守護者がわざわざやってくるぞ』
「は? はぁあああああああ?!?!」
神様の言葉は予想斜め上すぎた。
――ちょっと待て、妖精ヴェルデはともかく、他の三守護者はデカすぎて目立つはずだ――
――どうやってそんな守護者が人目を避けてこの宴に入ってくるのだ?――
――無理じゃね?!――
『お前、創作活動をやってる存在としてこういった場合のお決まりのを忘れてないか?』
「お決まり……?」
神様に言われて少し考える。
「あ」
――擬人化――
『正解だ、人の姿になってくるのだ、まぁ色々あるだろうがな』
「うへぇ、何か嫌な予感がしますよぉ」
『まぁ、これからどんどん進んでいくからな、お前も心しているといい』
神様に言われて不穏感からげんなりする。
普通とは異なる、明るくはない学生生活を送っていた私にとっては、今の学院生活は刺激だらけで疲弊しやすい。
その結果無理をしてしまうのだ。
――早く慣れないかなぁー―
『そこらへんはお前のパートナー達と、執事達に任せておけ、お前はちゃんと頼れ』
「はい……」
『一気に情報を出すのもあれだから今日は此処迄だ、ゆっくり休め』
神様に頭をぽんと撫でられると、私の意識は暗転していった――
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