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恨み姫~緋色の桜、血色の桜~
しおりを挟む「嫁いだ姉からの連絡が途絶えた?」
零の探偵事務所に若い女性がやってきた。
「はい……一週間前急に途絶えて……それまで毎日連絡を取ってたんです!」
「嫁ぎ先には連絡したのかい?」
「母子ともに無事だとしか……なんか不気味で……! 調べてください!」
「分かった、嫁ぎ先の場所を」
「はい!」
零は嫁ぎ先の場所を聞き、嫌な予感がしたため、こっそりと銃を仕込み、そして出かけた。
嫁ぎ先は緋色の桜が咲く珍しい地域で、田舎だった。
異形が関わっている気配を零は感じ取り、行動する。
宿を取り、真夜中になると、窓から出て目的の家へと向かう。
家の中から話し声がした。
「やっと見つけた嫁さんなんだぞ! それを生け贄にするなんて……!」
「お前も分かっ取るじゃろ! 恨み姫様の怒りを静めるにはそれしかないんじゃ!」
零は即座に行動に出た。
家の中に入り込み、隠し座敷牢から姉らしき女性を連れ出すと抱きかかえて家を飛び出す。
「嫁が居ない!」
「急いで探し出せ!」
「お、置いていってください! でないと貴方が……!」
「貴方の妹に会わせる顔がなくなりますので」
「妹が⁈」
そう戸惑っていると、地面から少女が現れた。
「マヨイ?」
「ひざくらのおかにいって、そしたらふたりともたすけてあげられる」
「ひざくらのおか?」
「緋桜の丘、私知ってます。私を生け贄に埋める場所のはずです……ですがどうして」
「彼女は信用できる、向かおう」
女性の案内の元、零は緋桜の丘へと向かった。
一本の木が生えている。
緋色の桜が咲いている。
「居たぞ、あそこだ!」
「ちょうどいい、今のうちに埋めてしまえ!」
村人達がやってくる。
すると──
地面から無数の手が生えてきた。
村人達の足をつかみ、体をつかみ、地面に引きずり込んでいく。
「う、恨み姫様、違います、生け贄はあっち……ぎゃあああ‼」
「た、助けて……ぎぇえええ‼」
零は女性を抱きしめ、耳を塞いでやった。
凄惨な光景を見ないように。
緋色の桜は血色に染まり、地面も血色に染まっていた。
やがて、朝がやってくると、一端誰も居ない家に戻り女性の荷物を最低限持ち一番の電車に乗って女性と村を後にした。
女性はそのまま妹と共に実家に戻り、村には二度と戻らなかったと言う。
「恨み姫か……一体何なんだ」
零はそう言って再び村を訪れる決心をつけた──
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