クトゥルフちっくな異形の子等の日常~番いと「花嫁」を添えて~

琴葉悠

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お食事事情~お肉の調達~

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「おなかすいた」
「今日のお食事はこちらです」
「おにく、すくないね」
「申し訳ございません、今品切れ中な為……」
「ううん、いつもありがとう、おにいちゃん」
「はい」



「はぁ? 肉の調達だぁ⁈」
 ジンはロナクの元を訪れ、エルの主食である悪人の肉の調達を頼みに来た。
「うーん、でも何か勝手にしたら怒られ……お」
 ロナクは何か思いついたようだった。
「何か思いついたのですか」
「ちょうど、ヤクザの集会があって何か悪さ考えてるから、人肉集めにはちょうどいい」
「何勝手にやろうとしてるのかな?」
「げ⁈」
 ロナクは顔を引きつらせた。
 其処には天敵であり「姉」である、フエが居たからだ。
「まぁ、話は聞いてたよ。最近お肉調達してないしね」
「……」
「私も着いていくから、いい? 殺すのはヤクザだけ、いいこと?」
「有り難うございます!」
「ふー俺が〆られずに済んだ」
「ロナク後でロナから説教あるから」
「げぇー‼⁇」」
 悲鳴を上げるロナクの首根っこを掴み、ジンの手を掴んでフエはその場から姿を消した。




「何者かに俺達ヤクザが殺されている! 死体もほとんど残さずにだ!」
「このままだと俺達が絶滅してしまう!」
「その為に──」
 ヤクザの長のような若い男が高らかに宣言していると──

「そりゃあ、あんた達が居なくなったほうが世の中の為じゃん」

 フエが現れた、そしてジンとロナクがその場に着地する。
「貴様等か、異形の子というのは!」
「正解ー、じゃあ死んで?」
 フエはにっこり笑うと指を鳴らした、九割近くの首と胴体が分けられた。
 倒れていくしたいをジンが、無限に入る袋の中に詰めていく。

「ここでお前達を殺せば!」

 若い男は薬を飲んだ。
 体が変形し、異形へと変貌を遂げる。

「へーそんな薬あるんだ」
 振り下ろした拳を簡単に受け止め、フエは感心したように言う。

「アンタはもう肉にならないから喰うね」
 フエの足下から黒い不気味な肉床が広がる。
 そしてそれは異形と化した男を包み込み、ばきゃばきゃと喰らい尽くした。

 残った一割のヤクザ達が逃げようとしたが──
「残念、お前達のぼうけんはここでおわり!」
 へらへらと笑うロナクが形状変化するナイフで首を落とし、ヤクザ達は殲滅された。

「今の薬、ヤバいね、出所を調べて殲滅しなきゃ」
 フエが笑ってない顔で言う。

「つまりもっと肉を保管できると」
「まぁ、そうなるわね」
「よかった、エル様のお食事が豊かになる」
 喜々として言うジンを見て、ロナクがフエの耳元で言う。

「あの兄ちゃんやばくね」
「元からよ」
「マジかよ」
「とにかく悪意を増大させてお肉調達いそしむの手伝ってあげな?」
「へいへい」
「じゃあ、戻るよ」
 死体を全て袋に収納したジンは頷き、フエの元へ駆け寄る。
 ジンとロナクとフエはその場から消えた。


 それから一ヶ月間。
 謎の失踪事件が多発したが、事前に情報を聞いていた零は依頼を断ったという。
 主にヤクザと、そして売人がほとんどだが、不良などのこどももいたらしい。




「フエ達に目をつけられたんだ、自業自得だ」
 新聞を折りたたんで、零は椅子の背もたれを倒す。
「さっすが零ちゃん、私達の味方!」
「気にするな、で異形は絡んでいたのか?」
「うん、バッチリ。で異形はバリムシャしてきたから」
「そうか」
 フエの言葉に零は頷くと、目を閉じた──





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